恋に落ちてしまえ

伊藤クロエ

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キーガンの献身(2)★

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「ナカって、どこだ……?」

 ジェイデンの掠れた声が聞こえる。

(なんで、そんなとこ……?)

 だがにわかにぐらぐらと沸騰し始めた下腹部の熱に気を取られて、キーガンは弱弱しく首を振り、意味のない声を漏らすことしかできない。

「あ……っ、んん…………っ、ふ、あ……っ」
(あつい、あつい、なんだよ、これ……っ)

 ジェイデンの舌が竿といわず陰嚢といわずまさぐり、太腿の付け根から会陰のあたりにまで這ってくる。

「あ、んっ、ジェイデ、ン、な、なに……んんっ!」

 キーガンは熱に浮かされたようにひたすら浅い息を吐き、後頭部を敷布に擦りつけ、ジェイデンの頭を挟む太腿に力を籠めた。ぬるり、と後ろを舌が這う。舐めて、つついて、押し開く。

「ハッ、ハッ、んっ、あ…………っ」

 再びジェイデンの暖かい口内に咥え込まれる。そしてぬぷ、とナカ・・に何かが入って来た。

「え、あ、ジェイ、…………っ?」

 突然、ぐずぐずと甘い熱を孕んでいた場所に、内側から何かが触れる。

「ひっ!?」

 そのままぬるぬると撫でられ、時々ぐり、と抉られた。

「ひゃっ、あっ、ちょ、やめ、あ……っ、いやだ、そこ……っ!」

 だがジェイデンはキーガンの制止などお構いなしに中を突き、ぐりぐりと擦り立てながらキーガンのモノをしゃぶり続ける。

「……中、って、ここか……?」

 咥えたままジェイデンが尋ねてくる。

「キーガン、ここ……? ここが気持ち悪いのか……?」
「ひうんっ!!」

 ジェイデンの指が何度もそこを撫でては引っ掻き、押し潰してくる。

「や……っ、わ、わかんね……っ、なんだよ、これ……っ!?」

 ナカから刺激されていつの間にかキーガンの男根が再び勃起し始めていた。それを信じられない思いで見下ろす。

「ウソだろ……? だって、そんな、ムリだ……って……っ!」
「……無理じゃないようだが……?」

 じゅるじゅると先端を吸いながらジェイデンがキーガンを見上げる。

「……驚いたな。ほら、また元気になった」

 そう言ってまたジェイデンが中のしこりを太い指の腹で優しく撫でた。

「ひっ! やめ……っ、ジェイデン、そこ、も、さわん、な……っ」

 キーガンは必死に足を突っ張ってジェイデンを押しのけようとするが、背は同じでも身体の厚みと重さがまるで違うジェイデンにがっちりと抑え込まれて、それもかなわない。だが、そうする合間にも中を弄る指は増やされ、執拗にソコを責め立てられる。そのたびにゾクゾクと未知の快感が腰の奥から背中を駆けあがり、脳髄を直撃する。

「あっ、あっ、んん……っ! クソッ! はな、せ、ソコ、なんなんだよ……っ」
「……なんだろう……すこしふっくらして、しこりのようになっている……」

 するとジェイデンが小さく笑って答えた。

「ああ、キーガン、気持ちがいいのか……?」

 ジェイデンがキーガンの中に突っ込んだ指を動かすたびに、ぐちゅぐちゅと濡れた音がする。キーガンは混乱する頭で必死に声を押し殺そうとするが、未知の快感にそれも叶わない。
 いつもすまなさそうな顔でキーガンに謝り唇を噛むあのジェイデンが、なぜかひどく嬉しそうな顔でキーガンの中を指で犯し、再び力をもって勃ち上がり震えている逸物を見ている。

「キーガン、ここもか?」
「んぐ……っ!!」

 ジェイデンが今や完全に勃起したキーガンのモノを輪にした親指と人差し指でぬちぬちと扱きながら、残る指で臍下の陰毛を掻き分け、撫でた。その瞬間、またしてもドクン!と心臓が高鳴り、耐えがたいほどの熱が生まれる。

「あ、ソコ、ソコ、あ、あ」

 ジェイデンに下腹を押される度に今まで感じたことのないような快感が襲い掛かってくる。

「はは……っ、不思議だな。ナカの……ココを刺激すると勃つのか」

 初めてジェイデンの口から聞く猥雑な言葉に、なぜか下半身がずん、と重くなる。

「うる、せ……っ」
「なあ、キーガン。頼むから、もっとくれないか? お前の精気」
「は……っ、あっ! い……っ、ハッ、ハッ」
(ハラんなか、あつくて、あたま、ふっとうしそう……っ!)

 ジェイデンが揃えた指の腹で容赦なくナカを押し潰しながら、首を伸ばしてまたキーガンに口づけた。

「は、ふ……っ!んん…………っ、んちゅ、う、あ…………っ」

 まるで別の生き物のようにジェイデンの舌がキーガンの上顎をくすぐり、舌を絡め取ってぬるぬると擦りつけてくる。そしてまたとろとろと唾液を飲み込まされた。

(ウソ、なんだよ、これ、なんか、おかし…………っ!)

 まったく自分ではコントロールできない快楽がキーガンの胎内で暴れまわっている。キーガンは再びキーガンの股間に顔を埋めたジェイデンの髪を掴んで、荒い息を吐き甘く濡れた声を漏らしながら仰け反る。

「ハッ、あっ、も、ムリ、出ねぇって……っ、イヤだ、あ、あ、う゛~~~~っ!!」

 そのままキーガンは嫌というほど中のふくらみを突かれて強制的に吐き出させられた。だがとっくに精液の尽きたキーガンの性器から精液とは何か別のものが出ているような気がして愕然とする。

「ん゛ん゛~~~~ッツ!!」

 通常の射精とは違い、断続的に何度もびゅっ、びゅっ、といつまで経っても止まらないそれに、キーガンは全身を痙攣させながら悶絶した。

「……っ……、っは……ぁ……っ、……っぁ…………っ」

 息もできず、声も出ない。未だ小さく跳ねている身体を抑えつけながら、ジェイデンが音を立ててすべて飲み下した。そしてようやく顔を上げたジェイデンの、囁くような声が耳に届く。

「…………あまい」

 薄暗い部屋に充満する、キーガンの荒い息遣いと擦れたジェイデンの声、そしてあまりに濃い、性の匂い。

「キーガンの、すごく、あまくて、うまい」
(……そんなわけ、ねーだろ)

 バクバクと、心臓がまだ暴れている。ずるり、と指が抜けていって、キーガンは思わず甘く呻いた。

「なあ、キーガン。まだココ、つらいか?」

 ざりざりと、ジェイデンがキーガンの陰毛を掻き回し、ソコを撫でさする。そして時折くっ、とそこを押さえて、キーガンの顔を覗き込んだ。

「キーガン、こんどは、おれに助けさせてくれないか?」

 いつの間にか日が暮れかかった薄暗い部屋で、覆いかぶさるジェイデンの表情はわからない。けれど、その声はひどく甘く、そして優しかった。

「キーガン、なあ、キーガン」

 また、ジェイデンが口づけてくる。ちゅくちゅくと濡れた音が暗い部屋に籠る。
 キーガンはぼんやりと天井を見上げながら、もはや耐え難いほど熱く疼く下腹の熱と、今まで自分でさえも触れたことのなかったその場所にジェイデンの舌が触れるのを、ただ感じていた。
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