【完】泡姫ミナミくんの初恋 ~獣人店長さんと異世界人のソープ嬢(♂)

伊藤クロエ

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★ミナミくん、虎の店長さんに試される。

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 物珍しさに目を見張る南に呉凱ウーカイが言う。

「店によっちゃ即即つって風呂の前にすぐ即尺・即ハメするとこもあるけど、うちはまず先に風呂な。そこで客のちんこ消毒してしっかり洗え。あと病気持ってねぇかよくチェックしろよ。もちろんバレねぇようにな」
「は、はい」
「まず椅子にお湯かけて暖めてから客を座らせろ」

 南は湯船からお湯をすくうと、置いてある中から一番大きなサイズの奇妙な形をした椅子にかけた。そこに座った呉凱が南に指示を出す。

「そこの洗面器にお湯くんで、そっちの白いボトル、それ消毒液だから、それ薄めて最初に使え。それからそっちのボディソープな。最初はぬるぬるのまんまちんぽ可愛がってやるみたいに洗って、それからよく泡立ててしっかり洗え。お前、アレルギーとか肌弱いとかないか?」
「あ、はい。ないです」
「よし、ならやれ」

 南は失敗しないよう、呉凱ウーカイに言われる通りに一つ一つ丁寧にこなしていく。消毒が終わって南は手のひらにボディソープを出した。

「最初は手な。手で擦って、そう」

 南は呉凱の首筋から肩から胸、そして腹から股間へ向けて毛の流れに沿って撫でるように洗っていく。

「時々指立てて、擦ってやれ」
「は、はい」

 言われた通りに指の腹で揉むように、そして指先で引っ掻くようにしてやると、呉凱が少しだけ目を細めて喉を鳴らしたのがわかった。

(……猫の頭とかのどとか掻いてやると喜ぶ、アレかな)

 そうやって「気持ちがいい」というのが伝わってくると俄然ヤル気が湧いてくる。南は自分より一回りも二回りも大きな呉凱の身体を一生懸命撫でて洗って掻いてやった。

「次、そっちのローション出せ」

 呉凱に言われて南はボディソープのボトルの隣にある大きなローションを引き寄せた。

「お前を指名する客は多少なりともニンゲンの身体に興味があるヤツだろうからな。たわし洗いと壷洗い必須だ」
「た、たわし洗い?」
「お前の股ぐらにローションぶっかけろ。たっぷりな。ケチんじゃねぇぞ」

 南は言われるままとろとろのローションを自分の股間にたっぷりと塗りつけた。

「そしたらソコで客の腕とか太腿とか擦ってやれ」
「え、でもそれって毛が擦れて痛くないですか? いえ、お客さんの方が……」
「ミナミ、言葉。俺を客だと思って話せ」

 呉凱に釘を刺されて南は口をつぐむ。そして呉凱の太くて逞しい腕を取ると、一瞬ためらいつつそれを自分の両足の間に挟むようにしてゆっくりと上下に擦りつけた。

(ああ、そうか。それでたわし洗いって言うのか)

 南は自分の股間を見下ろしながら、陰毛とペニスで呉凱の肌を刺激していく。

「俺もお前のもどっちも毛が短いから、絡まって痛い思いすることはねぇだろ。もし長毛種の客相手にすんなら毛の流れに沿ってやれ」
「はい」

 万が一にも滑って転んだりしないように呉凱のがっちりと分厚い肩に片方の手を置いて、ゆっくりねっとり押し付けるように股間を擦りつける。呉凱の逞しい腕の筋肉の隆起と短い毛が皮膚の薄い内腿やペニスに擦れて、思わず南の口から甘い息が漏れた。

(でも、これ、お客さんより自分がきもちよくなっちゃうんじゃない……?)

 呉凱の堅い腕に擦りつける男根が明らかに芯を持ちつつある。

「腕だけじゃなく背中とかできるとこ全部やるんだ」
「…………はい」
「身体支えんのに結構筋肉使うからな。まあお前、そこそこ鍛えてるっぽいし大丈夫か」

 椅子に座る呉凱の肩や肩甲骨、いつかテレビで見た中国の奥地で崖の上から辺りを睥睨する虎の強靭な身体を彷彿とさせる太い脚を掴んで、南は自分の股間を擦りつける。もう言い訳できないほど南のペニスは熱を持ち勃ち上がっていた。それに気づいて思わず南は腰を引きかける。

「演技ならいいけどよ、あんま恥ずかしがることねぇぜ?」

 呉凱が言う。

「客はお前がおっ勃ててりゃ大喜びすっからな。もっとやってもいいくらいだぜ」
「…………わ、わかりました」

 そう頷くと、突然呉凱に腕を掴まれる。

「そんじゃ次、壷洗いな」

 そう言って南を見上げる呉凱の目が暗く光る。そのさまに南は息を呑んだ。

「ここで客にお前のお道具をしっかり見てもらって、そんで指で試させるんだ」
「……試させる……?」
「いいから、こっち来い」

 呉凱に引き寄せられるまま、南はその正面に立って身体を堅くする。すると呉凱がじっと南の股間で勃起しつつある男根を凝視した。

「……毛が薄いな。まあその分よく見えるしいいか」

 なんと答えていいかわからず、黙って俯く。

「フーン、随分キレイな色してんな。ニンゲンってのはみんなこうなのか? 形も申し分ねぇ。キレイに剥けてっし、太さも長さも充分だ。このカリが高く張ってるとこがいいな。ほとんどの客はお前に突っ込みたくて指名するわけだけど、お前のを咥えたり舐めたりしたがるのもいるだろうからな。こりゃ意外と人気出るんじゃねぇの?」
「…………あ、ありがとう……ゴザイマス……」

 これまでの人生でそんな場所をこんなにもはっきりと直截な言葉で褒められたのは初めてだ。それもこんな間近でまじまじと見つめられながら。
 自分の股間を食い入るように見ている呉凱の目は真剣そのもので、その鋭さと執拗さに南はますます顔が熱くなる。

「お、またデカくなったな」

 呉凱に言われて思わず心臓が跳ねた。呉凱がニヤリと笑って見上げてくる。

「だから恥ずかしがることねぇって。見られたり触られたり、ナカに突っ込まれるのが好きなエッチな嬢の方が当然人気出るからよ」

 そう言って南の手首を掴んでいた呉凱の手が離れ、南の尻を引き寄せた。

「次が壷洗い。お前の中を、客に試させるんだ」

 そう言って呉凱は南の股間から尻へと手を回し、爪を引っ込めた太い指先で尻の谷間をひっかくように数度なぞったかと思うと、ぐいっと手前に引いてローションまみれのソコを撫でた。思わず南の身体が跳ねる。

「結局のところ、ココが良くなきゃ売れねぇからな。お前の中はどうだ? ミナミ」
「ふ…………んあっ!」

 呉凱の指が出し抜けに南の中に潜りこんでくる。今まで一人で散々開発してきたソコはまるで歓迎するかのように喜びに震えて呉凱の指を受け入れた。

(そ、そんな、いきなり……っ!!)

 生まれて初めてナカに潜り込んできた自分以外の生身の身体の感触は、例えそれが指一本にすぎなかったとしても南には充分すぎるほどの衝撃だった。

「ひ……っ、ひゃ、あうっ」

 虎の獣人である呉凱の指は普通の人間より一本一本がずっと太い。その太い指が粘膜を引きずるようにナカを行き来する度に、自分の指で弄っていた時にはなかった質量と虎の毛並みがぞろりとナカを撫でる感覚に思わず悲鳴を飲み込む。

「あ、あう」

 思わず逃げようと反射的に浮かしかけた腰をすかさず呉凱に掴まれて、敏感な粘膜をさらに揉みしだかれた。

「入り口は狭いけど、中は結構柔らけぇな。お前、ほんとにココ自分で弄ってたのかよ」
「そ……そう、……んんっ!」

 呉凱の指はいとも簡単に南の一番感じやすい場所を探り当てると、そこを優しく引っかく。そして指の腹でぐっと押して、小さく揺らした。
 自分の意志とまるで無関係に動く何かに中を責められる感覚は生まれて初めてのものだ。電動バイブだって自分の手で動きも調節できるし嫌なら抜けばいい。だが南にお構いなしに呉凱に一方的に与えられる暴力的な快感をどうしたら上手く逃せるのかもわからず、南は呉凱の分厚い肩にしがみついてひたすら喘ぐしかなかった。

「はあ……んっ、うっ、ソコ、ダメ、てんちょう、さんっ、あ……っ!」
「おいおい、しょっぱなからそんな感じててどーすんだよ」

 呉凱がおかしさ半分、呆れ半分といった口調で言う。そしてぬちゅぬちゅといやらしい音をさせながら入り口から奥へとゆっくり指を出し挿れした。

「ん、問題ねぇな。それどころか結構な名器なんじゃねぇの? お前」
「そ、そんなの、わ、わかん、な……っ!」

 南は呉凱の両肩に手を置いて身体を支えながら息を荒げた。

「そんじゃ次はお前が客に奉仕する番だ」
「ひうっ」

 いきなり指を抜かれて南は思わず息を呑む。下半身に力が入らず、へなへなと風呂場の床にへたり込んでしまったのを見て呉凱が眉を顰めた。

「お前、気持ちよくなるのはいいけど、お前が客をイかせるのが仕事なんだからな。そこ忘れんじゃねぇぞ?」
「わ……わかって、ます、すみま……せん……」

 床に手を付き、カクカクと震えている身体を支えながら南は慌てて弁解した。

「ちょっと、心の準備ができてなかっただけ、なので……だいじょうぶ、です……」
「そうか? ならいいけどよ」

 そう言って口の端を上げた呉凱の皮肉気な笑みをを見て、南は目を見開いた。

(……この人、本当に、俺をテストしてるんだ……)

 思い返せば、呉凱は確かに最初に「ほんとに働く覚悟あんのか試してやる」と言った。あれは大げさでもなんでもなく、南にそれだけの心構えと素質があるのかどうか本気で確かめているのだ。
 南を見ているその目には、輝く黄金色の下に黒々とした何かが宿っている。まさに一つの店を任されている経営者として商品の価値を見極めようとしている目だった。

(……いけない、ちゃんとやらなきゃ)

 一見優しそうな言動に甘えてはいけない。この人はプロなのだ。

 確かに南にはソープの経験どころか誰かと付き合ったりセックスをした経験もない。それでも一生懸命、誠心誠意心を込めてご奉仕すれば雇ってもらえる可能性はゼロではない、と思いたい。

(……どうせ、一度死んだ命なんだ)
(どんなバカなことでも、無茶なことでも、やらなきゃ)

 南は急にこみ上げてくる熱い塊を飲み込んで唇を噛みしめる。

(そう。次また死んでも、後悔だけはしなくていいように)

 昔からずっと周りの男子のように女の子やアイドルに夢中になれなかった。
 けれど高校の合格祝いに買って貰ったスマートフォンで初めてエッチな動画を見た時に、自分よりもずっと大きな男に組み敷かれて喘ぐ女優を見て身体の奥がひどく疼いて、自分も普通だったんだと密かに安心した。でもそうじゃなかった。

 男のモノを挿れられて気持ちよさそうにしている女の子を見て、ソレで中をこすられるのがどんな感じなのかひどく気になった。
 自分が抵抗できない圧倒的な力で組み伏せられて、大きなモノで我が物顔にソコを犯される。そうしたらどんな気持ちになるのか知りたかった。
 その晩南は初めて自分が逞しい大人の男にめちゃくちゃに抱かれ、太い男根で貫かれながら貪り尽くされるところを想像しながら自慰をした。

 あまりにも変態じみた自分の妄想に、まだ高校生だった南は自分で自分が怖くなった。だから必死にそこから意識を反らし、それ以上考えないようにしてきた。
 親や兄姉に『まだ彼女の一人もできないのか』と揶揄われても曖昧な笑みで誤魔化し、クラスの一人の女子とやたらと目が合うと気づいてからは一生懸命さりげなさを装ってその視線を避け続けた。

 高校を出て専門学校へ進み、就職できずにキャバクラで働き始めてからも自分の性癖から必死に目をそらしてきた。けれど一度死んで異世界なんぞに飛ばされて、突然吹っ切れた。だからここに来たのだ。噂でしか知らなかった旧市街一番の風俗街、五華路のこの店に。

(しっかりしなきゃ。だってここが一番、俺が男とセックスできる確率の高い場所なんだから)

 呉凱ウーカイは『男が好きなら好きでなぜ同じ人間の男の恋人を作ろうとしないのか』と聞いた。確かに正論だ。童貞処女のくせに『男とセックスがしてみたい』というだけでいきなりこんな風俗に、しかも客ではなく従業員希望で来る馬鹿さ加減は自分でもわかっている。
 だが街に一割から二割ほどしかいないという人間で知っているのは通勤途中にすれ違う数人くらいで、特に気になる人がいるわけでもないのに自分からそういうことが目当てで話しかける勇気はとてもじゃないがない。
 なら獣人相手で、と彼らとの唯一の接点である職場を見回してみても、みな自分と同じくらいかもっと小柄な犬・猫種ばかりでなかなかその気になれない。何せ南のセックス・ドリームの原点は『自分よりずっと大きな男に組み敷かれて、相手の思うがままに犯される』というアダルト動画だったのだから。

(……そう考えれば、今相手をしてくれてるこの店長さんは、俺の理想のセックスの相手なんだ)

 今さらながらそう気づいて、南は思わず目を見開いた。

「どうした?」

 呉凱ウーカイが不思議そうに虎頭を傾げて尋ねる。その時、事務所ではピンと立っていた立派な髭がひょこん、と揺れた。

(……ふ、かわいい)

 ふとそう思って思わず目尻が緩む。その拍子に意識がクリアになった。

(……このテストに受かりたい。この人に、なかなか筋がいいじゃねぇか、って、そんな風に言って貰いたい)

 急にこの獣人の店長に褒められたい、認められたいという思いが膨れ上がる。

(そうだ、頑張らなきゃ)

 確かに自分は出来のいい兄姉に比べれば要領も悪いし大した特技も美点もない。無関係の修羅場に偶然居合わせただけでうっかり刺されて死んでしまうような間抜けなやつだ。
 でも、例え自分の意志でなくてもこんなよくわからない世界で生き長らえて、なんとか命の心配なく生活が送れるところまできた。ならばヤケクソだろうがなんだろうがチャレンジしてみなければ、あの時完全に死んでしまわず生き延びた意味がない。どうせ失敗したってそれを笑う者も、南を心配してくれる者もいやしないのだから。

 南は床にへたり込んだまま、改めて目の前に座る虎の獣人を見上げる。
 南よりも一回りも二回りも大きくて、圧倒的なパワーを秘めていそうな分厚い筋肉に覆われた身体。大きな口から覗く鋭い牙は、人間とは明らかに違うまさに原始的な強さの象徴だ。そして――――
 南は視線を降ろして唾を飲み込む。

(…………ほんとに、スゴイ……)

 呉凱自身が言っていた通り、確かにソコはまだなんの反応も示してはいない。それでも南のモノとは比べ物にならないほど太くて大きい。

(虎の獣人の、って……こんななんだ……)

 今までネットでしか見たことのなかった自分以外の本物のペニスが、目の前にある。

(しかも、すごく、めちゃくちゃ、エロい……)

 獣人の股間を初めて見たが、人間のような陰毛はなく、身体全体を覆う毛皮の中から極太の男根がぬっ、と突き出している。そしていかにも精液がパンパンに詰まっていそうなずっしりと重たげな陰嚢も人間のものより遥かに大きい。

(こんなすごいのを、これを、いまから、さわれるんだ)

 そう考えただけで床に押し付けた股間が熱を持つ。

(はじめての、ホンモノ)
(スゴイ、さわりたい、はやく)

 ずくり、と腹の奥が疼く。

「おい、ミナミ?」

 その低くて擦れた声にさえ、反応してしまう。

(……この人を、気持ちよくしてあげたい)

 南が顔を上げると、呉凱が意外そうな目をして瞬きをした。それに笑みで答えて、南は唇の端をペロリと舐めた。


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