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315話「学祭っ!1日目⭐︎①」
しおりを挟む二日間にわたる学祭の初日を迎えた東咲高校。
生徒たちは皆、準備の手を止め体育館に集まり、校長そして生徒会長の話を聞いていた。
猪山「注意事項は以上だ。わかっていると思うが、こんな簡単なことすら守れんやつらは、卒業まで生徒会がこき使ってやるから覚悟しておけよ。」
生徒たち(会長おっかねぇ...。)
猪山「羽目を外したくなる気持ちは、わからんでもない。が、ルールを破ってしまえば、楽しいものも一瞬で壊れていく。そのことは肝に命じておけ。」
猪山「もしなにかトラブルがあったら、すぐに生徒会か風紀委員に連絡しろ。ルールを守って楽しくはしゃいでいるのであれば、俺たちが全力で守ってやる。」
生徒たち(会長かっけぇ...!)
猪山「俺からは、以上だ。では...東咲高校の学祭、ルールを守って目一杯楽しめぇぇぇ!!」
生徒たち「「おぉぉーーー!!」」
ーーー
多目的教室という広い空き教室を借りてお化け屋敷を行う1-Aクラスは、午前の部でお化け役として出る生徒たちが衣装に着替えたりメイクをしたりと、各自が楽しそうに話しながら準備をしている。
水面「...これでいいかな?どう?」
新沼「うん、すごくいいと思う。ありがとう、水面ちゃん。」
水面「血のメイクとかやったことないから、上手く出来てるか不安でいっぱいだよ。」
新沼「こういう機会じゃないと、やらないしね。でも、すごく上手だと思うよ。」
水面「咲ちゃんにそう言ってもらえると、安心するわ。ありがーーー」
手鞠「ひぁぁぁぁ~!?か、可愛い!とっても可愛い!めちゃんこバリバリ可愛いよ、咲ちゃん!!」
新沼「あ、う、うん。ありがと...。」
手鞠「お化けメイクの咲ちゃんも可愛いけど、その赤衣装に身を包んだ咲ちゃんがほんとに可愛い!とっても可愛い!最高に素晴らしく可愛いです! 写真撮っていいですか!?」
新沼「写真は、準備の時にいっぱい撮ってーーー」
手鞠「うひょぉぉぉ!可愛いぃぃぃぃ!!」
新沼(許可出す前に撮ってるし...。)
手鞠「最高!最高!咲ちゃん最高!可愛くて無敵!好き好き大好き!! 学祭準備の時に勇気出して声かけて本当によかったよぉぉぉ!!あの時の私を褒め称えてあげたい!お菓子をあげたい!ありがとうありがとう!!私、ありがとう!!」
新沼「そ、そうだね~...あ、あははは...。」
手鞠「実は言うとね、私初めて咲ちゃんを見た時から狙っていたんだよ!めちゃんこ可愛いやんけ、あの子!って思ってて!でも、なかなか声かける勇気が出なくてね!」
新沼(狙ってたとは...?)
手鞠「いつか絶対に仲良くなって、私の作った服を着てもらうんだ...!って思いながら過ごしていたんだけど...こんなに早く夢が叶うなんて思ってもなかったよ~!学祭、最高!ふぅぅ~~!!」
新沼「わ、私なんかでよかったら、手鞠ちゃんの作った服いつでも着るからさ...そろそろ、写真撮るのやめてもらってもーーー」
手鞠「ダメダメダメ!咲ちゃん、ダメだよ!私なんか...とか言っちゃダメ!あなたがいいんです!あなただからいいんです!自分の価値を下げるような発言はしちゃダメですよ!あなたは最強無敵の究極ガールです!」
新沼「わ、わかったから、そろそろ写真を撮るのやめてくれるかな...?恥ずかしいんだけど...。」
手鞠「恥ずかしがってる咲ちゃん、とてもとても可愛いぃぃぃ~!ふぅ~~~!!」
新沼(あぁ...まさか手鞠ちゃんがここまでとは...。あの時の私をぶん殴ってやりたい...。)
手鞠「...ん?ちょっと待って。咲ちゃん、なんと言いました?」
新沼「え?写真撮るのをーーー」
手鞠「違う!その前!」
新沼「え、えっと...服着るから?」
手鞠「そう、それ!!本当に!?本当にいいの!?私、めちゃんこ喜んじゃうよ!?いいんだね!?いいって言ったね!? よーし、今からファッションショーの開催をいたします!!主演は、咲ちゃん!ありがとうありがとう!!」
新沼「...え?今から?」
手鞠「さぁ、いこう咲ちゃん!!私と咲ちゃんの、夢の時間がーーー」
水面「いい加減にしろ、このアホ。」
手鞠「あだぁ!?」
水面「ウザいマシンガントークで咲ちゃんを困らすな、アホ。ごめんね、咲ちゃん。アホの代わりに謝るわ。」
手鞠「おいこら、輝ちゃん!!親友の頭にチョップするとは何事だ!?というか、アホアホ言い過ぎだよ、バカ!」
水面「え?あんた、まだ私と親友だと思ってるの?とっくの前に友達にランクダウンしてんだけど。」
手鞠「えぇぇ!?いつの間に!?それ、初耳なんだけど!?私、なにしたの!?なにしてランクダウンしたの!?」
水面「自分の胸に手を当ててみろ。ほら、行くよ。咲ちゃんの邪魔するな。」
手鞠「なにをする!?やめろ!離せぇ!私は、まだまだ可愛い咲ちゃんを堪能するんだ!今まで堪能できなかった分をぉぉぉぉ!?引っ張るなぁぁぁぁ!助けて、咲ちゃぁぁぁぁん!!」
新沼(よくやく解放された...疲れた...。)
綾小路「やれやれ、手鞠ちゃんは咲ちゃん好きすぎだよね。まぁ、僕には劣るけどねっ! 咲ちゃん、こっちに目線もらってもいいかな!?こっちこっち!」
新沼「なんであんたも勝手に写真撮ってんのよ...!?」
綾小路「咲ちゃぁぁぁん!?なんで僕だけそんな怒るのかなぁぁぁ!?でも、怒ってる咲ちゃんも可愛いだばぶぅ!?!?」
新沼(なんで私、こういうのばっかに好かれるんだろ...?)
平手打ちを受け、勢いよく倒れ込む綾小路のことを無視し、大きなため息を吐き出しながら、新沼は近くの椅子に深く座り込んだ。
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