【完】泡姫ミナミくんの初恋 ~獣人店長さんと異世界人のソープ嬢(♂)

伊藤クロエ

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★ミナミくんの大失敗。

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「あっ、ひっ、う、うーかい、さ、ん……っ」
「なん、だよ……っ」

 フッ、フッ、と短く荒い呉凱の呼吸がかすかに聞こえてくる。南は腰を掴んでいる呉凱のふさふさとした大きな手を押さえて言われた通り奥からずらそうとするが、手にも腰にもまったく力が入らない。

「はっ、い……っ、うーかい、さ……んっ、あ、あ、どーしよ……っ」

 頭がぐらぐら沸騰してバカになる。考えられることはただ一つ、

(イきたい、イきたい、あの時の、頭が吹っ飛ぶような快感を、もう一度味わいたい……っ!)
「は……っ、うんっ、すご……っ、すごい、あう、イイ……っ、きもち、いい……っ」

 とうとう南は我慢できずに声を上げた。

「んっ、はっ、あうっ、イく、イく、うーかいさん、っ、おれ、イっちゃう…………っ!」

 すると呉凱の呆れ返った声と平手が尻にピシャリと飛んでくる。

「あのなぁ! 俺の言ってること聞いてんのか!?」
「ダメ、ダメ、イく、イきたい、んっ、あっ、んぐっ!」

 南は顔をエアマットにぐりぐりとこすり付けてとうとう泣き言を吐いた。

「おねが……っ、うーかい、さ……っ、てんちょうぉ……っ、イかせて、はやく、おね、おねが……っ」
「おま……っ、ほんとに堪え性のねぇメス猫だな! オラ、イけ!」
「ん~~~~~~~~~~っつ!!!!」

 ごちゅん! と最奥を突き上げられて、南は全身を痙攣させながらイった。二度目だというのにどぷどぷと精液が溢れてマットに零れ落ちる。するとまだイっている最中のアナルからぬるっと呉凱のモノが抜け落ちてまた南は悲鳴を呑み込んだ。しばらくマットに転がったまま荒い息を繰り返していると、しばしの沈黙の後、煮えくり返ったような呉凱の低い声が降ってきた。

「…………お前な」
「…………………………い……いわないで……、てんちょおさ……ん……」

 あまりの情けなさに思わず南は両腕に顔を埋めて呟く。

「…………てめぇ、何が『ちゃんとできてるか心配だから』だ! 全然ダメじゃねぇか!」
「わかってるって! だから言わないで! わかってますから!」

 泣きたい気持ちで叫び返すと、特大のため息を吐き出した。

「お……おれ、お客さん相手の時はもうちょっと冷静にやれてるはずなんですけど……」
「けど今出来てなきゃ同じだろ」
「んぐ」

 ドがつくほどの正論に思わず言葉に詰まると、呉凱が舌打ちをするのが聞こえた。

「クソッ、わかんねぇな。お前こんなんでどうして次の指名取れんだ」
「おれだってわかんないです……」

 投げやりにそう答えると、またしても「クソッ」と、短く吐き出すような声が聞こえた。南が全身脱力してマットに倒れこんだままでいると、呉凱がゴムを外して立ち上がる気配がした。そして暖かいお湯が掛けられる。

「オラ、足開け。洗ってやるから」
「…………ぜ、ぜんぜんちから、はいんない……」
「甘えたこと抜かすな。ケツ上げろ」
「う゛う゛~~~~~~~~」

 まだマットに倒れこんだままの南の太腿を呉凱がぐいっと押す。そして驚くほど丁寧な手つきでローションだのなんだのでドロドロの南の身体を洗い流してくれた。

「ミナミ、ここは片しといてやるから向こうで服着てろ」

 まだお湯を張ったままだった湯船の栓を抜いて呉凱が言う。

「す……すみませ……ん……よろしく、です…………」

 その言葉に甘えて南は這うようにして風呂場を出ると、ベッドの上に自分の服と財布が置かれているのに気づいた。どうやら呉凱がロッカーから持ってきてくれていたらしい。それを見て南は呉凱の目端の利きように感心しつつ、己のバカさ加減にほとほと呆れ返った。

(ちゃんとできてるかどうか、店長さんに見てもらうつもりが……)

 一人でサカって呉凱の身体で自慰まがいのことをした挙句、最後は結局呉凱に全部お任せ状態で一人でイきまくってしまった。

(これじゃどんだけ店長さんが親切でも怒るよな、ふつう……)

 南はベッドに座り込み、両足を抱え込んで大きく息を吐き出しながら思った。

(……………でも、すっげぇ……きもち、よかったぁ…………)
「じゃなくて!」
「なんだよ、独り言かジジくせぇ」

 南が思わず叫ぶと、片づけを終えた呉凱が風呂場から出てきた。

「オラ、支度できたか」
「あ、はい、なんとか…………」

 南はのろのろと着替えを済ますと、どっこいしょ、と勢いをつけて立ち上がる。

「ここはもういいから、お前もう帰れ」
「う……すみま…………せ…………」

 呉凱が言うのに曖昧な返事を返し、財布や携帯電話を尻ポケットに突っ込んだ。そして今度はベッドを整え始めた呉凱の背中に向かって言う。

「……疲れてるとこ、ほんと、すみませんでした……」
「あ? 何殊勝気なこと言ってんだよ、気持ち悪ィ」
「きも……って、ひど……、いえ、でも、ほんと……」

 南が言葉に詰まると、呉凱が眉を上げて言った。

「あのな、俺はここの責任者でお前は被雇用者。仕事に関することで俺がお前に付き合うのは当たり前だろ。だから悪いとか考えんな」
「…………はい、すみませんでした……」

 すると呉凱がため息をついて、また「クソッ」と呟いた。そして乱暴な手つきでベッドサイドの灰皿を引き寄せると財布の横に置かれていたくしゃくしゃのパッケージから煙草を一本取り出して火をつけた。そして深々と煙を吐き出す。ミナミはただぼーっとそれを見ていたが、呉凱は苦虫を噛み潰したような顔でしばらく天井を見上げていたかと思うと、急に煙草をもみ消して言った。

「オラ、着替え終わったんなら出るぞ。タクシー捕まえてやるから早く帰れ」
「あ、はい…………」

 狭い廊下を通って裏口から二人で出る。そして表通りへと歩きながら呉凱が言った。

「俺、売上金預けてこねぇといけねぇから、そこのコンビニまで付き合え。そっからならタクシーも拾いやすいから」
「それはもちろんいいですけど……」

 南はふと思いついて口を開く。

「あ、あの、店長さん、腹減ってないですか? それかビールでも」
「あ?」
「おれ、お礼に奢るので、一杯だけ付き合ってくれませんか?」

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