43 / 64
Ⅴ エルフの恋も信心から 編
キスをたくさん。 ★
しおりを挟む
ラカンの何が欲しい? そう聞かれたら全部としか答えようがない。
ラカンの手も足も指も髪も、あの鋭い牙も黒い角もなんでも見通すみたいな鋭い目も。それに意地悪なように見えるけど、俺がいっぱいいっぱいで馬鹿みたいに泣いてしまうとすぐに抱きしめてくれる、本当はあったかい心も。
俺はラカンの特別になりたい。ラカンの大きな心の中の片隅でいいから特別な場所が欲しい。もしそれをくれたなら、俺はラカンがよそでどれだけ他の誰かに優しくしてても、他の子に好かれてても、きっと怖くないと思う。
俺は歯を食いしばって震える身体を起こすと、俺を乗せて欲情に息を荒げているラカンを見る。
昔、一度だけ夢で見た事がある。ラカンが好きだと自覚して、でも男同士だし向こうにしてみればただの腐れ縁の相棒だし、絶対この気持ちを悟られるわけにはいかないって思い詰めてた頃に。
それはラカンにキスして貰う夢だった。
もちろん俺の勝手な妄想だってわかってたけど、それでも俺は嬉しくて嬉しくて、何年もの間密かにその他愛もない夢をこっそりひっそり大事な宝物みたいに胸の奥に仕舞ってた。
結局あんな道の往来の酒場の前なんかでどさくさに紛れて、一方的にラカンとの初めてのキスを奪ってしまったけど、でもそれでいいんだ。
俺がラカンのキスが欲しいんだから自分で奪りに行けばいいんだ。今までだって欲しいものにはずっとそうしてきたじゃないか。周りの反対を押し切って森を出て、試行錯誤しながらもこのダナンの街で暮らして、ラカンの良き相棒として八年もやってきたみたいに。
だからこれでいい。俺がキスをして、ラカンが答えてくれる。それだけですごく嬉しい。そう思って騎乗位のままもう一度身を屈めてラカンにキスをしようとした時、ラカンに止められて思わず息を飲んだ。
「ラカン……?」
「ちょっと待て」
ラカンが俺の下で身じろいで、そんで俺の腰を掴んだ。
「お前、このままじゃイけないだろ」
「え、や、それは……」
「いいから、体重かけて力抜いとけ」
「いや、それじゃ重いだろうし…………っ!?」
いきなり、ラカンがベッドについてた俺の左の膝をぐいっと払った。
「ひうんっつ!?」
あまりに突然のことに膝が滑って全体重が俺とラカンが繋がったソコにかかる。そしてラカンのモノにすんごい奥まで突き上げられた。
え、あ、うそ、初めてこんな奥まで挿れられた……? いや、それより、これ絶対、なにかすごくいけないところに当たってる、きがする。
「動かすぞ」
「や、まて、ちょ、ちょっとまて、ちょっとま…………ひゃうっつ!?」
ぐいっと、ラカンが俺の腰を揺すった。するとその危険な場所をラカンの張りつめた亀頭にぐぷっ、と抉られて頭が真っ白になる。
「ラカ、ラカン、まって、まってまって、やっ、ひんっ!」
俺は必死に両手を突っ張り、回らない舌で懸命にラカンの名前を呼ぶ。するとラカンが動きを止めて尋ねた。
「なんだ、マジでヤバイのか」
「ひ……っ、あっ、う、うう……」
ほんの少しでも動けばとんでもないことになる。そんな感覚に、言葉も出ない。
「そうか。よしよし。大丈夫だからな」
ラカンはそんなことを言って俺の背中や腰を撫でて、落ち着くまで待っててくれる。俺はその間に必死にまともな呼吸を取り戻そうとした。
「なあ、アドルティス」
ラカンに呼ばれて、驚きと混乱とでにじみ出てきた涙に濡れる目で瞬きする。するとラカンは俺の肘を撫で、指で辿って俺の腕を掴んでそっと引き寄せた。俺はラカンに貫かれたまま、前屈みになってラカンと顔を付き合わせた格好になる。
「なあ、アドルティス」
もう一度ラカンが俺の名を呼ぶ。
「なあ、お前、欲しいんだろう?」
「…………何を」
「……それは俺が言うことじゃねぇだろ」
「………………」
でも、俺は何も言えなかった。ラカンの強い視線に耐え切れず、ぎゅっと目をつぶる。
もちろん自分が欲しいものは自分が一番よくわかってる。でも言えなかった。言っていいのかわからなかったから。ううん、言って、もしそれが手に入らなかったら、自分が味わうことになる悲しさとか苦しさとか、そういうのが怖かったからだ。
俺はどうしていいかわからず唇をかみ締めて押し黙る。こういう肝心な時、俺の口はさっぱり役目を果たしてくれない。そしたらラカンが小さくため息をついた。思わず俺はビクッと固まってしまう。
「アドルティス、こっち見ろよ」
「………………」
無視するわけにもいかず、恐る恐る目を開けてると、ラカンがすっごい真剣な顔して俺を見てた。相変わらず俺が黙ったままでいると、また一つため息をついて俺の頭を引き寄せた。
ラカンの顔が近づいてきて、俺はたまらずにまた目を閉じる。すると額にひとつ、小さな優しいキスが落とされた。次は目蓋に、目尻に、鼻の頭をかぷりと噛まれて思わず笑ってしまう。そして俺の唇に、子どものころに森で摘んでは吸った花の蜜みたいにふんわりと甘く、それはそれはやさしくラカンの唇が触れた。
あ。ラカンが。キスしてくれた。
そう思った瞬間、ラカンが俺の唇を軽く食んで、そして舌先で口を開けるように促す。俺がそれに従うとラカンの暖かな舌が滑り込んできて、それからはもう夢中でラカンの舌を追いかけて、段々激しくなる愛撫に一生懸命答えた。
初めてラカンの方からキスしてくれた。
するとラカンが頼んでくれた木苺の酒のように綺麗な色が胸の中でぱちぱちと弾けて、俺の心臓をくすぐり、そして暖める。
ラカンが俺にくれて、胸の真ん中に宿ったその熱はじんわりと体中に広がっていって、目蓋の奥でまたキラキラと弾けた。
「好きだ、ラカン、ラカン」
俺はほんの一瞬唇が離れたその隙間を縫ってうわごとのように呟く。
「ラカン、好き。すごく、誰よりも一番大好きだ」
「そうかよ」
ラカンが喉の奥で笑いながら答える。そして言った。
「俺たちは見た目は似ても似つかないが、本当はすごく気が合うよな」
「………………え?」
思わず上半身を持ち上げてラカンを見下ろすと、鬼が捕まえた獲物を値踏みする目つきで言った。
「『麗しのエルフ様』の一番のファンは俺だぜ? 覚えとけよ、アディ」
「………………ふはっ!」
らしくない言い草に思わず吹き出してしまう。するとラカンがぎゅっと眉間に皴を刻んで俺に言った。
「いいか、二度とあんなつまんねぇ女たちにベタベタさせるんじゃないぞ。いいな」
「わかった」
「あとレンの野郎は……あいつはまあいい。上手く使え」
「使う?」
意味が分からずつい首を傾げる。次の瞬間ハッと我に返って、俺も負けじとラカンに向かって言った。
「あ、あんただって約束してくれ!」
「おお、いいぞ。なんだ」
「リ…………リナルアと…………その…………」
二人っきりで会わないで欲しい、なんて言ったらいけないだろうか。嫉妬心剥き出して、呆れられるかな、と躊躇っていたらラカンが鼻で笑った。
「あいつはただの魔石マニアだ。俺に用があるわけじゃない」
「え? マニア?」
「今度よく聞いてみろよ。あいつの話は全部いつの間にか石の話になってるから」
そ……そうだったのか…………初めて知った…………。
思わず呆然としてると、ラカンが俺の尻をぺちっと叩いて言った。
「で、どうすんだよ。今日はお前がイかせてくれるのか? それともいつもみたいに俺にたっぷりといじめて欲しいのか」
「い、いじめ……っ!?」
ちょっと考えてからおっかなびっくり答える。
「…………ど、どっちも……したい……」
「ったく、こっちは十日以上も野営続きで寝不足なんだぜ?」
「そ、そうか………………頑張れ?」
「あのなぁ」
「ふふっ」
そうやってお互い顔を見合わせて、笑った。
そして俺たちは会えなかった何日もの空白を埋めるかのように、そりゃあもうお互いの何もかもをたっぷり貪って堪能し尽くした。
「ラカン、ラカン、かっこいい、すき、だいすき」
初めは俺が上になったまま、ラカンの荒く息づく胸やぴくぴくしてる腹筋をたっぷり目や手や唇で楽しんでたら、イきそうになった直前にひっくり返されて今度は俺がベッドに組み伏せられた。
「え、あ、やだ、これ、やだ」
「いいから、よく見てろ」
膝裏を持ち上げられて、これでもかってくらい足を開かされて、ラカンのモノが出入りしているところを見せつけられる。すごい……ラカンの赤黒い極太の男根が、ぬるぬる出たり入ったりして、すごくいやらしい……。見てるだけで達してしまいそうだ……。
「はあんっ、んふあっ、んあっ、ふぅああっ」
ぬちぬちと音を立てながら行き来してたラカンのモノが、ぐぐっと奥に入ってきて最奥を打つ。
「ほら、全部入ったぜ? アディ」
「ひゃっ、んっ、すご、すご、い……っ、あっ、ひうっ」
そのままごつごつ奥を突かれてイかされて、それから一度抜かれて今度はうつ伏せにされて後ろから挿れられた。
「や、まえ、いじらないで……っ」
「じゃあこっちな」
「ひっ、そ、そっちも、だめ……ぇ……っ」
「お前、男に抱かれてる時はほんと女みたいに泣くのな」
「あっ、ち……ちが……っ、おんなのこなんかじゃ……あ、や、おく、んぐっ……っ」
「ほら、乳首ぷっくり勃起させて、触ってもないのに後ろぐちゅぐちゅされただけで摩羅勃たせて、ほんとに俺のアディはエロくてかわいいな」
「も……も、いうな……ひぁ……っ」
胸もナカもしつこく責めたてられてまたイかされて、大きな手でがっちりと腰を掴まれたまま溢れるくらいたっぷりとナカに出された。
その時点で俺の方はもうへとへとだったけどラカンの方がまだ満足しなかった。ラカン、疲れてるって言ってなかったか?
でも確かにラカンのモノはまだガチガチに勃起していて、だから今度は俺が口でしてあげて、そして口内で出されたのを全部はムリだったけどちょこっとだけ飲み込んだら、ラカンが怒ったようになんか言いながら俺の頭をはたいてきた。解せぬ。
◇ ◇ ◇
もう指一本動かせなくてぐったりしてる俺を、ラカンが後処理という名目で好き勝手に指でナカを弄り回す。そして自分が出したものを掻き出してながら、ふと思い出したように言った。
「……本当はもっと早く戻って来たかったんだぜ?」
「…………え…………?」
「お前、こないだ誕生日だったんだろう?」
って、え? ラカン知ってたのか? 確かにそんな話、随分昔に一度だけしたような気もするけど、でもラカンたち鬼人族は生まれた日を祝う習慣はないってその時聞いて、だからラカンもそういうの興味ないんだと思っていたのに。
「あ、ああ、そうだけ、ど……ひうっ」
俺は何度もイって恐ろしく敏感になったままの中をいいように弄ばれて、息も絶え絶えにラカンにしがみつきながら答えた。
「で、でも、ラカンは、そういうの、気にしない、って」
「自分のはな。でもエルフにとっては大事な日なんだろう?」
なんだか胸がきゅううっ、となってすごく苦しい。なんでだろう、すごく嬉しいのに苦しいなんて。
ラカンが俺の頭を膝に乗せてニッと笑う。
「お前がこの世に生まれて感謝してるんだから、俺にとっても大事な日だな…………ってなんで泣くんだよ、おい」
「泣いてない。絶対泣いてない」
みっともなくぐしぐしと拳で目を擦っていると、その手をラカンに掴まれた。
「いいか。俺にして欲しいことは何でも言え。黙って一人でぐるぐる考えてんじゃねぇぞ。わかったな」
「……わかった」
「よし」
それから言われた通り「キスして欲しい」って言って、ぎゅって抱きしめてもらいながらいっぱい口づけを交わしてたら、ラカンのモノがまた熱く硬くなってきた。
「……ほんとに、鬼人族って、すごいな……」
思わず感心しながらうっとりとその太い竿を扱いていたら、ラカンの指がまた俺のナカに潜り込んできた。
「なあ、お前もう眠たいんだろう。寝てていいからもう一回だけいいか?」
「ね、寝ててもいいの……?」
「ああ」
そう言ってラカンがちゅ、と俺の額に口づける。確かにもう体力が限界で、正直ものすごく眠い。
「……いい、よ……、おれのこと、すきにして……」
「かわいいな、アディ。このまま食っちまいたいくらいだぜ」
何かものすごく物騒なことを言われた気がしたが、結局そのまま気絶するみたいに眠ってしまった。けれど夜中に何度かふと意識が浮上するたびに俺のソコを何かがちゅくちゅくと出入りしているのを、確かに俺はずっと感じていた。
そして夜が明けて突然入ってきた極太の楔に奥まで貫かれて、朝っぱらからたっぷりと子種を注ぎ込まれながら俺はラカンから濃厚すぎるおはようのキスを貰ったのだった。
ラカンの手も足も指も髪も、あの鋭い牙も黒い角もなんでも見通すみたいな鋭い目も。それに意地悪なように見えるけど、俺がいっぱいいっぱいで馬鹿みたいに泣いてしまうとすぐに抱きしめてくれる、本当はあったかい心も。
俺はラカンの特別になりたい。ラカンの大きな心の中の片隅でいいから特別な場所が欲しい。もしそれをくれたなら、俺はラカンがよそでどれだけ他の誰かに優しくしてても、他の子に好かれてても、きっと怖くないと思う。
俺は歯を食いしばって震える身体を起こすと、俺を乗せて欲情に息を荒げているラカンを見る。
昔、一度だけ夢で見た事がある。ラカンが好きだと自覚して、でも男同士だし向こうにしてみればただの腐れ縁の相棒だし、絶対この気持ちを悟られるわけにはいかないって思い詰めてた頃に。
それはラカンにキスして貰う夢だった。
もちろん俺の勝手な妄想だってわかってたけど、それでも俺は嬉しくて嬉しくて、何年もの間密かにその他愛もない夢をこっそりひっそり大事な宝物みたいに胸の奥に仕舞ってた。
結局あんな道の往来の酒場の前なんかでどさくさに紛れて、一方的にラカンとの初めてのキスを奪ってしまったけど、でもそれでいいんだ。
俺がラカンのキスが欲しいんだから自分で奪りに行けばいいんだ。今までだって欲しいものにはずっとそうしてきたじゃないか。周りの反対を押し切って森を出て、試行錯誤しながらもこのダナンの街で暮らして、ラカンの良き相棒として八年もやってきたみたいに。
だからこれでいい。俺がキスをして、ラカンが答えてくれる。それだけですごく嬉しい。そう思って騎乗位のままもう一度身を屈めてラカンにキスをしようとした時、ラカンに止められて思わず息を飲んだ。
「ラカン……?」
「ちょっと待て」
ラカンが俺の下で身じろいで、そんで俺の腰を掴んだ。
「お前、このままじゃイけないだろ」
「え、や、それは……」
「いいから、体重かけて力抜いとけ」
「いや、それじゃ重いだろうし…………っ!?」
いきなり、ラカンがベッドについてた俺の左の膝をぐいっと払った。
「ひうんっつ!?」
あまりに突然のことに膝が滑って全体重が俺とラカンが繋がったソコにかかる。そしてラカンのモノにすんごい奥まで突き上げられた。
え、あ、うそ、初めてこんな奥まで挿れられた……? いや、それより、これ絶対、なにかすごくいけないところに当たってる、きがする。
「動かすぞ」
「や、まて、ちょ、ちょっとまて、ちょっとま…………ひゃうっつ!?」
ぐいっと、ラカンが俺の腰を揺すった。するとその危険な場所をラカンの張りつめた亀頭にぐぷっ、と抉られて頭が真っ白になる。
「ラカ、ラカン、まって、まってまって、やっ、ひんっ!」
俺は必死に両手を突っ張り、回らない舌で懸命にラカンの名前を呼ぶ。するとラカンが動きを止めて尋ねた。
「なんだ、マジでヤバイのか」
「ひ……っ、あっ、う、うう……」
ほんの少しでも動けばとんでもないことになる。そんな感覚に、言葉も出ない。
「そうか。よしよし。大丈夫だからな」
ラカンはそんなことを言って俺の背中や腰を撫でて、落ち着くまで待っててくれる。俺はその間に必死にまともな呼吸を取り戻そうとした。
「なあ、アドルティス」
ラカンに呼ばれて、驚きと混乱とでにじみ出てきた涙に濡れる目で瞬きする。するとラカンは俺の肘を撫で、指で辿って俺の腕を掴んでそっと引き寄せた。俺はラカンに貫かれたまま、前屈みになってラカンと顔を付き合わせた格好になる。
「なあ、アドルティス」
もう一度ラカンが俺の名を呼ぶ。
「なあ、お前、欲しいんだろう?」
「…………何を」
「……それは俺が言うことじゃねぇだろ」
「………………」
でも、俺は何も言えなかった。ラカンの強い視線に耐え切れず、ぎゅっと目をつぶる。
もちろん自分が欲しいものは自分が一番よくわかってる。でも言えなかった。言っていいのかわからなかったから。ううん、言って、もしそれが手に入らなかったら、自分が味わうことになる悲しさとか苦しさとか、そういうのが怖かったからだ。
俺はどうしていいかわからず唇をかみ締めて押し黙る。こういう肝心な時、俺の口はさっぱり役目を果たしてくれない。そしたらラカンが小さくため息をついた。思わず俺はビクッと固まってしまう。
「アドルティス、こっち見ろよ」
「………………」
無視するわけにもいかず、恐る恐る目を開けてると、ラカンがすっごい真剣な顔して俺を見てた。相変わらず俺が黙ったままでいると、また一つため息をついて俺の頭を引き寄せた。
ラカンの顔が近づいてきて、俺はたまらずにまた目を閉じる。すると額にひとつ、小さな優しいキスが落とされた。次は目蓋に、目尻に、鼻の頭をかぷりと噛まれて思わず笑ってしまう。そして俺の唇に、子どものころに森で摘んでは吸った花の蜜みたいにふんわりと甘く、それはそれはやさしくラカンの唇が触れた。
あ。ラカンが。キスしてくれた。
そう思った瞬間、ラカンが俺の唇を軽く食んで、そして舌先で口を開けるように促す。俺がそれに従うとラカンの暖かな舌が滑り込んできて、それからはもう夢中でラカンの舌を追いかけて、段々激しくなる愛撫に一生懸命答えた。
初めてラカンの方からキスしてくれた。
するとラカンが頼んでくれた木苺の酒のように綺麗な色が胸の中でぱちぱちと弾けて、俺の心臓をくすぐり、そして暖める。
ラカンが俺にくれて、胸の真ん中に宿ったその熱はじんわりと体中に広がっていって、目蓋の奥でまたキラキラと弾けた。
「好きだ、ラカン、ラカン」
俺はほんの一瞬唇が離れたその隙間を縫ってうわごとのように呟く。
「ラカン、好き。すごく、誰よりも一番大好きだ」
「そうかよ」
ラカンが喉の奥で笑いながら答える。そして言った。
「俺たちは見た目は似ても似つかないが、本当はすごく気が合うよな」
「………………え?」
思わず上半身を持ち上げてラカンを見下ろすと、鬼が捕まえた獲物を値踏みする目つきで言った。
「『麗しのエルフ様』の一番のファンは俺だぜ? 覚えとけよ、アディ」
「………………ふはっ!」
らしくない言い草に思わず吹き出してしまう。するとラカンがぎゅっと眉間に皴を刻んで俺に言った。
「いいか、二度とあんなつまんねぇ女たちにベタベタさせるんじゃないぞ。いいな」
「わかった」
「あとレンの野郎は……あいつはまあいい。上手く使え」
「使う?」
意味が分からずつい首を傾げる。次の瞬間ハッと我に返って、俺も負けじとラカンに向かって言った。
「あ、あんただって約束してくれ!」
「おお、いいぞ。なんだ」
「リ…………リナルアと…………その…………」
二人っきりで会わないで欲しい、なんて言ったらいけないだろうか。嫉妬心剥き出して、呆れられるかな、と躊躇っていたらラカンが鼻で笑った。
「あいつはただの魔石マニアだ。俺に用があるわけじゃない」
「え? マニア?」
「今度よく聞いてみろよ。あいつの話は全部いつの間にか石の話になってるから」
そ……そうだったのか…………初めて知った…………。
思わず呆然としてると、ラカンが俺の尻をぺちっと叩いて言った。
「で、どうすんだよ。今日はお前がイかせてくれるのか? それともいつもみたいに俺にたっぷりといじめて欲しいのか」
「い、いじめ……っ!?」
ちょっと考えてからおっかなびっくり答える。
「…………ど、どっちも……したい……」
「ったく、こっちは十日以上も野営続きで寝不足なんだぜ?」
「そ、そうか………………頑張れ?」
「あのなぁ」
「ふふっ」
そうやってお互い顔を見合わせて、笑った。
そして俺たちは会えなかった何日もの空白を埋めるかのように、そりゃあもうお互いの何もかもをたっぷり貪って堪能し尽くした。
「ラカン、ラカン、かっこいい、すき、だいすき」
初めは俺が上になったまま、ラカンの荒く息づく胸やぴくぴくしてる腹筋をたっぷり目や手や唇で楽しんでたら、イきそうになった直前にひっくり返されて今度は俺がベッドに組み伏せられた。
「え、あ、やだ、これ、やだ」
「いいから、よく見てろ」
膝裏を持ち上げられて、これでもかってくらい足を開かされて、ラカンのモノが出入りしているところを見せつけられる。すごい……ラカンの赤黒い極太の男根が、ぬるぬる出たり入ったりして、すごくいやらしい……。見てるだけで達してしまいそうだ……。
「はあんっ、んふあっ、んあっ、ふぅああっ」
ぬちぬちと音を立てながら行き来してたラカンのモノが、ぐぐっと奥に入ってきて最奥を打つ。
「ほら、全部入ったぜ? アディ」
「ひゃっ、んっ、すご、すご、い……っ、あっ、ひうっ」
そのままごつごつ奥を突かれてイかされて、それから一度抜かれて今度はうつ伏せにされて後ろから挿れられた。
「や、まえ、いじらないで……っ」
「じゃあこっちな」
「ひっ、そ、そっちも、だめ……ぇ……っ」
「お前、男に抱かれてる時はほんと女みたいに泣くのな」
「あっ、ち……ちが……っ、おんなのこなんかじゃ……あ、や、おく、んぐっ……っ」
「ほら、乳首ぷっくり勃起させて、触ってもないのに後ろぐちゅぐちゅされただけで摩羅勃たせて、ほんとに俺のアディはエロくてかわいいな」
「も……も、いうな……ひぁ……っ」
胸もナカもしつこく責めたてられてまたイかされて、大きな手でがっちりと腰を掴まれたまま溢れるくらいたっぷりとナカに出された。
その時点で俺の方はもうへとへとだったけどラカンの方がまだ満足しなかった。ラカン、疲れてるって言ってなかったか?
でも確かにラカンのモノはまだガチガチに勃起していて、だから今度は俺が口でしてあげて、そして口内で出されたのを全部はムリだったけどちょこっとだけ飲み込んだら、ラカンが怒ったようになんか言いながら俺の頭をはたいてきた。解せぬ。
◇ ◇ ◇
もう指一本動かせなくてぐったりしてる俺を、ラカンが後処理という名目で好き勝手に指でナカを弄り回す。そして自分が出したものを掻き出してながら、ふと思い出したように言った。
「……本当はもっと早く戻って来たかったんだぜ?」
「…………え…………?」
「お前、こないだ誕生日だったんだろう?」
って、え? ラカン知ってたのか? 確かにそんな話、随分昔に一度だけしたような気もするけど、でもラカンたち鬼人族は生まれた日を祝う習慣はないってその時聞いて、だからラカンもそういうの興味ないんだと思っていたのに。
「あ、ああ、そうだけ、ど……ひうっ」
俺は何度もイって恐ろしく敏感になったままの中をいいように弄ばれて、息も絶え絶えにラカンにしがみつきながら答えた。
「で、でも、ラカンは、そういうの、気にしない、って」
「自分のはな。でもエルフにとっては大事な日なんだろう?」
なんだか胸がきゅううっ、となってすごく苦しい。なんでだろう、すごく嬉しいのに苦しいなんて。
ラカンが俺の頭を膝に乗せてニッと笑う。
「お前がこの世に生まれて感謝してるんだから、俺にとっても大事な日だな…………ってなんで泣くんだよ、おい」
「泣いてない。絶対泣いてない」
みっともなくぐしぐしと拳で目を擦っていると、その手をラカンに掴まれた。
「いいか。俺にして欲しいことは何でも言え。黙って一人でぐるぐる考えてんじゃねぇぞ。わかったな」
「……わかった」
「よし」
それから言われた通り「キスして欲しい」って言って、ぎゅって抱きしめてもらいながらいっぱい口づけを交わしてたら、ラカンのモノがまた熱く硬くなってきた。
「……ほんとに、鬼人族って、すごいな……」
思わず感心しながらうっとりとその太い竿を扱いていたら、ラカンの指がまた俺のナカに潜り込んできた。
「なあ、お前もう眠たいんだろう。寝てていいからもう一回だけいいか?」
「ね、寝ててもいいの……?」
「ああ」
そう言ってラカンがちゅ、と俺の額に口づける。確かにもう体力が限界で、正直ものすごく眠い。
「……いい、よ……、おれのこと、すきにして……」
「かわいいな、アディ。このまま食っちまいたいくらいだぜ」
何かものすごく物騒なことを言われた気がしたが、結局そのまま気絶するみたいに眠ってしまった。けれど夜中に何度かふと意識が浮上するたびに俺のソコを何かがちゅくちゅくと出入りしているのを、確かに俺はずっと感じていた。
そして夜が明けて突然入ってきた極太の楔に奥まで貫かれて、朝っぱらからたっぷりと子種を注ぎ込まれながら俺はラカンから濃厚すぎるおはようのキスを貰ったのだった。
100
お気に入りに追加
3,413
あなたにおすすめの小説
信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……
鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。
そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。
これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。
「俺はずっと、ミルのことが好きだった」
そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。
お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ!
※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる