仲良くしたいの。《転生魔法士はある日、森の中でクマさんと》

伊藤クロエ

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おまけの話(完)★

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 ノルガンはリツを川で綺麗に洗ってやると、荷車に積まれた商品の中にあった亜麻布に包んで元の場所に戻ってきた。
 焚火はほぼ消えかけていて、なぜか虫の音や葉擦れの音一つ聞こえず、周りに寝ていたゴダルや傭兵たちは一人も姿が見えない。
 ノルガンは残り火を踏みつけて消すと、荷車の中にリツをそっと横たえた。

「ん……っ」

 亜麻布の中のリツは一糸まとわずノルガンにすべてを晒したままくったりと伏している。白く細い身体のあちこちにノルガンが残した口づけや甘噛みした痕がついている。薄い胸の先端はノルガンがしつこく舐めしゃぶっては指でも擦ってやったせいでぷっくりと腫れていて、ノルガンの腕の中から下されて夜風が当たっただけでひくり、と震えた。
 散々身体中を弄られ、奥の奥まで愛撫されながらたっぷりと可愛がられて、リツは指一本動かすことができないようだ。力なく立てられた膝を開くと、つい先ほどまでノルガンの長大なモノを根本まで咥えこまされていたソコは赤く熟れ、白い精液をとろとろと零していた。

 ノルガンが身を屈めて口づけると、リツは夢うつつであっても唇を開きノルガンを迎え入れる。たいそう従順な獲物の様子を観察しながら舌を絡ませ口内を愛撫してやると、リツはしどけなく足を開いて割り込んでくるノルガンの腰をはさんだ。
 指で触れるとリツの濡れた後腔はすぐに吸いついてきて、もっと奥へと誘うように蠢く。太い指を二本差し挿れてくちゅくちゅとかき混ぜてやるとリツが甘い声を漏らしながら身をよじらせた。
 ノルガンの硬い身体に擦り付けるように自らの胸を突き出し、咥え込んだ指をきゅうきゅうと締め付けてくるリツのあまりにも愛らしい姿に、ノルガンは喉の奥で低く笑った。

(どこもかしこも甘くて美味い)

 スグリの実のように赤くなった胸の先端を吸ってやれば背筋をそらし、尖らせた舌先でえぐって歯を立ててやればそれはそれは可愛らしい声を漏らす。耳の中やうなじや鎖骨のくぼみを舐めてやれば嬉しそうに身体を震わせ、下へ下へと下がっていって柔らかな内腿の肉や健気に勃ち上がっては蜜を零す性器に噛みついてやると泣きそうな声を上げてもっと、と腰を押し付けてくる。
 そして両手で簡単に囲めてしまう細い腰を掴み、とろとろに蕩けた後腔に完全に勃起して太い血管がうねうねと這うノルガンの怒張を咥え込ませ、熱く蠕動する粘膜を引きずりながら思うさま突き上げてやるとリツは泣いて喘いで涙も唾液も精液もだらだらと零しながら絶頂するさまを存分に見せてくれた。

「あっ! んっ、あ、ひうんっ! や、やだ、あ、おく、んん~~~~~っ!」

 今も半分意識をなくしながら、最奥まで穿つ男根の衝撃と快感にわけもわからず必死に耐えようとノルガンにしがみつき喘いでいるリツが可愛らしくて仕方がない。

「ひゃっ! あ、ふ、ふか……っ、あっ、ひぐっ!!」

 ぐっぷりとリツの一番奥深くに亀頭を嵌め込むと、リツが目を見開いて悶絶した。その小さな頭を腕で囲ってほんの少しも身動きとれぬように全身をがっちりと囲い込んでから、ノルガンは狭くてきつい結腸口をくぷくぷと何度もこじ開けてはえぐるように犯す。

「んっ、っふ、んぐ、あ、ひぁ、あぅ」

 ノルガンの下でとめどなく喘ぐリツの表情は朦朧としていて、心も身体も完全にノルガンに明け渡し、彼に支配されることを許したのがよくわかった。

(可愛い。美味い。本当に頭も目も爪の先まで全部呑み込んでこの腹に収めてやりたい)

 そうすればこの獲物を誰にも見せず獲られず永遠に自分だけのものにしておけそうな気がするのに。でも実際にそうしようと思えないのはなぜだろうかと、リツの中にどくどくとその晩三度目の精液を注ぎ込みながらノルガンは自問する。
 その時、ふとリツが薄く目を開いてノルガンを見た。

「…………なまえ、」

 喘ぎすぎて掠れた声がかすかに聞こえる。

「なまえ、おしえて……」

(ああ、そうか)
(本当に喰ってしまったらこの声が聞けなくなる)
(それは面白くない)

 ノルガンは再び閉じてしまった瞼に口づけを落とすとできるだけ優しく抜いてやる。そして日暮れ前に汲んできた水の残りで綺麗に身体を拭き、商隊の荷物の中から一番柔らかくて上等な手触りの服を取り出すとリツに着せてやった。
 それから自分も身体を拭き、なんとか着れそうな大きさの服を探して身にまとう。リツが嫌がっていたあの羆の兜とマントは川に捨ててきた。
 ノルガンは荷車から食料やいくつかの物を背嚢に入れて背負い、左腕には眠ってしまったリツを抱き、右手には使い慣れた戦斧を握って荷車から降りた。そして辺りを見回す。
 森からクルンの町へと続く街道の脇の叢で、巨大な魔獣が一頭こちらの様子を窺っていた。それは昨夜ノルガンが殺したグリズリーが支配していたあの森の生き物だ。
 ノルガンが視線を落とすと、火の消えた焚火の傍に血の付いた僧服をひっかけた腕が一本落ちていた。

「目玉の一つも残さず持っていけと言ったはずだ」

 ノルガンが言うと魔獣は恐れ慄くように地面に蹲って頭を下げた。そしてその背後から飛び出た小さな魔獣がひとっ飛びにその腕を咥えて逃げ戻って行く。

(リツはグラトやドーリが死んだ時にひどく怯えた顔をしていた。これ以上人間の骸は一かけらも見せない方がいい)

 ノルガンはひれ伏す魔獣を見て言う。

「あれはみんなお前たちにやった。後は好きに生きろ。おれたちの後は追うな」

 すると魔獣はのっそりと巨体を返して森へと戻って行った。

 あの森を支配していた変異種のグリズリーとノルガンが血をひくヒグマとは、元の種が似ている。そのせいかグリズリーを倒したノルガンをあの森の魔獣たちは自分たちの新たなる支配者だと思ったようだ。だがノルガンにはそんなものになるつもりはさらさらない。
 ここにいた八人の人間を土産に魔獣たちを去らせると、ノルガンは腕の中のリツを見下ろした。

(そういえば、名前を聞いていたな)

 そんなことを聞かれるのは一体何年ぶりだろうか。
 ノルガンに犯されながら喘ぐリツの声はそれはそれは愛らしい。おっかなびっくりノルガンに話しかける声も、川で突然怒ったように兜を取り去った時の声も、そして夢うつつに名を問うた時の声もひどくノルガンの興をそそり、心の片隅をくすぐった。

(お前が呼ぶおれの名は、一体どんな声なのだろうな)

 いっそ起こして名を呼ばせてみようか。一瞬そう思ったが、おのれの懐で無防備に眠るリツの寝顔を見るのもたいそう楽しいものだ。
 その時、意外にも生き残っていたらしい馬が一頭ノルガンの元へと歩いてきた。それはリツが毎晩水をやり草を与え蹄を見てやっていた馬だった。
 ノルガンはヒュッと口笛を吹いてその馬を呼び寄せると、リツと戦斧を抱えたまま馬の背にまたがる。
 ごうつくばりのゴダルが山と品物を積んだ荷車を辛抱強く運んできた馬だ。きっと頑丈なのに違いない。それにずっと面倒を見てきた馬が一緒にいればリツが喜ぶかもしれない、とノルガンは思った。



 数か月後、商人ゴダルの荷が届かぬと王都の豪商がひどく腹を立てて早馬を走らせたが、荷はおろかゴダルや彼の同行者たち、そしてゴダルが連れ歩いていたヒグマの半獣奴隷の行方はようとしてわからぬままであった。


おわり
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