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74話「言葉の重み⑦」
しおりを挟む張間「今日は、入ってないといいな...。」
次の日の朝、恒例の行事となってしまった下駄箱の紙切れに怯えながら、ゆっくりと下駄箱を開ける。
張間「......。」
願い虚しく、上履きに入れられている、くしゃくしゃの紙切れ。張間は周りをキョロキョロと警戒し、誰もいないことを確認すると、ため息混じりに手を動かす。くしゃくしゃと音を立てながら、開いていく。姿を現す、赤い文字。長い長い、赤い文字。
西田と話したら、部活の先輩たちを傷つけてやる
ーーー
授業が終わり、教室内が騒がしくなる。張間は、広げたノートや教科書をしまうことなく、そのまま突っ伏し顔を隠す。
張間(どうしよう...? というか、なんで西田くんと...? 私が西田くんと話したら、なにかあるのだろうか...? わかんない...わかんないよ...。)
西田「張間さん。」
張間(西田くんと話したら...間宮先輩が...部長が......。)
西田「張間さん、大丈夫?」
張間「え?」
西田「どうしたの? 元気ないけど、何かあったの?」
張間「な、なんにもないよ! 心配しないで!」
張間(はっ!? ど、どうしよう...! 話しちゃった...! い、いや、弱気になるな、張間 彩香! なにも起こるわけない! ただの脅しだよ! 絶対、なんにもない! きっと、紙切れ一枚であわあわしている私を見て、楽しんでるだけだ! そうだそうだ! 強い心を持って生きていこう! こんなわけわかんない紙切れなんかに、踊らされてたまるか! 強い心を持って、堂々としていれば、そのうち飽きておさまるでしょう! うんうん!)
西田「張間さん、体調悪いの? 最近、ボーッとしてること多くない?」
張間「はっはっは! 心配してくれて、ありがとうありがとう! でも、問題ナッシングだよ! 最近、ちょっと夜更かしすること多くてね! 眠くてボーッとしてるだけだからさ!」
西田「遅くまで、なにしてるの?」
張間「えっとね、動画とか見てるの! 西田くんも見る? めちゃくちゃ面白いやつ、あるんだよ~!」
西田「へぇ~。どんなやつ?」
張間「これこれ、これだよ!」
顔を寄せ合い、小さなスマホを見つめる二人。その二人を自席から見つめる北台...表情は、穏やかで、余裕がある。
北台「ふふふ...やらないと思ってんの? 覚悟しとけ。」
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