【完】グランディール学院の秘密

伊藤クロエ

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 オリエンテーリングの翌日は毎年休養日となり授業はないが、今年度の参加者たちの成績と順位をつけ、承認するための評議会が招集される。今回は二学年生二人が一時行方不明となった事案の今後の対策についても特に話し合いがもたれることになった。
 アリスティドも朝から7つの寮の中央にある特別棟にある評議会の議場に併設された会議室に集まり、午後まで話し合った。
 
「いろいろとご心配をお掛けして申し訳ありませんでした」
 今回のオリエンテーリングの運営代表であるアリスティドと学生総代のアーサーがともに顧問のウェルズリー教諭に頭を下げると、温厚な彼は豊かな口ひげを撫でて言った。
「いや、君たちが万全の準備や危機管理をしていたのはわかっている。その上で起きてしまった事故だ。我々教職員も今後のために一緒に考えていこう」
「ありがとうございます」
 手を上げて会議室から出ていくウェルズリーを見送り、9人の評議会役員らが改めて顔を見合わせた。
「とにかく、全員無事に行事を終われて本当に良かった」
 リーズ寮筆頭監督生のダーシー=ロバートソンが丸い顔を綻ばせて言う。
「ええ、本当に」
 看護班責任者として参加していたロザラム寮のセーラ=ウインストンが頷いた。
「足をくじいたという二学年生は?」
「幸い骨には異常なく、一週間ほど安静にしていれば大丈夫だそうです」
「そうか。それは僥倖」
 足を組んで椅子の背もたれにもたれた学院総代のアーサー・ハミルトン=スミスはチラ、とアリスティドを横目で見ながら言った。
「それもこれもあの五学年生のゲオルグ=ラングレンのお陰だな。さすがはアリスティド率いるアードラー寮、冷静で機転がきく上に筆頭監督生の薫陶が申し分なく行き届いている」
「恐縮だ」
 突然彼の名を出されても、以前のようにアリスティドの心中が波立つことはなかった。すでに自分の中で彼のことについては決着がついている。
 アリスティドは元々こうと決めたことは決して曲げず譲らず、また自分の判断に対して不安も後悔もしない。だからこそ、次の議題としてアーサーが再び彼の名を挙げた時もまったく動揺しなかった。

「ゲオルグ=ラングレンをアードラー寮の次期監督生に推したい」
 その言葉に筆頭監督生たちが互いに顔を見合わせる。すると眼鏡の奥の目を鋭く光らせてノイス寮のジョン=ローレンスが尋ねた。
「その意見自体に否やはないが、なぜそれをプレストン寮のきみが言うんだい?」
「もちろんアードラー寮のことに口を挟むつもりはないが、アードラー寮の筆頭は恐らく彼を推薦することはなさそうだからね」
 そう言って面白そうな笑みを浮かべてアーサーがアリスティドを見た。だがアリスティドはそんなアーサーの面白半分の挑発もあっさりと受け流す。
「彼は今まで自分から他の生徒と交わろうという意欲がなく、よって生徒たちの支持を集めることができないと考えていた。だが今回の一件で彼の名は学院中に知れ渡り、また彼自身にも下級生を守ることへの強い責任感とそれを実行する能力があることがわかった。よって私自身は総代の推薦に反対を唱える意志はない」
「……なるほど。賛成してくれてありがとう、筆頭監督生プリフェクト・アリスティド」
 先日のようなちょっとした動揺を欠片も見せず立て板に水のごとく賛成の意を表されて、アーサーが当ての外れたような顔をして肩をすくめた。だが不意に総代としての顔に戻ると、皆を見渡して言う。

「我々評議会の者はグロスター寮のヴィクトリア=エヴァンズ以外全員、あと数か月でこの学院を卒業する。その後のことを安心して任せられる人材が一人でも多く欲しい」
 すると名前の上がった評議会唯一の五学年生、ヴィクトリアが華やかな笑みを浮かべて言った。
「もちろん私は彼を歓迎いたします。確かに少しばかりとっつきにくそうな人ですが、彼がおのれの身を挺して生徒たちを助ける筆頭監督生プリフェクト・アリスティドの精神を受け継いだ素晴らしい人だということが今回の一件でよくわかりましたから」
 そしてアリスティドの方を見て頷く。
「さすがはアリスティド先輩です。ご自分の寮の生徒たちの能力を確実に見極め、彼のような優れた人材を的確に拾い上げては相応しい役目を与えて導いていらっしゃるのですから」
 買い被りすぎとしか言いようのないアリスティドへの評に思わず鼻白むところだったが、本当にそう思っているらしい彼女に罪はない。アリスティドはせいぜい嬉しそうな顔を作って見せると、再びアーサーへと向き直った。
「とにかく、次期役員や監督生および筆頭監督生の推薦に関して話し合う席はまた後日に。まだ皆昨日の疲れも残っている。今日はこれで解散ということでいいか? 総代」
「もちろん構わんよ」
 アーサーの返事を合図に皆が席から立ちあがる。そして順に会議室を後にした。

 朝からずっと気を張り詰めていたアリスティドはすぐにでも部屋に戻ってお茶でも飲みたかったが、まだ片付けなければならない仕事は山とある。思わずため息をつきそうになったところでアーサーが横から顔を覗かせた。
「冗談ではなく、彼を監督生に推すなら私も一口乗ってもいいぞ、アリスティド」」
「必要ない」
 冷たく答えると、アーサーが肩をすくめて言った。
「先日話に登ったウィリアムのいとこ殿ではないが、元々彼には密かに信奉する生徒たちが何人もいるんだ。何せ天下の『氷のプリンス』の懐刀だからな。本人にその気はないらしいが彼を次期監督生に、と望む声はすでにアードラー寮内でも上がっているとの報告だ」
「……誰からの」
「君が信頼しているテオ=リドレーだよ」
 アリスティドは隣の部屋の気のいい誠実の塊のような監督生の顔を思い浮かべて唇を引き結ぶ。だが今のアーサーの言には他にもっと気にかかる言葉があった。
「……懐刀というのはなんだ」
「まだしらばっくれるつもりか。彼は君に反逆し寮内に無用のトラブルを持ち込もうとしていた生徒たちをすでに三人追い出しているではないか」
 それを聞いてアリスティドは思わず歩く足を止めた。

「……なんだそれは」
「おや、本当に知らないのか?」
 アーサーはニヤリと笑ってアリスティドを見る。
「昨年の冬に傷害と飲酒そして賭博の罪で自主退学したリーズ寮の六学年二人と、今年家の都合と言って転出していったアードラー寮の五学年生だ。六学年二人についてはリーズ寮の寮監に匿名の告発があって現場を押さえられ、処分が下された。五学年生は表向きはただの転校ということになっているが、実際のところは昨年の六学年二人の罪は君が画策した冤罪だと騒ぎ立てようとしたところでゲオルグに見つかり、脅されて自ら他校に移ったんだ」
「…………なぜ君がそんなことを知っている」
「これでも評議会のトップだからな。それに彼のファンだと言うウィリアムのいとこ殿が実際に彼が五学年の男を寮の裏に引きずり込んで『お話し合い』をしているところを目撃している」
 そしてアーサーはふいに足を止めて言った。
「アリスティド、どうやらあのゲオルグ=ラングレンはよほど君に心酔いしているようだが……」
「気のせいだろう。特に親しく話した覚えもない」
 アーサーの言葉を遮ってアリスティドはそう言い捨てる。だが珍しく彼はそれでは引っ込まなかった。
「あの男も信用できないか?」
 いつも飄々としている彼の目がいつになく真面目な色を帯びていて、アリスティドは戸惑う。するとアーサーは誰にも聞かれぬようにか、潜めた声でアリスティドに言った。
「……アリスティド=ルノー。正直に言って君は私よりもずっと勤勉だし頭も切れる。何よりも、今よりもっと良い人間になろうという強い意志を持って努力しているところが素晴らしい。だが君は、例えそれが博打のようなものであっても、もっと気を許せる友を作り、君の心の一端を預けるという冒険をしてみるべきだ」
 あまりにも予想外の言葉に、アリスティドは黙ってアーサーを見つめる。彼とはもう長い付き合いだがこんなことを言われたのは初めてだった。
 アリスティドは少し考えて、そしてアーサーを見る。彼が言わんとしているところはわかる。だが今それを認めてしまうわけにはいかなかった。
「……なんのことかわからんな」
 アリスティドがそう答えると、アーサーはやれやれとばかりに肩をすくめる。それに気づかぬ振りをしてアリスティドは特別棟の階段を下りて外に出た。

 特別棟は、学院の南の敷地に点在している各寮のほぼ中心に位置している。アードラー寮はすぐ目の前だ。
(早く戻って寮内での表彰の手配をしなければ。あとは借りていた本を返却して、地理学の発表準備もあったな)
 アリスティドはアーサーとの会話を忘れて、今他に考えるべきことを頭に思い浮かべる。
(そういえば今朝テオが朝食に来ていなかった。昨日の雨で風邪でもひいたのだろうか。それならば今日の夕拝の担当を変えねば)

 その時、突然アリスティドの行く先を遮るように小さな影が立ちはだかった。
「……あの、アリスティド先輩……!」
 見下ろせば、名前も知らぬ女子生徒が両手を握りしめて立っていた。
 評議会の議場がある特別棟は一般の生徒は立ち入り禁止だ。誰だってよほどのことがない限り近づくことはない。なのにその小柄で、おどおどと俯き加減でアリスティドを見上げた女子生徒は一人でそこにいた。
「あの、突然すみません。でも、私、どうしても……」
 そう呟く声は小さくて、耳をすませなければ聞き取れない。女子は落ち着かなげに何度も握り込んだ手を唇に押し当て、視線をさまよわせてはまたアリスティドを見上げてくる。用がある素振りを見せながらもなかなか本題に入らない彼女に、アリスティドはこの忙しい時に、とうんざりする気持ちを押し隠した。

 アリスティドの外見や筆頭監督生という肩書に惹かれて、時折こんな風に女子がやってくることがある。彼女たちはみな一様に要領を得ぬ言葉で己の感情をアリスティドにぶつけ、何かしらの反応を求めてくる。だがただ同じ寮というだけでなんの付き合いもない相手や、時には名も顔も知らぬ者に一方的に好きだの憧れているだのと言われても返事のしようがない。
 それでも無視するわけにもいかず仕方なく足を止めると、アリスティドの苛立ちを察したのか、後ろから来た副総代のウィリアムが女子生徒に話しかけた。
「ここは一般の生徒は立ち入り禁止だ。先生に見つかると怒られるから、早く行った方がいい」
 だがウィリアムの声は聞こえていたはずなのに、その女子は見向きもせず答えもしなかった。ただせわしなく瞬きをしながらアリスティドを見る。

「……用があるなら手短にしてくれ。今は忙しい」
「あ、はい、わかってます」
 わかっている、というのに謝りはしない。そのくせもじもじと小さな唇を尖らせてちらちらと睫毛の隙間からアリスティドを見上げてくる。
 アリスティドと同じく特別棟から出て来た評議員たちの視線が飛んでくる。黙ったままひたすらアリスティドを見つめているその少女に苛立って「早く言いたまえ」とせかそうとした時、ようやく少女が口を開いた。
「あの、先輩」
 パチリ、と瞬きをする。
「私、アリスティド先輩に憧れてここに入学しました」
「………………そうか」
 だからと言ってなんと答えていいかわからず、適当に返事をする。すると少女がふんわりと笑って言った。
「だから私、五学年生になってすぐに委員に立候補したんです」
「………………何?」
 一瞬、アリスティドは耳を疑った。すぐ近くでウィリアムが息を呑むのがわかる。少女のあどけなく笑う唇がますます深く弧を描き、濡れ濡れと光る黒目がちの瞳がアリスティドを見上げた。
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