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136話「バカでも風邪引く時は引く②」
しおりを挟む張間の部屋。張間がベッドで上半身だけ起こし、不機嫌そうな顔をしている。脇には体温計を挟んでおり、ピピッと音が部屋に響き渡ると、張間は自分で確認することなく、体温計を隣にいた姉の恵へと渡す。
恵「えっと...あら、37度7。」
張間「平熱だ!」
恵「なにバカなこと言ってるの? 今日はゆっくり寝てなさい。」
張間「えぇ~!? 寝てるだけなんて、つまらないぃぃ!」
恵「つまらないじゃないでしょ。昨日ずぶ濡れで帰ってくるから、こういうことになるのよ。」
張間「うぅ...。」
恵「学校には、お姉ちゃんが連絡しておくから。」
張間「はーい...。」
恵「お姉ちゃん、お昼から仕事だけど、それまではいるから。なにかあったら呼んでね。」
張間「学校行きたい。」
恵「ダーメ。」
張間「元気だから大丈夫大丈夫大丈夫~~!!」
恵「わがまま言わないの。これ以上ひどくなったら、どうするの?」
張間「うぅぅ...。」
恵「ご飯、食べる? 食べられるなら、おかゆ作ってくるけど。」
張間「食べる。」
恵「わかった。じゃあ作ってくるから、待っててね。」
張間「......。」
恵「もぉ...。」
恵は、やれやれと息を吐き出すと、不貞腐れている張間の頭を優しく撫でる。
恵「そんなに学校行きたいの?」
張間「だって、寝てるだけなんてつまんないもん。」
恵「でも、今日無理して行って、もっと酷くなったらいっぱい休まなきゃなんだよ? それでもいいの?」
張間「...やだ。」
恵「なら、今日はゆっくり寝てなさい。わかった?」
張間「むぅ...。」
恵「おかゆ作ってくるから、大人しく待っててね。」
張間「はーい...。」
優しくぽんぽんと頭を叩き、部屋を出ていく。
恵「やれやれ、わがままな子なんだから。でも、あの彩ちゃんが学校に行きたいだなんて...よっぽど楽しいのかしらね?」
ーーー
東咲高校、2-A教室。1限目を終え10分間の休憩に入り、間宮は机の中から次の授業で使う教科書を取り出している。
間宮「ん?」
引き出しに入れていたスマホが、メッセージを受信し画面を明るくする。手に取り確認すると、張間からのメッセージを絶え間なく受信し続けている。
張間[間宮先輩]
張間[間宮先輩]
張間[間宮先輩]
間宮「......。」
張間[間宮先輩]
間宮[なに?]
張間[間宮先輩!]
張間[暇です!]
間宮[大人しく寝てなさい]
張間[暇!!]
間宮[寝てなさい]
間宮「全く...大人しく寝ることもできないのか、あいつは...?」
間宮はスマホの画面を暗くし、引き出しに戻す。
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