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一人台本↓
「アンドロイドの旅日記」(比率:女1)。
しおりを挟む・登場人物
サクヤ:♀ 人型のアンドロイド。
※このお話は「心を持ったアンドロイドは、」のその後のお話です。
ーーーーー
サクヤ「あ~やっと森から抜けられたぁ……。森の中って暗いしジメジメしてるしで、嫌いなんだよねぇ。途中で泥かぶっちゃったし。早く水浴びしたい……」
サクヤ「……ん?」
サクヤ(M)旅を始めて「 」日目。野盗に襲われている女の子を見つける。泥まみれなのにさらに血まみれになるのは嫌だったので無視しようかと思ったけど、目が合ってしまったので助けることにした。
サクヤ「よし。これで全員かな? 大丈夫だった?」
サクヤ「……私? 私は大丈夫だよ。お姉ちゃん、こう見えて強いんだ~!」
サクヤ「私はサクヤって言うの。あなたの名前は?」
サクヤ(M)泥まみれの血まみれになってしまったので、さっさとその場を立ち去りたかったけど、どうしてもお礼がしたいと言われ、仕方なく女の子が住む村へと行くことにした。村で水浴びもできたし結果オーライ。よかった。
サクヤ「いえいえ。私は人として当然のことをしただけですので。お礼なんていいですよ~」
サクヤ(M)村では、行くところ行くところでお礼を言われた。特になんとも思わなかったが、無表情でいるとめんどくさいことになりそうなので、一応笑顔を浮かべた。反応を見る限り、ちゃんと笑えていたと思う。よかった。
サクヤ「私は旅をしているので、どこに住んでるとかは特になくて」
サクヤ「……え? いやいや、そんなそんなそんな! そこまでしてもらうほどでは!」
サクヤ(M)食事の席で旅人だと言うと、しばらくこの村に居なさいと言われた。すぐにでも村を出て行きたかったけど、助けた女の子に妙に懐かれてしまい、断った方がめんどくさいと思ったから、しばらくこの村にいることにした。行きたいところも特になかったし、別にいっかって思った。
サクヤ(M)人と一緒にいるのは正直好きじゃない。表情とか、色々と考えることが増えるから。でも、ご飯が勝手に出てくるところは好き。別に私は最悪食べなくても生きていけるけど。でも、空腹は感じてしまう。あれはほんと嫌い。二度と感じたくない。
サクヤ(M)「 」村に住んで、「 」日目。
サクヤ「コハクちゃーん! 走ったら危ないよ~!」
サクヤ(M)今日はコハクちゃんと一緒に近くの森へ食材を採りにいった。ここはこうとかこの葉っぱはどうとか色々得意げに教えてくれたけど、全部知ってた。でも知ってるって言うとめんどくさそうだったから、知らないふりをした。コハクちゃんは、すごく楽しそうだった。
サクヤ「さてと、そろそろ帰ろっか!」
サクヤ(M)カゴいっぱいに食料を詰め込んで森を出たら、焼ける匂いがした。多分村が焼かれてるんだと思ったけど、気にせず帰ることにした。
サクヤ「……」
サクヤ(M)村に帰ると、思った通り村は焼かれていた。この前殺した野盗の仲間が仕返しに来てた。
サクヤ(M)家が焼けていく。人が焼かれていく。殺されていく。笑ってる。
サクヤ(M)私のせいだ。私がコハクちゃんを助けたせいで、村が、大勢の人がなくなっていく。あの時コハクちゃんを見捨てていれば、コハクちゃんだけで済んだかもしれなかったのに。
サクヤ(M)私のせいだ。私のせいだ。私のせいだ。
サクヤ(M)何度も何度もそう思ったけど……私は、特に何も感じなかった。
サクヤ「……あっ」
サクヤ(M)隣にいたコハクちゃんの頭を、銃弾が貫いた。頭を抜かれてたし、多分即死だった思う。
サクヤ(M)その後、私も撃たれた。右足に二発。お腹に一発。頭に二発。どうして私だけこんなに撃たれるのだろう? 不思議に思った。正直、撃たれるのは痛いから嫌だ。あまり撃たれたくない。
サクヤ(M)私を撃った人と、その隣にいた人が近づいてきた。私とコハクちゃんを覗き込んで、ニタニタニヤニヤ笑ってた。すごく楽しそうで、嬉しそうだった。
サクヤ(M)私は、その顔がとても嫌いだった。だから、私──
サクヤ「損傷部分ノ確認完了。修復シマス」
サクヤ(M)顔だとわからなくなるくらい、ぐちゃぐちゃにした。
サクヤ「はぁ……血でベタベタだよ……。出ていく前に水浴びしてこ」
サクヤ「……あれ?」
サクヤ「……なんで私、泣いてるんだ?」
サクヤ(M)村が無くなっても、悲しくなかった。優しくしてくれた人が亡くなっても、悲しくなかった。コハクちゃんがいなくなっても、悲しくなかった。もちろん、あいつらが死んだのが悲しいわけじゃない。
サクヤ(M)じゃあ、私はなんで泣いているんだろう? 何に悲しみを感じているんだろう? 何を悲しいと思っているんだろう?
サクヤ(M)わからなかった。考えても考えても、わかんなかった。でも、村を出て、旅を再開して、この日記を書いて、ようやくわかった。
サクヤ「……今日も、死ねなかったなぁ」
サクヤ(M)死にたい。死にたい。今すぐにでも死にたい。
サクヤ(M)でも、先生は私に言ってくれた。死んじゃダメだって。先生の分まで生きてって。
サクヤ(M)先生との約束、破りたくない。大好きな人との約束、守りたい。
サクヤ(M)だから、私は……。
サクヤ「ありがとうございました! では、お互い良い旅をいたしましょう!」
サクヤ「ん? 名前、ですか? いいですよ!」
サクヤ「私は、サクヤっていいます!」
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