なんでも探偵部!

きとまるまる

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55話「表と裏③」

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 屋上へと逃げてきた女子二人は、しゃがみ込み、奪ってきたビデオカメラをジロジロと見つめている。


張間「ぐへへへ...! ここまでくれば、間宮先輩も追いつけまい!」

新沼「彩香ちゃん、とっても悪い顔してるよ。これ見たら、間宮先輩すごく怒るんじゃない? 間宮先輩に怒られるなんて...あぁ、興奮しちゃう♡」

張間「咲ちゃんって、Sなの? Mなの? どっちなの?」

新沼「TPOにより、変化します。」

張間「ちなみに、今日の気分は?」

新沼「S時々MところによりSでしょう。」

張間「とても不安定ですね。咲ちゃんと関わる方は、十分注意してください。さて、続いては...皆さまお待ちかねの、このコーナーでっす!」

関「残念ながら、そのコーナーは今日で終了で~す。」

張間「あぁぁあ!? 返してください! 部長の、裏切り者っ!」


 背後から、スッと現れた関にビデオカメラを取られた張間は、取り返そうとぴょんぴょん飛び跳ねながら必死に手を伸ばす。


関「裏切るも何も、今日の私は間宮組ですよ。オジキのために、頑張ります! これで2対2でしょ? 平等ですよ。」

張間「ぐぬぬぬ...! もう少しだったのにぃぃ!」

新沼「そんなに見られたくないものが映ってるんですか、それ?」

関「平凡な日常風景が映ってるだけですよ。だから、私は見られてもいいとは思うんですけどね。 」

張間「ちょっとだけ! ちょっとでいいんです! 見せてください!」

関「傑くんの許可をもらってからにしてください。」

張間「けちぃぃぃ!」

関「この世の中には、知らない方がいいこともたくさんあるんですよ。裏は見ない方がいい。君は、表の綺麗な部分だけ見ていなさい。」

新沼「それだと、間宮先輩は表は綺麗な人だけどってことになりますよ? 私は、間宮先輩は裏表ない人だと思いますけど。」

関「裏表がない人間なんて、この世に一人もいないさ。朝がくれば夜も来る、光があれば闇がある。」

張間「うーーん...よくわかりませんなぁ。」

関「わからなくてもいいんですよ。あなたたちは、まだ知らなくてもいいんです。さて、この話はこれでおしまいです! 部室に戻りましょう。傑くんが、お菓子持ってきてくれたんです。早くしないと、全部食べられちゃいますよ?」

張間「なんですって!? 咲ちゃん、急いで戻るよ!」

新沼「あっ、彩香ちゃん待ってよ~!」

関「やれやれ...賑やかになりましたね、部室も...君も。」


 関は、取り返したビデオカメラを見つめて、ふっと微笑む。
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