なんでも探偵部!

きとまるまる

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192話「心霊現象の8割はヤラセだけど、残りの2割はガチだから気をつけて③」

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 無事に張間を見つけ、見回りも終えた一行。張間と佐伯は男たちと別れ、6畳ほどの部屋に布団を敷き、就寝の準備を始めている。


佐伯「それじゃあ、そろそろ寝よっか。安心してね、なにもしないから。」

張間「か、か、かなねぇ...!」

佐伯「だ、だから、なにもしないから安心して! 絶対に! 誓って! 何もしません! お願いだから、信じて!」

張間「そ、そ、そうじゃなくて...! わ、わ、私が寝るまで、寝ないでくださいね...! 絶対ですよ...!」

佐伯「あ、あぁね...。うん、任せて。というか、あんなことがあって、私も寝られるか不安だし...。」


 先ほどの張間の件を思い出し、ブルブルと身体を震わせる二人。恐怖に怯える二人のことを知ってか知らずか、風は木の葉をカサカサカサカサと大きく揺らし音を奏でる。


佐伯「...は、は、張間ちゃん...だ、抱きしめて寝てもいい...?」

張間「きょ、今日は、許します...許可します...!」


 ガタガタと大きく震える二人ーーー木の葉も二人を真似るように、ガサガサ大きく揺れ音を奏でる。恐怖に煽られた二人は、小さく悲鳴を漏らしながら布団を頭までスッポリと被せた。



ーーー



 女性たちと離れ、探偵部の部室へとやってきた男二人。間宮が布団を敷き終えると、関は扉へと歩み手をかける。


間宮「ちょっ、どこ行くんですか?」

関「どこって...散歩ですよ、散歩。」

間宮「あんた、あんなことあったのによく散歩になんていけますね...。」

関「むしろ、あんなことがあったからですよ! 張間くんには申し訳ありませんが...私、ワクワクドキドキがおさまりませんよ!」

間宮「このメンタルお化けが...! なんかあっても知りませんからね!」

関「その時はその時です。それに、もし本当にいるのならば、一言文句を言ってやらないと。うちの後輩をあんな怖がらせて、どうしてくれんじゃい!ってね。」

関「それに...今きっと、葉っぱこれを必死に探しているでしょうから、早いとこ返してあげなきゃですし。」

間宮「あれ!? いつのまに!?」

関「大切なものは、無くさないようにしっかりと管理しなさいとも言ってあげないと。あっ、そうそう...私に何かあったら、なんでも探偵部のこと、よろしく頼みますね。」

間宮「不謹慎なことを言うな!」

関「あははは~! では、行ってきます! 鍵は持っていきますから、私が出た後鍵閉めて大丈夫ですからね~!」

間宮「ま、マジで行きやがった...! ほんと、あぁいうところは尊敬するよ...。」

間宮「...ぶっちゃけ今、一人にしないで欲しいんだけどなぁ...。こんなこと、死んでも言えない...。」

間宮「......は、早く、寝よ...。」



ーーー



 布団を被り、約一時間ほどが経過した女子組の部屋。張間は当然のように恐怖で未だに眠れず、佐伯を強く抱きしめながら小さくガタガタと震えている。


張間(こ、怖い...怖すぎる...! こんな状態で、寝られるわけがない...! あんなことが起きて、寝られる方がおかしい...! うぅ...ぜ、全然眠くないぃ...! 怖いぃぃ...!)

張間「か、か、かなねぇ...! 起きてますか...? 起きてますよね...?」

佐伯「......。」

張間「か、かなねぇ...? 聞いてます...? ねぇってば...?」

佐伯「......。」

張間「も、も、もしかして...?」

佐伯「......すぅ......。」

張間(やっぱり、寝てるぅぅぅ!!)

張間「か、か、かなねぇ! 起きて! 起きてください! 私が寝るまで寝ないでって言ったじゃないですか! ねぇってば!!」

佐伯「すぅ...すぅ......。」

張間「起きて! 起きてくださいぃぃぃ! かなねぇ、起きてってばぁぁぁぁ!」

佐伯「...うふふ...♡ 張間ちゃんってば、そんなことしちゃ...♡ もぉ...好き...♡」

張間「なに私一人残して幸せな夢見てんだ、こらぁぁぁぁ! 早く起きろぉぉぉぉ! 起きてくださいぃぃぃ! 起きて起きて起きてぇぇぇぇ!!」


 張間の必死な呼びかけに答えることなく、佐伯は気持ちよさそうに寝息をたて続ける。一人取り残され、不安と恐怖が徐々に膨れ上がっていく。それと同時に、大きくなっていく音ーーー小さく小さく聞こえていた外の葉が揺れる音、夏の虫の声、カチカチと響く時計の針...聞こえるはずのない、ペタペタと廊下を歩く音ーーー張間は耳元に響く音を遮断するように、深く深く布団の中へと潜り込んだ。
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