虹色のプレゼントボックス

紀道侑

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第三章 茜空ギャラクシィ

隠し倉庫を見に行く。

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「あそこがミンストレルって都市らしい」

 ウルトラ鑑定。

場所名 北ササラ国、西の都ミンストレル

説明

人口約五万人の都市。
領民から搾取するクズみたいな領主がいたが現在はいない。
王様首かり内紛騒動にかこつけて、王冠を横取りしようと国中の領主を公爵が王都に集めていた為、ここの都市の領主も王都におり、安田政権と唯川政権の強権の犠牲になった貴族の中の一人。
現在王都では次の領主を選定中。

 飛行船が、発着所に着く。

「鈴木王様、ようこそおいでくださいましたっ」

「鈴木王ばんざーいっ」
「ばんざーい」
「ばんざーい」

 飛行船降りたら歓迎が凄いな。
 そう言えば、食糧を送り込む時の王様鈴木さんだったな。
 食糧はちゃんと行き渡ったのかな?
 まあこの様子だと行き渡ったんだろうな。
 凄い歓迎ぶりだ。

 しかし最新の王様の名前も知らんとは、この町は情報が遅れとる。
 いやまあ、ポンポン王様変えてしまった俺等に問題があるんだが。

「鈴木王様、ようこそお越しくださいました」

 なんか頭ツルツルのおじさんを始め、色んな人が出迎えてくれてる。

「私、領主代行を勤めさせていただいております。ヤナセと申します。お見知りおきを」

 頭ツルツルのおじさんは領主代行らしい。 

「あの、ごめんなさい。僕もう王様じゃないんです」

「えっ!?では誰が」

「はい」

 手をあげて教えてあげる。今はわたくしが王様でがす。
 ていうか王冠被ってるの俺じゃん。
 なんで王冠被ってるのに目立たないかな。

「し、失礼いたしました。え、えー、あのう……」

「安田です」

 名前知らないっぽいから教えてあげる。

「か、重ねて失礼いたしました。ようこそおいでくださいました。安田王様っ」

「うむ、苦しゅうないぞよ」

「龍臣、ぞよってなんだ?」

 高貴な人の語尾と言ったらぞよだろ。

「じゃあ早速なんだけど、倉庫が見つかった森に連れてって」

「はっ、馬車を用意してございます」

 おお、手回しが早い。
 ツルツルおじさん中々やるじゃないか。

 みんなで馬車に乗って森に向かうことにする。

「しかし、食事の用意も致しておりますが、いかがいたしましょうか?ミンストレルのアジフライは絶品ですよ」

 ……アジフライ。
 いやいや、森の中でクレープさんが待ってるから。
 行かないと。

 ……しかし、アジフライ。
 いや、王様の歓迎会的なのしてくれる時にアジフライ?
 豪華な料理とかではなく、まさかのアジフライ?
 歓迎会でピックアップする食い物かそれ?
 ……よっぽどのアジフライなのか?
 え?なにそれどんなアジフライなの?
 すげえアジフライなの?
 もうめちゃくちゃ気になるんだけど。

 仲間はみんな悩んだ顔をしている。
 特に体に栄養を蓄える能力の持ち主である鈴木さんはものすごく悩ましい顔をしている。

「……腹が減っては戦はできぬっていうよね」

 昔から言われてきた言葉だ。
 先人の教えには従わないといけないんじゃないだろうか?

「そうだな龍臣、腹が減ってはだ」

「そうだよね。安田くん良いこと言ったっ」

 アジフライを食ってから、森に向かうことになった。

 なんか衣から違う分厚いぶりんぶりんのすげえアジフライだったよ。


 じゃあ、腹もふくれたところで森の中に入る。
 馬車に揺られながら進む。

「あそこか?龍臣」

 お土産のアジフライサンドを頬張りながら馬車から外を眺めてた京が何かに気づいたようだ。
 俺も京の頭の上に頭を乗せて外を覗く。

「なんだ龍臣、頭に頭を乗せるな。やけにご機嫌だな」

 そうかな?

 あ、騎士が集まってる場所があるし、騎士の中にデカい九官鳥がいる。
 九官鳥の着ぐるみを着てるクレープさんだ。

「クレープさーんっ」

 馬車の窓から手を振る。
 クレープさんもこっちに気づいて手を振り返してくる。

 馬車から降りたら、なんかデカいテント、天幕って言うんだっけ?あれが沢山ある。

「クレープさん」

「先生、やっと来たね。……ん?アジフライ食べてから来たね?」

 やべ、ばれた。

「ごめん、高級な料理すすめられたら大丈夫だったんだけど、まさかのアジフライだったもんだからさ、もう気になって気になって」

 超旨かったし。
 夕飯もアジフライにするんだと、みんなで約束しちゃったもん。
 みんな口許にアジフライの衣つけながら申し訳なさそうにする。


「はっはっは、ミンストレルのアジフライは絶品ですからね」

 あ、なんか一番偉そうな騎士の人が話に入ってきた。
 一番偉そうだと思った理由は鎧がギンギラギンだからだ。

「お初お目にかかります安田王様、私ミンストレル騎士団団長のナナセと申します」

 なんか跪かれて挨拶された。
 ちなみにナナセさんは女騎士だ。
 しかも眼帯してる。海賊がしてる黒いやつ。
 すげえキャラがたってるな。

 ナナセさんの後ろに並んだ他の騎士も跪く。
 おお、王様っぽい。
 あ、ていうかこの人達は鈴木さん王様だって勘違いしなかったな。

 ……あっ、そうか俺たちがアジフライ食ってる時に伝令かなんかで情報伝達が計られたんだな。
 ということはあのアジフライは囮か。
 俺達はまんまと餌に食い付いちまった訳だな。
 あのツルツルおじさん、……できる。

「先生、彼女達にはすごくお世話になったのよ」

「あ、そうなんだ。うむ、ご苦労であった。大義なりっ」

 安田王様はそなたらの働きに満足してますよ。

「はっ」

 おお、また騎士達が一斉に跪いた。

「……安田くん、ちゃんとお礼言おう」

 あ、鈴木さんに怒られた。

「ありがとうございます。クレープさんがお世話になったみたいで」

 じゃあ王様だけど、改めてペコペコお礼を言っとくね。

「い、いえ、お役に立てて幸いでございます」

 おいおい、ナナセさんかしこまっちゃったじゃないか。
 ここは王様モードが正解なんじゃないの?
 なんなら王様としてアジフライ税を制定しようか?

「……龍臣、お前ちょっと王冠東に譲れ」

 え!?何でよ?

「え?なんでですか!?」

 東くんもびっくりじゃないか。

「龍臣、私の経験上今のお前は危ない。アジフライを食って上がったテンションでなにしでかすかわからん。とりあえず東に王冠譲れ。今のお前に権力持たせるのは危ない」

「あ~、確かにそれはあるかもねえ」
「そうですね。安田さんなんかテンション高いですものね。じゃあ王冠下さい。よく考えると勇者の中で自分だけ王様になってないですし」

 鈴木さんと東くんが京の意見に納得する。
 まあ確かにこの町のアジフライの店をチェーン展開して世界中に支店を出そうかなとか考えてはいたけど。
 ゆくゆくは異世界のカーネルサ○ダースになろうとしてたけど。 
 ……なんでばれたんだ。

 まあ、なんでもいいか、じゃあ王冠あげますよ。
 王冠被って来たのも仲間内の誰かが王冠持ってたら倉庫の中身回収する時に楽だと思っただけだからね。

「じゃあ、跪きなさい。そこのゴツイ人よ」

「ゴツイ人!?」

 おい、跪けよ。東くんでけえんだよ。
 せめて屈んでもらわんと頭に王冠乗せにくいんだよ。
 まあいいや、ジャンプっ。

 レイアップシュートの要領で王冠を東くんの頭に乗せる。
 置いてくる要領で乗った王冠の宝石が光った。
 王位継承完了だ。
 明日は女性になってるであろう王様の誕生。

「………………えっ!?今レイアップシュートで王様変えました!?」

 唖然とした顔で俺たちを見ていたナナセさんが、度肝抜かれた顔してるわ。
 うん、変えたよ。
 レイアップシュートのフォームで王位継承したよ。

 まあ、ポンポン王様変えてしまってるからね。
 もう何代目だこれで、六回、七回?くらい代替わりしてるわ、この数日だけで。

「ナナセちゃん。そもそも、先生は鈴木さんにもこんな感じで王冠譲っちゃったのよ。あんまりちゃんと考えちゃダメよ」 

「は、はあ」

 クレープさんがナナセさんを嗜める。

「よし、本題に入りましょう。それで先生、手紙届いたと思うんだけど?」

 クレープさんが仕切り直した。

「ああ、来た来た、隠し倉庫ね。どこにあんの?」

「あの辺よ」

 クレープさんが指を指す。
 明らかに草しかないが、その辺りに騎士が集まってる。
 警備的な要員かな?

 まあいいや、さっさとすますべ。
 えーと、まずは、と。 

 ウルトラ鑑定。


場所名 森の中にある隠し倉庫

説明

勇者根本が隠した倉庫。
中には貴重な本や、アイテムがある。
一番奥に宇宙服があり、ヘルメットを七回叩いて、右手の部分と握手をすると隠し部屋が出てくる。
隠し部屋には根本式魔導ロケットMkーⅣマークフォーがある。


 マークフォーっ!!!?
 ツースリーいつ通りすぎた!? 



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