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ジェイデンの秘密(1)★
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ブラックウェル家が王国随一の騎士の家系と言われるには理由がある。
このブリタニア王国の初代ダレイアス王が巨大な三つ首の魔獣に襲われた時、身を挺して守ったのがジョシュアという名の騎士だった。彼は同族食いを繰り返して悪霊化した魔獣の真っ黒な返り血を全身に浴びながら王を守り抜き、その功績をもってブラックウェルの姓を与えられ王国随一の騎士と称えられた。
だがその魔獣の血のせいでジョシュアは子々孫々まで受け継がれるほどの強力な呪いを受けてしまった。
それは、生きた人間から精気を奪わねば生きてはいけないという、まさに騎士の高潔さを真っ向から否定し、貶める最悪の呪いだった。
幼い頃は少しばかり疲れやすく、その割に人の二倍も三倍もよく食べる子どもだったというジェイデンは、思春期、そして第二次性徴期を迎えると同時に呪いが顕著に表れるようになった。
いわく、どれだけ食べても休んでも倦怠感が消えず、下手をすると動けなくなってしまう。
その時父親から初めて呪いのことを聞かされたそうだ。まだ十二、三だったジェイデンにとってどれほどショックなことだっただろうか。
あれから十数年、キーガンはまだ子どもだったジェイデンが自分に掛けられた呪いを始めて知った時に感じただろう恐怖や絶望を想像するたびに、胸が引き攣れるような痛みを感じる。同じ年の頃にキーガンが抱えていた悩みといえば、どうやって母親の目を盗んで納戸にしまわれたハムの塊から一切れちょうだいするかや、やたらと自分にちょっかいをかけてくる鍛冶屋の息子をギャフンと言わせるためにはどうすればいいかぐらいしかなかった。そう思うとキーガンはいつもいたたまれない気持ちになる。
それからジェイデンが大人になるにつれて段々とかけられた呪いが強く出てきて、人の精気を摂取しないと生きてはいけない身体になってしまったのだそうだ。
精気を得るために一番効率のいい方法は、人間の体液を飲むことだという。
体液といえば涙や汗、唾液、血、そんなものが頭に浮かぶが、他人のそんなものを飲み下すなど死んでもごめんだ、と初めジェイデンは思ったらしい。それまでは少々疲れやすいが普通の人間として暮らしてきた彼にしてみれば当然のことだろう。
だが学院に入学した最初の年、冬の魔獣狩りに合わせて家に戻った時にジェイデンは倒れたのだそうだ。その時は父親が自分の腕を切り、ジェイデンに血を与えたらしい。そしてジェイデンは己に架せられた呪いを認めざるを得なくなった。
ジェイデンは、人の体液を摂取しないと死んでしまうのだ。
◇ ◇ ◇
キーガンは自分がジェイデンと出会ってからのことをつらつらと思い返しながら、深々とため息をつく。
祭りの浮かれる空気の中でジェイデンを取り囲む娘たちの中から彼を救い出した時、彼がひどく青褪めた顔をしながらも気丈に騎士団長としての務めを果たそうとしているのを見て、キーガンはすぐに彼が限界近くまで飢えていることに気が付いた。
『ジェイデンは、人の体液を摂取しないと死ぬ』
だからジェイデンは多くの娘たちが憧れの目で見つめながら彼に愛を告げる星誕節の真っ最中に、こんな下町の安っぽい宿屋の二階なんかで好きでもない男の前にひざまずく屈辱に耐えているのだ。
「……は……っ、……ッ、…………っふ、…………ッ」
昼下がりの明るい宿屋の小さな部屋に荒い息遣いと濡れた吐息、そしてたまらない熱が充満している。ジェイデンのざらついた肉厚な舌がキーガンの男根に絡みつき、いつもかたく引き結ばれている唇が一滴残らず精を吐き出させようと根本から扱いてくる。
「あ……っ、…………んぐ…………っ」
キーガンはジェイデンの赤い髪を掴み、拳を口に押し当てて必死に声を押さえようとした。
(そうだ、ジェイデンは、すきでこんなことしてるんじゃない)
父や兄、そして代々続く名家の名を貶めず、幼い頃から目指した立派な騎士になるために、仕方なく同性の、ただの元同級生で今は同僚というだけのキーガンのモノを咥え込み、まるで飢えたケモノのように貪っている。一体どれほどの恥辱を、苦痛をその腹の中に飲み込み、いつでも堂々としたその姿の奥深くに隠しているのだろうか。
(なのに、おれが、ジェイデンを女のようにあつかうわけにはいかない)
ああ、今すぐめちゃくちゃに腰をふりたくって射精したい。股間に埋められた頭を掴んで逃げられないようにがっちり固定して、熱く狭い喉奥に突き立てて思う存分扱いて絶頂したい。けれどそんな下卑た欲望を彼に、キーガンを大事な唯一無二の親友だと呼ぶジェイデンに向けることは絶対に許せない。
キーガンはぬめぬめと竿を行き来するジェイデンの舌と唇の感触に再び湧き起こる衝動を、必死に歯を食いしばって抑え込む。けれど。
(なのに、こいつの、くちのなか、きもちよすぎて……っ)
「……ッ、んっ、ふ、ハッ、ハ……んぐっ!」
ジェイデンにまるで催促するように舌先で先端の穴を穿られて、思わずキーガンは息を呑んだ。
「……キー、ガン……」
亀頭を粘膜に押し付けてピストンしながら、ジェイデンの熱く濡れた目がキーガンを見上げる。
「……ほしい、はやく」
ちゅうっ、と先端を吸い、パンパンに張った陰嚢を唇で食んでジェイデンが言った。
「のどが、はらが、かわいて、しかたないんだ」
毎日大きな鋼鉄の大剣を腰に佩いては騎士たちを指揮する団長という立場になった今でも王都を自ら警邏して周り、毎朝詰所の鍛錬場を十周走って体力をつけ、冬眠しそこねたはぐれ魔獣が王都の外れに迷い込んで市民に襲い掛かった時も先頭に立って勇猛果敢に立ち向かい、見事魔獣の首を斬り落とした男が、ガチガチに勃起したキーガンのものに舌を這わせて太くて硬い指の腹でぬるぬると擦りたてる。
「…………キーガン」
助けてくれ、とは死んでも言わないし、言えないだろう。『騎士とは誰かを守るために存在する』というのが信条である彼はそういう男だ。だからキーガンはジェイデンがそれを口にせざるを得なくなる前に、自らソレを与えてやるのだ。
ジェイデンが再びキーガンのモノを根本まで飲み込んで喉奥でぎゅうぅっと締め付ける。
「……っ! ジェ、ジェイデン……っ、も、でる……っ」
我慢できずにジェイデンの頭を掴んで股間に押し付けた。するとジェイデンもキーガンの腰をきつく抱き寄せる。
「………………ッツ!!」
ドクン! と心臓が大きく跳ねて、陰嚢の奥から一気に熱い奔流がペニスを駆け上る。そしてキーガンは溜め込んだ精液をすべてジェイデンの口の中にぶちまけた。
「…………んぐ…………っ!」
ジェイデンが肩を強張らせて息を止める。そしてゆっくりと、喉を鳴らしてキーガンの精液を飲み下した。そのまま先端をちゅうちゅうと吸って中に残っていたものもすべて飲み込むと、わずかに竿に残った白濁を舌を伸ばして舐め取る。そして普段の彼なら絶対にありえないぼんやりとした顔でキーガンを見上げて、はぁ……、と息をついた。
「…………っは…………っ、は……っ、はっ」
キーガンは荒い呼吸を繰り返しながらなんとか平静さを取り戻そうとする。
「……どうだ、もう大丈夫か……?」
キーガンが尋ねると、ジェイデンがいまだ熱に浮かされたような顔をして囁いた。
「……あと、すこし」
「は?」
「もうちょっと、ほしい」
突然ジェイデンが腕を伸ばしてキーガンの頭を掴む。そして下からぐいと顔を近づけて言った。その金色の目の中に揺らめく赤い熾火を見つけてキーガンは息を呑む。
「なあ、こっちでいいから、もうすこし」
そして返事も待たずにキーガンの頭を引き寄せて唇に噛みついてきた。
このブリタニア王国の初代ダレイアス王が巨大な三つ首の魔獣に襲われた時、身を挺して守ったのがジョシュアという名の騎士だった。彼は同族食いを繰り返して悪霊化した魔獣の真っ黒な返り血を全身に浴びながら王を守り抜き、その功績をもってブラックウェルの姓を与えられ王国随一の騎士と称えられた。
だがその魔獣の血のせいでジョシュアは子々孫々まで受け継がれるほどの強力な呪いを受けてしまった。
それは、生きた人間から精気を奪わねば生きてはいけないという、まさに騎士の高潔さを真っ向から否定し、貶める最悪の呪いだった。
幼い頃は少しばかり疲れやすく、その割に人の二倍も三倍もよく食べる子どもだったというジェイデンは、思春期、そして第二次性徴期を迎えると同時に呪いが顕著に表れるようになった。
いわく、どれだけ食べても休んでも倦怠感が消えず、下手をすると動けなくなってしまう。
その時父親から初めて呪いのことを聞かされたそうだ。まだ十二、三だったジェイデンにとってどれほどショックなことだっただろうか。
あれから十数年、キーガンはまだ子どもだったジェイデンが自分に掛けられた呪いを始めて知った時に感じただろう恐怖や絶望を想像するたびに、胸が引き攣れるような痛みを感じる。同じ年の頃にキーガンが抱えていた悩みといえば、どうやって母親の目を盗んで納戸にしまわれたハムの塊から一切れちょうだいするかや、やたらと自分にちょっかいをかけてくる鍛冶屋の息子をギャフンと言わせるためにはどうすればいいかぐらいしかなかった。そう思うとキーガンはいつもいたたまれない気持ちになる。
それからジェイデンが大人になるにつれて段々とかけられた呪いが強く出てきて、人の精気を摂取しないと生きてはいけない身体になってしまったのだそうだ。
精気を得るために一番効率のいい方法は、人間の体液を飲むことだという。
体液といえば涙や汗、唾液、血、そんなものが頭に浮かぶが、他人のそんなものを飲み下すなど死んでもごめんだ、と初めジェイデンは思ったらしい。それまでは少々疲れやすいが普通の人間として暮らしてきた彼にしてみれば当然のことだろう。
だが学院に入学した最初の年、冬の魔獣狩りに合わせて家に戻った時にジェイデンは倒れたのだそうだ。その時は父親が自分の腕を切り、ジェイデンに血を与えたらしい。そしてジェイデンは己に架せられた呪いを認めざるを得なくなった。
ジェイデンは、人の体液を摂取しないと死んでしまうのだ。
◇ ◇ ◇
キーガンは自分がジェイデンと出会ってからのことをつらつらと思い返しながら、深々とため息をつく。
祭りの浮かれる空気の中でジェイデンを取り囲む娘たちの中から彼を救い出した時、彼がひどく青褪めた顔をしながらも気丈に騎士団長としての務めを果たそうとしているのを見て、キーガンはすぐに彼が限界近くまで飢えていることに気が付いた。
『ジェイデンは、人の体液を摂取しないと死ぬ』
だからジェイデンは多くの娘たちが憧れの目で見つめながら彼に愛を告げる星誕節の真っ最中に、こんな下町の安っぽい宿屋の二階なんかで好きでもない男の前にひざまずく屈辱に耐えているのだ。
「……は……っ、……ッ、…………っふ、…………ッ」
昼下がりの明るい宿屋の小さな部屋に荒い息遣いと濡れた吐息、そしてたまらない熱が充満している。ジェイデンのざらついた肉厚な舌がキーガンの男根に絡みつき、いつもかたく引き結ばれている唇が一滴残らず精を吐き出させようと根本から扱いてくる。
「あ……っ、…………んぐ…………っ」
キーガンはジェイデンの赤い髪を掴み、拳を口に押し当てて必死に声を押さえようとした。
(そうだ、ジェイデンは、すきでこんなことしてるんじゃない)
父や兄、そして代々続く名家の名を貶めず、幼い頃から目指した立派な騎士になるために、仕方なく同性の、ただの元同級生で今は同僚というだけのキーガンのモノを咥え込み、まるで飢えたケモノのように貪っている。一体どれほどの恥辱を、苦痛をその腹の中に飲み込み、いつでも堂々としたその姿の奥深くに隠しているのだろうか。
(なのに、おれが、ジェイデンを女のようにあつかうわけにはいかない)
ああ、今すぐめちゃくちゃに腰をふりたくって射精したい。股間に埋められた頭を掴んで逃げられないようにがっちり固定して、熱く狭い喉奥に突き立てて思う存分扱いて絶頂したい。けれどそんな下卑た欲望を彼に、キーガンを大事な唯一無二の親友だと呼ぶジェイデンに向けることは絶対に許せない。
キーガンはぬめぬめと竿を行き来するジェイデンの舌と唇の感触に再び湧き起こる衝動を、必死に歯を食いしばって抑え込む。けれど。
(なのに、こいつの、くちのなか、きもちよすぎて……っ)
「……ッ、んっ、ふ、ハッ、ハ……んぐっ!」
ジェイデンにまるで催促するように舌先で先端の穴を穿られて、思わずキーガンは息を呑んだ。
「……キー、ガン……」
亀頭を粘膜に押し付けてピストンしながら、ジェイデンの熱く濡れた目がキーガンを見上げる。
「……ほしい、はやく」
ちゅうっ、と先端を吸い、パンパンに張った陰嚢を唇で食んでジェイデンが言った。
「のどが、はらが、かわいて、しかたないんだ」
毎日大きな鋼鉄の大剣を腰に佩いては騎士たちを指揮する団長という立場になった今でも王都を自ら警邏して周り、毎朝詰所の鍛錬場を十周走って体力をつけ、冬眠しそこねたはぐれ魔獣が王都の外れに迷い込んで市民に襲い掛かった時も先頭に立って勇猛果敢に立ち向かい、見事魔獣の首を斬り落とした男が、ガチガチに勃起したキーガンのものに舌を這わせて太くて硬い指の腹でぬるぬると擦りたてる。
「…………キーガン」
助けてくれ、とは死んでも言わないし、言えないだろう。『騎士とは誰かを守るために存在する』というのが信条である彼はそういう男だ。だからキーガンはジェイデンがそれを口にせざるを得なくなる前に、自らソレを与えてやるのだ。
ジェイデンが再びキーガンのモノを根本まで飲み込んで喉奥でぎゅうぅっと締め付ける。
「……っ! ジェ、ジェイデン……っ、も、でる……っ」
我慢できずにジェイデンの頭を掴んで股間に押し付けた。するとジェイデンもキーガンの腰をきつく抱き寄せる。
「………………ッツ!!」
ドクン! と心臓が大きく跳ねて、陰嚢の奥から一気に熱い奔流がペニスを駆け上る。そしてキーガンは溜め込んだ精液をすべてジェイデンの口の中にぶちまけた。
「…………んぐ…………っ!」
ジェイデンが肩を強張らせて息を止める。そしてゆっくりと、喉を鳴らしてキーガンの精液を飲み下した。そのまま先端をちゅうちゅうと吸って中に残っていたものもすべて飲み込むと、わずかに竿に残った白濁を舌を伸ばして舐め取る。そして普段の彼なら絶対にありえないぼんやりとした顔でキーガンを見上げて、はぁ……、と息をついた。
「…………っは…………っ、は……っ、はっ」
キーガンは荒い呼吸を繰り返しながらなんとか平静さを取り戻そうとする。
「……どうだ、もう大丈夫か……?」
キーガンが尋ねると、ジェイデンがいまだ熱に浮かされたような顔をして囁いた。
「……あと、すこし」
「は?」
「もうちょっと、ほしい」
突然ジェイデンが腕を伸ばしてキーガンの頭を掴む。そして下からぐいと顔を近づけて言った。その金色の目の中に揺らめく赤い熾火を見つけてキーガンは息を呑む。
「なあ、こっちでいいから、もうすこし」
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