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七人台本↓
「ストレリチアは今日も散る」(比率:男4・女3)約45分。
しおりを挟む・登場人物
涼原 優香:♀ 16歳。戦闘力はずば抜けているが、一人で突っ走ることが多い自由で元気な女。
和楽 秀:♂ 18歳。口調は少し荒いが、人のことしっかり考えて行動できる周りからの信頼が厚い男。よく涼原を叱っている。
近衛 理人:♂ 18歳。戦闘も人間関係も中後衛からサポートしてくれる心優しき男。
乾 長政:♂ 39歳。涼原、和楽、近衛の隊長。強くて優しくて良い男なので、隊員からの信頼はとても厚い。
生方 桃音:♀ 16歳。及川隊の部隊員。心優しい女の子。
辰巳 久人:♂ 17歳。及川隊の部隊員。やる時はやる男です。多分。
春野 紗奈:♀ 17歳。及川隊の部隊員。姉御肌な女。口調はとても荒い。
関羽崎 薫:♀ 32歳。軍最強の兵士と言われていたが、怪我の影響で前線を退き、今は司令官として隊を導いている。感情の起伏が少なく、誰に対しても淡々としている。
鳶 段吉:♂ 50歳。ベテランパイロット。
・役表
涼原:♀
和楽:♂
近衛:♂
乾:♂
関羽崎、春野:♀
男、辰巳、鳶:♂
生方:♀
ーーーーー
お昼過ぎ──木々が生い茂っている足場の悪い森の中で、涼原は体長3メートルはあろう狼のような獣と対峙している。
涼原「よぉ、犬っころ。どうせ暇してんでしょ? 私が遊んでやるよ」
涼原「おいおい、そう睨むなっての。なに、今はそんな気分じゃないって? それとも、あれか? 『遊んでやる? ふざけんじゃねぇ! 遊ばれてあげますの間違いだろうが! 今すぐ訂正しろ!』ってか? 謝るから許してよ、ごめんごめん」
涼原「……やる気、出してくれた? いいねいいね。あんた、やっぱ最高だわ」
涼原「いつでもかかってきていいよ。こっちは準備万端だから」
涼原「さぁ……やろうぜ、クソ犬っころ……! てめぇの腸引きずり出して、グッチャグチャにしたらぁぁぁぁ!」
ーーー
数時間後──涼原が所属する軍の基地。
軍の司令官である関羽崎が、一人廊下を歩いている。
男「関羽崎司令官」
関羽崎「どうしました?」
男「すみません、急に呼び止めてしまって。今お時間よろしいでしょうか?」
関羽崎「えぇ」
男「現在開発中の武器の件で、お話がありまして。司令官にも直接見ていただきたいものもありますので、この後研究室にいらしていただくことは可能でしょうか?」
関羽崎「……」
男「……どうしました、司令官?」
関羽崎「芝さん」
男「あ、はい」
関羽崎「少しこちらに移動していただいても?」
男「え? はい。別に構いませんが。一体、なぜ──」
男が移動したその瞬間、涼原が勢いよく男に飛びつく。
涼原「司令かーーん!」
男「おぼっ⁈」
関羽崎「涼原さん、こんにちわ」
涼原「もぉ~涼原さんだなんて、そんなお堅い呼び方はやめてくださいって何度も言ってるじゃないですか~! 司令官であれば、涼原と呼び捨てにしていただいても構わないし、なんなら優香と名で呼んでいただいてもいいですって~! 私と司令官は、それくらいの仲なんですから~! スリスリスリ~!」
関羽崎「涼原さん、幸せそうに頬を擦り付けているところ申し訳ないですが、あなたが今現在抱きついているのは、私ではありませんよ」
涼原「……え?」
男「あ、ど、どうも」
涼原「……うぇぇぇ⁈」
男「そんな嫌だったの⁈ 俺に抱きつくの、そんなに嫌⁈ なんか、ごめんね!」
涼原「いえいえ、そんなそんなそんな! むしろ、いきなり抱きついて本当にごめんな……うっぷ……!」
男「腹の底から何か出てきそうになるくらいには嫌がってるよ! 身体が拒絶してるよ! 俺、泣いていい⁈」
涼原「冗談ですよ、冗談! 本気にしないでくださいって~!」
関羽崎「それで、涼原さんは私に何か用ですか? 何もないのなら──」
涼原「ありますあります! すごくありますよ、司令官!」
関羽崎「なにかしら?」
涼原「本日は、私と司令官の一向に縮まらない距離について──」
関羽崎「後にしてください。芝さん、話の続きを──」
涼原「うおぉぉい⁈ 待った待った! ありますありますご用があります!」
関羽崎「なにかしら?」
涼原「本日、私涼原優香は、オウガミを撃破いたしましたことを報告いたします!」
関羽崎「すでにその報告は受けています。あなたが隊列を乱し一人で突っ込んでいったという報告も」
涼原「なぬっ⁈ くそっ、だから司令官が全然褒めてくれないのか……! 一体誰だ、チクったやつは⁈」
関羽崎「自分勝手な行動で隊員を振り回したことは褒められる点ではありませんし、むしろ罰を受けるべき行為です。が、今回のオウガミ討伐の手柄は、とても大きいものであることも事実です」
涼原「えへえへ……! 褒めてくれても、いいんですよ!」
関羽崎「しかしながら、今回のあなたたちの任務はオウガミの討伐ではありません。ですので、その点を含めてきっちりと反省してもらいます」
涼原「涼原優香、しょぼん案件です……。でもまぁ、後で司令官室で二人きりになれると思えば、悪いことではないですな。うんうん!」
関羽崎「私は仕事が忙しいので、あなたにかまっている時間はありません。ですので、後のことはあなたにお任せします。和楽さん」
和楽「お任せください、司令官。私共がきっっちり指導しておきますので」
涼原「げっ⁈ いつの間に!」
和楽「いつの間にじゃないだろ。なにしてんだ、お前は?」
涼原「いや~司令官の匂いがしたもんで、つい」
和楽「言い訳ならもっとマシなこと言え! さっさと来い! このバカ!」
涼原「おいこら、引っ張んな! 司令官、助けて! 愛しの優香をお助けくださぁぁい!」
男「あ、あははは……。涼原さんは、いつも通りですね。しかし、あのオウガミを一人で討伐してしまうなんて……。彼女には、驚かされてばかりですよ」
関羽崎「……」
男「司令官、どうしました?」
関羽崎「芝さん」
男「はい、なんでしょうか?」
関羽崎「……私、臭いますか?」
男「……え?」
ーーー
近衛「おっ、来た来た。隊長、戻ってきましたよ」
乾「早かったな、今日は」
和楽「おまたせしました。バカの捕獲、完了です」
涼原「誰がバカだ、アホ!」
和楽「言われたくなかったら行動を改めろ、クズ!」
涼原「なにをぉぉぉ!」
乾「相変わらずだな、お前たちは」
近衛「ほんと、仲良いですよね」
涼原・和楽「仲良くないわ!」
近衛「で、今日はどこ行ってたの、涼原ちゃん?」
涼原「司令官の元へ! そして、司令官とのイチャイチャをこの男が邪魔してきました。断罪をお願いします」
和楽「やかましいわ、黙ってろ。隊長、始めてください」
乾「わかった。本日の反省会だが──」
涼原「隊列を乱し、勝手に突っ走って申し訳ございませんでした! 以後、気をつけます!」
乾「なんだ、わかってるじゃないか。今後は気をつけるようにな。以上、解散」
涼原「よっしゃぁ!」
近衛「お疲れ様でしたー」
和楽「待て待て待て待て! 待ってください、隊長! え、もう終わり⁈ 短すぎますって!」
乾「本人が自覚しているのなら、それでいいだろ。何度も同じことを続けるようであれば、厳しく注意はするがな」
近衛「それに今回に関しては『負傷者なしでオウガミを討伐』っていうことしてるからね。結果オーライってやつだよ、秀」
乾「負傷者を出していたならば話は別だが……優秀な部下を持てて、俺は楽できてるよ。はっはっは!」
涼原「つーことだ、和楽さんや。話し合いは終わった。そろそろ首根っこ離してもらえますかい?」
和楽「隊長! あと、理人! 涼原に甘すぎですって!」
乾「アメとムチという言葉を知っているか、和楽? お前がムチばっか与えるもんだから、俺たちがアメを渡さないといいバランスにならないだろ?」
近衛「あんま怒りすぎても、涼原ちゃんやる気なくなっちゃうしね」
涼原「うんうん、お二人はよくわかっていらっしゃる!」
和楽「わかりました。では、二人の分まで俺がきっちり厳しくしておきます。覚悟しとけ、わかったか?」
涼原「ねぇねぇ、りっちゃん。この人、なんで私にこうも厳しくあたってくるんですかね?」
近衛「それはもちろん、あれですよ、あれ。言わずとも察してあげてくださいよ、涼原さんや」
涼原「あーなるほどなるほど。やっぱりそうでしたか~。あ~あ、モテる女は辛いわ……!」
和楽「恥ずかしい勘違いするな、お前は!」
乾「守るべき相手を見つけることは、とてもいいことだと思う。だから、俺は何も言わん」
和楽「だから、違いますって! こんなやつ、好きになるわけないでしょうが!」
涼原「そんな必死になって否定してると、ますます疑われてしまいますよ~? このこの~!」
和楽「なんでてめぇが楽しそうなんだよ⁈ このバカが!」
近衛「秀、あんまバカバカ言ってると嫌われるぞ~」
乾「恥ずかしい気持ちはわからなくもないが、気持ちは正直に伝えなければ伝わらんぞ」
和楽「だから、違うってぇの! マジでやめろって──」
生方「離して! 離してってば!」
辰巳「落ち着けって言ってるだろ! 頼むから、俺の話を聞いてくれ!」
生方「離してよ! 離して!」
涼原「んん? なになに、何事?」
和楽「ありゃ生方と辰巳じゃねぇか。なに言い合ってんだ?」
涼原「おやおや、若い男女が声を荒げて言い合いだなんて……ドロドロの恋ってやつですかな?」
和楽「茶化すな、アホ」
近衛「……涼原ちゃんたちは、まだ聞いてないのか」
涼原「ん? なにを?」
乾「我々と同じく任務にあたっていた及川隊は、あの二名を残して全滅したそうだ」
涼原「……え?」
近衛「正確には、三名死亡。一名生死不明。あの二人を逃すために、春野紗奈が囮を買って出たそうだ」
乾「あの二人の状態から見て、及川隊はほぼ壊滅だったと言えるだろう。生方も、戻ってきた時は意識不明だったそうだ。仮に春野が傷一つない状態だったとしても、二人が帰ってきて二時間は経過している。一人で生き残っている可能性は、限りなくゼロに近いだろう。助けに行きたい生方の気持ちも痛いほどわかる。が……」
涼原「……犠牲は、最小限に」
乾「……そうだ。俺たちは、力無い人々の希望なんだ。魔獣と戦える俺たちが、これ以上数を減らすわけにはいかない」
近衛「助けを出せば、さらに被害者が出てしまう可能性がある。だから、軍の判断も間違いじゃない。だけど……」
涼原「……」
生方「離してってば! 早く助けにいかないと、紗奈ちゃんが、紗奈ちゃんが……!」
辰巳「諦めろ! 俺たちが行っても死ぬだけだ! お前も、その怪我で行って何が出来るっていうんだよ⁈」
生方「うるさい! 紗奈ちゃんは私たちの大切な仲間でしょ! どうして諦めろなんて酷いこと言えるの⁈ ねぇ!」
辰巳「……っ!」
生方「早く行かないと、手遅れになっちゃうよ! だから離してよ! 紗奈ちゃんは、私たちを助けてくれた! だから、今度は私たちが紗奈ちゃんを──」
辰巳「春野に助けてもらった命を無駄にするな!!」
生方「……!」
辰巳「命かけて守ってくれたのに、その命を無駄にして……春野の頑張りを無駄にして、お前はあいつになんて声かけんだよ⁈ どんな顔して会いに行く気だよ⁈」
生方「わ、私は……私……は……!」
辰巳「俺だって助けに行けるなら行きてぇよ! 助けてぇよ! でも……でもさ……!」
辰巳「ごめん……ごめんな……! 俺が……俺が弱いから……弱っちいから……! 俺が、あの場に残らなきゃいけなかったのに……! 俺が弱いから……俺のせいで、春野が……!」
生方「……」
辰巳「頼む……頼むから、大人しくしててくれ……! 無茶しないでくれ……! お前の気持ちは、嫌ってほどわかる……痛いほどわかる……! でも、行かないでくれ……! 頼むから……!」
辰巳「春野との約束、破らせないでくれ……!」
生方「……!」
涼原(M)私たちは、常に死と隣り合わせの世界にいる。だから、嫌というほど見てきた。人の死を……友達の、親友の、そして家族の死も……。
生方「あぁぁぁぁぁ……!!」
涼原(M)残され、泣き崩れる、仲間の姿も……。
ーーー
生方たちのやり取りを見て約一時間後──和楽は稽古場で乾と共に木刀を振るっていた。
乾「そろそろ休憩にするぞ」
和楽「はい。ありがとうございました」
乾「成長しているな、秀よ」
和楽「ありがとうございます。すいません、急に稽古つけて欲しいだなんて言って」
乾「気にするな。お前たちには、いつも世話になってるからな。これくらいのことならいつでも頼れ」
和楽「ありがとうございます」
乾「……お前が気に病むことではないぞ、秀」
和楽「わかってます。わかってます、けど……」
乾「お前は優しすぎだ。死んでいった仲間たちの気持ちを背負うことは立派なことだ。だが、背負いすぎて自分まで潰れてしまっては、元も子もないぞ」
乾「いいか? 俺たちは、全ての人間を助けられるわけじゃないんだ。どれだけ力があろうとも、必ずこぼれ落ちていってしまうものはある。悔しいだろうが、そこは割り切ってやるしかない」
乾「全てを助けようなどと欲張っていたら、手からこぼれ落ちていくものがさらに多くなるぞ」
和楽「……はい」
乾「お前の気持ちも、わからんでもないがな。こればかりはしょうがないことだ。俺たちは、神でもなんでもない。ただの人間だ。やれることは限られている。その限られた中で、最高の結果を出せればいい。お前は、今のお前ができる限りを尽くしている。だから、自分を責めるな。わかったな?」
和楽「……はい。ありがとうございます」
近衛「い、いた……! 隊長、秀!」
乾「理人か。そんなに慌ててどうした?」
和楽「またあのバカがなんかやらかしたのか?」
近衛「その通りだよ! 涼原ちゃんが、パイロット一名と共に、ヘリでどっか行ったって!」
乾「……はい?」
和楽「何やってんだ、あのバカはぁぁぁぁぁ!」
ーーー
軍用のヘリの中。
涼原「いや~ワガママ聞いてくれてありがとね、トビさん」
鳶「優香ちゃんの頼みならば、なんでも聞いてやんよ! 他にもなんかあんなら、今のうちに言っとくれ!」
涼原「ほんと、トビさんは優しいな~。帰ったら共に怒られるだろうけど、許してね」
鳶「そん時は『涼原さんに脅されて……!』って言うから安心しとけ! がははは!」
涼原「酷っ! さっきの優しい発言は取り消させていただきます!」
鳶「優香ちゃんは、俺のことよりも自分のこと心配しときな。帰ったら、四方八方から怒られるぞ~?」
涼原「わかってますわかってます。特に、和楽の僕ちゃんはカンカンでしょうなぁ~。あの人、いつもいつも怒ってくるし」
鳶「そんだけ優香ちゃんのこと心配してんだよ。だから、嫌ってやるなよ?」
涼原「別に嫌ってはないし、どっちかってと好きだよ。なんだかんだで、秀は色々と気にかけてくれてるし。いい奴だよ」
鳶「それ、本人に言ってやんなさいよ」
涼原「帰ったら言ってあげようかしら? 『秀、いつもいつもありがとね! 私、秀のこと嫌いじゃないよ! むしろ、大好きだよ! 秀、愛してる!』って」
鳶「どんな反応するか、楽しみだな~!」
涼原「ね~! どんな反応するのかしら~?」
鳶「おっ、見えてきたぞ。あそこが、及川隊が調査していた地域だ」
涼原「調査率って、どんくらいかわかる?」
鳶「まだ20%もなかったと思うぞ」
涼原「ってことは、まだまだ危険がいっぱい~ってことですな」
鳶「その通り。いつも以上に気ぃつけな。春野の居た場所は把握してんのか?」
涼原「辰巳くんに聞いてきたから、なんとなくは。まぁ、あんま役に立たないと思うけどね」
鳶「そうか」
涼原「……トビさん」
鳶「なんだ?」
涼原「一時間以内には戻ってくる」
鳶「……わかった、と言いたいところだが……一時間じゃぁ、暇つぶしに持ってきた本が中途半端なとこで終わっちまうな~。続きが気になる状態じゃ、危なっかしい運転しちまうだろうし……。つーことで、二時間だ。そんだけありゃ、読み終わるだろう。それまでに帰ってくりゃいい」
涼原「了解。トビさんってば、優しすぎるって」
鳶「一秒でも遅れたら、たとえ姿が見えてようと置いてくからな?」
涼原「やっぱ前言撤回しまーす」
鳶「許しませーん。俺は優しい男でーす。ほら、着陸するから静かに座ってろ」
涼原「はいはーい」
鳶「……無事に帰ってこいよ。二人でな」
涼原「うん」
涼原(M)正直言って、はるのんが生きているとは思ってない。見つかるとも思ってない。助けに来た私すら、そう思っているんだ。
涼原(M)だからきっと、助けたい気持ちを押し殺して基地で待ってる人たちが正しくて、危険を顧みず助けに行く私は、大バカ者なんだと思う。
涼原「ここにもいないか……」
涼原(もう少し先に進むか……? いや、帰りの時間を考えたら、これ以上は無理だ。トビさんは二時間なんて言ってたけど、私が帰ってくるまでずっと待ってるはず。拠点が襲われる可能性だって、なくはない。トビさんのことも考えて、最初に言った一時間以内が限度だ……)
涼原(……わかってる、わかってる! 見つからないのが当たり前だってのは、わかってる……! だけど……でも……!)
涼原(M)私は、大バカ者だ。だから、賭けたい。可能性が、1%もない事柄に。安全じゃない、危険な賭けに……。
涼原の視線の先──魔獣の死骸が散らかる中、瓦礫を背にして座り込む探し人……変わり果てた姿の春野紗奈。
涼原「……さすが、私。まぁ、日頃の行い良いもんね」
涼原「……でも……」
涼原は優しく微笑みながら、春野へと近づき腰を落とす。
涼原「……最後の最後まで、戦ってたんだね。マジカッコいいぜ、はるのん」
涼原「お疲れ、はるのん。来るの遅かったよね、ほんとごめん……」
涼原「ねぇ、はるのん。はるのんが頑張ってくれたおかげで、たっつーも、うぶも、無事帰ってきたよ。二人とも、無事だよ」
涼原「だからさ、もう肩の力抜いて、ゆっくり休んでいいよ」
涼原「ありがと、はる──」
春野「ゆ……うか……?」
涼原「……はるのん?」
春野「……」
涼原「……そうだよ、優香だよ……! はるのんを助けにきたよ! だから、もう安心してね! すぐに、連れていくからさ! 基地に、二人のところに! だから、もう少しだけ頑張っ──」
春野は、顔を上げず俯いたまま、小さく小さく言葉を吐き出す。ボロボロと大粒の涙を流しながら、小さく、小さく。
春野「あ……り……が……」
春野「……」
春野「……」
涼原「……はるのん?」
涼原「……」
涼原「……」
ーーー
数時間後──生方の部屋の扉が、小さく音をたてる。
涼原「よっ、うぶ」
生方「涼原さん……」
涼原「ねぇ、少しだけお話し、いいかな?」
生方「……ごめんなさい。今は、一人にしておいて欲しい」
涼原「わかった。じゃあ、これだけ渡して帰るね」
涼原「……はい、これ」
生方「……リストバンド?」
生方「……こ、これって……⁈」
涼原「ごめんね。それしか、持って来れなかった」
涼原「……はるのん、うぶとたっつーは無事だよって伝えたらね『よかった~!』って顔してた。一人になった後も、ずっとずっと二人のこと考えてたんだと思う。だからさ『ごめんなさい』よりも『ありがとう』って、沢山、いっぱい、はるのんに伝えてあげてほしいな。その方が、はるのん喜ぶと思うよ」
生方「……そうだね。涼原さんの言う通りだね……。それに、下ばっかり向いてたら、紗奈ちゃんに怒られちゃうよね……」
涼原「そうそう。『お前は、いつまで下向いてんだ?』ってお尻蹴られるよ。蹴られたことある? 私は結構あるよ。はるのん、マジで容赦ないからさ~」
生方は、手のひらに乗せたリストバンドを見つめながら、ボロボロと涙をこぼす。
涼原「……今すぐじゃなくてもいいよ。少しずつで良い。少しずつ、少しずつ顔上げてさ……そんで、前向いたら、あとははるのんがケツ蹴って背中叩いて、無理やり一歩進ませてくれるよ」
生方「……うん……うん……」
生方「涼原さん……」
涼原「なに?」
生方「ありがとう……ありがとう……! 紗奈ちゃんを助けてくれて……本当に、ありがとう……!」
涼原「私よりも、お礼言うべき人がいるでしょ?」
生方「……紗奈ちゃん……私ね、紗奈ちゃんが助けてくれたおかげで、生きてるよ……! 生きて、帰って来れたよ……! 無事に……帰って……!」
生方「ありがとう……ありがとう、ありがとう……! あり……がと……!」
涼原(M)戦死した人の遺体や遺品が帰ってくることは、ほとんどない。だから、私たちは苦楽を共にした仲間たちにろくな挨拶もできないまま別れることが多い。そのことに心を痛めて、戦えなくなる人もたくさんいる。自ら命を断つ人も……。
涼原(M)残された私たちは、いなくなった仲間たちを背負って、目に見えない傷をたくさん背負って、戦っていかなくちゃいけないんだ。
自室へと戻ってきた涼原は、ベッドへと真っ直ぐに向かいそのまま倒れ込む。
涼原「あぁ~疲れたぁ……。もう無理、動きたくない……。シャワー浴びなきゃだけど、布団が離してくれない……このまま寝よ……。あーでも、このまま寝たら絶対に和楽さんワーワー言ってくるわ……。あの人ほんと細かいからなぁ~。ってか、この後司令官室行かなきゃだったわ。あ~動きたくねぇ~……」
涼原「……ありがとう、か」
涼原「……」
涼原(私は、はるのんにお礼を言われるようなことは何もしてない。何もできなかった。せっかく、はるのんを見つけられたってのに……)
涼原(……はるのんは、きっと助けてもらえると思ったんだ。だから、私にお礼を言ったんだ。それなのに私は、はるのんを残して帰ってきた。一人で、帰ってきちゃった……)
涼原(あぁ……なにやってんだろ……? 何してんだろ、私は……? はるのんを助けられないし、たった一つしか遺品持ち帰って来ないし……何しに行ったんだろ……? 私、何をしにさ……)
涼原(……いや、何言ってんだ私は? 私は、あの時にできる最大限のことをした。だから、自分を責めるな。遺品は、邪魔にならない物一つに留めた。気持ち押し殺して、すぐその場を後にした。一時間以内に戻った。何も間違ってない……私は、何も間違ってない……。だから、責めるな……責めるな責めるな責めるな……! 私は……私は……!)
歯を食い縛り、自身に言い聞かせる涼原。頭の中には、春野の最後の言葉が何度も何度も鳴り響く。
春野「あ……り……が……」
涼原「……私は、弱いなぁ……。私が、もっと……もっともっと強かったら……力があったら、もっともっといろんなことが……できなかったことが……はるのんのこと……!」
涼原「くそ……くそ、くそくそくそくそ! ちくしょう! ちくしょうが! くそくそくそ! あぁぁぁぁぁぁ……!」
涼原「……ごめん……ごめんね……ホントごめん……! ごめんね、はるのん……!」
何度も何度も拳を叩きつける涼原──部屋の外では、和楽が扉の前で静かに立っており、ノックするために挙げた腕を下げ、その場を後にした。
ーーー
近衛「あれあれ? 秀さんじゃないですか」
和楽「お前、なにしてんだ?」
近衛「それはこっちのセリフですよ。あちらの方角には、涼原ちゃんのお部屋があったと思うんだけど……もしや、振られちゃった?」
和楽「茶化すな、アホ。つーか、お前も涼原の部屋行く気だったろ」
近衛「バレてたか。さすが、秀」
和楽「今は、そっとしといてやれ」
近衛「そうですか。まぁ、俺らが行ったら、涼原ちゃんは無理にでも笑うだろうしね。吐き出せる時に吐き出して……泣ける時に、いっぱい泣いた方がいいしね」
和楽「あのバカは、色々と溜め込むからな」
近衛「おやおや、秀さんは涼原ちゃんのことよくわかっていらっしゃるんですね~」
和楽「茶化すなって言ってんだろうが。さっさと行くぞ」
近衛「はいはい。でもさ、涼原ちゃんいないのに司令官室行ったって、後日また来いってならない?」
和楽「その可能性は大いにある。だからって、顔出さないわけにはいかないだろ」
近衛「まぁ、今回の件に関しましては、止められなかった俺たちにも責任あるしね」
和楽「連帯責任だ、連帯責任。ったく、少しは俺たちのことも考えろよな、あのアホ。何でもかんでも一人で突っ走りやがって……!」
近衛「そうそう。俺たちのことも考えてさ、話してくれたら手伝ってあげるのに。ね、秀?」
和楽「……俺は手伝わないぞ」
近衛「おやおや? 結構な間がありましたけど? やっぱ秀さんは恥ずかしがり屋さんですね~」
和楽「お前、一発ぶん殴らせろ」
乾「ん? お前ら、こんなところでなにやってんだ?」
和楽「隊長。お疲れ様です」
近衛「お疲れ様です」
乾「そっちは女子寮だぞ。もしかして、二人で涼原取り合ってんのか? 涼原を振り回してやるなよ」
和楽「変な勘違いしないでください。それに、振り回されてんのは俺たちの方です」
近衛「秀が、涼原ちゃんのことが心配で心配で仕方がないからって──」
和楽「違うわ! 司令官室に連れてくためだわ!」
近衛「秀、たまには素直になったほうが良いと思うよ~?」
和楽「お前、マジで一発ぶん殴らせろ!」
乾「廊下でギャーギャー騒ぐな。んで、呼びに行ったはずの涼原の姿が見当たらないが? お前ら、俺に嘘吐いてんのか?」
近衛「あー……その件についてはですね──」
和楽「今は、そっとしておいてあげてください。今日はこれ以上、あいつに無理させたくないんです」
近衛「そういうことです。お叱りなら、俺たちが代わりに受けます」
乾「……わかった。まぁ、無事に帰ってきたことだし、俺はあいつのやったことは悪いことだとは思わない。だから、お叱りはいつも通り頼んだぞ、秀」
和楽「任せてください。嫌われ者は俺の役目ですからね」
近衛「安心しろ、秀。涼原ちゃんは、お前のこと嫌ってないよ」
和楽「それはないだろ、流石に」
近衛「あるある。本人に聞いてみ?」
和楽「聞くわけないだろ」
近衛「ところで、隊長はなんでここに? 隊長も、涼原ちゃんに用ですか?」
乾「あぁ。流石に隊長からなんもなしじゃ、他の隊に示しがつかんだろ」
近衛「それはそうですね」
乾「あと、話は俺がしてきたから、涼原もお前らも司令官室に行かなくて良いぞ」
近衛「ありゃりゃ、先越されちゃいましたか」
和楽「すいません、手間かけさせて」
乾「気にするな。といっても、お前らは甘々の優男だからな。嫌でも気にしちゃうだろ? つーことで、今から飲みに付き合ってもらうぞ」
近衛「それくらいなら、誘われなくても付いてきますよ」
和楽「ってか、甘々の優男ってのはやめてくださいよ。俺は優しくないですから」
乾「我が隊一の優男が何言ってんだか」
近衛「ですね~」
和楽「涼原だけで手一杯なんですから、隊長まで茶化してくるのやめてくださいって……」
乾「すまんすまん。んじゃ、行くか」
近衛「隊長、司令官どうでした?」
乾「入った瞬間、とんでもない目で見られたな。何度もため息吐かれて……声を荒げることはなかったが、圧はすごかったな。小便漏らすかと思ったぜ」
近衛「隊長が小便なら、俺たちが行ってたら大便だったかもね、秀?」
和楽「つまらんこと言うな」
乾「お前らが思ってる数倍は怖かったぞ。だから、俺は涼原に一言申さねば気が収まらん。つーことで、秀。今から俺が言うことを、きっちりちゃんと涼原に伝えておけよ。わかったな?」
和楽「わかりました。一言一句間違いなく伝えておきます」
乾「……次からは、俺たちも連れて行け。行こうが行かまいが、どうせ連帯責任になるんだからな」
近衛「あはは。隊長には、俺たちの考え何もかも筒抜けですね」
和楽「あんたも人のこと言えないくらい、甘々の優男ですよ? 隊長」
涼原(M)どれだけ嬉しいことがあっても、どれだけ達成感に満たされたとしても……悲しみが、苦しみが、後悔が、次々と塗り潰していく。何度も、何度も何度も何度も……。
涼原(M)こんな思いをするくらいなら、仲間なんていらない。一人でいい。その方がきっと楽だ。私は、のんびり、ダラダラと、何にも縛られることなく、自由に生きたい。
涼原(M)私にとって仲間というのは、重荷なんだ。私は、仲間がいる限り自由に生きられない。
涼原(M)でもきっと、私は大バカ者だから、支えてくれる誰かがいないと、止めてくれる誰かがいないと……すぐ、死んじゃうんだろうな。
数週間後、基地内の会議室A。
乾「本日から、我が隊に新たなメンバーが加わる。皆、見知った仲だと思うが一応自己紹介しておけ」
生方「及川隊に所属していました、生方桃音です。及川隊では、中後衛からのサポートを主にしていました。本日から、よろしくお願いします」
近衛「んじゃ、俺たちも自己紹介しますか。俺は、近衛理人。生方ちゃんと同じく、主に中後衛からのサポートしてるけど、場合によっては前出て戦ったりもするし……まぁ、カッコよく言うと万能型かな。よろしくね」
和楽「和楽秀だ。俺は、前出て戦うことが多い。が、戦況によっては後ろに回ることも可能だ。理人と同じタイプだと思ってくれていい。よろしく頼む」
涼原「(良い声で)涼原優香です。基本は前に立って、君を守るのが役目だけど……僕が本当に居たい場所は、君の前じゃなく、君の隣かな? 好きです、結婚しよう……!」
和楽「生方、こいつの発言は9割無視していいからな」
近衛「というか涼原ちゃん、誰彼構わず好き好き言ってたら、秀が拗ねちゃうよ?」
和楽「拗ねるか、アホ」
乾「お前ら、いつの間にそんな仲になってたんだ? まぁ、ここいらでイチャイチャするのは構わないが、戦場では流石にやめてくれよ?」
和楽「イチャイチャなんてしないし、そんな仲になった覚えもありませんよ!」
涼原「安心して、秀さん。私が愛しているのは、秀さんただ一人よ! だから、拗ねないで──」
和楽「お前まで乗ってきたら、マジみたいになるだろうが! この、アホ!」
和楽は、涼原の頭を引っ叩く。
涼原「痛ーい! なんで私だけ叩くの⁈ ねぇ、なんで⁈ こんなの不公平だ、不公平! りっちゃんも叩きなさいよ! りっちゃんも!」
近衛「いやいや、二人のイチャイチャに混ざるなんて、俺にはできませんよ、そんなこと」
和楽「マジでいい加減にしろよ、てめぇぇぇ!」
涼原「いいぞいいぞ、やってやれー! いけいけ和楽さん! そこだそこだ! 必殺パンチを……って、りっちゃん⁈ こっち来ないで! こっち来たら、私も、んぎゃぁぁぁ⁈」
乾「……うるさくてすまん。が、これがうちの隊の日常だ。慣れてくれとしか言えん」
生方「いえ、私はこの雰囲気とても好きです。なんだか温かくて、居心地いいです」
乾「それはよかった。生方の加入により、うちの隊の陣形も少なからず変わる。しばらくは任務に出す、連携に重点を置いた訓練を行う」
生方「はい」
乾「……辰巳は、まだ前線復帰が難しい状態だと聞いている。お前は、大丈夫なのか? 無理はしていないか?」
生方「身体は大丈夫です。心は……辛くないと言えば嘘になりますが、いつまでも下を向いているわけにはいかないので」
乾「そうか。なにかあれば、すぐに俺たちを頼れ。一人でなんでもやろうとするなよ」
生方「はい」
乾「どんな頼みごとでも、迷惑だとは思わん。俺たち……特に男三人は、毎度毎度振り回されっぱなしだからな」
近衛「ある程度の耐性は付いちゃってますので、ご安心を~」
生方「うふふ。説得力凄いですね」
近衛「でしょ? 改めて、よろしくね。生方ちゃん」
生方「はい。よろしくお願いします」
涼原「おいこら、りっちゃん! なんで私を見捨てて、うぶ口説きに行ってんだ! 絶対に許さないからな! うぶは、私のよ!」
近衛「怒るポイント、そこなんだ? 口説いてないよ、涼原ちゃん。生方ちゃんも同じ隊になったのに、仲間外れは可哀想でしょ?」
生方「……ん? どういうことですか?」
近衛「こういうこと。秀~生方ちゃんが『お二人、とてもお似合いですね! 二人の愛、とても素敵……!』って言っておりますよ~」
生方「えぇぇぇ⁈ 私、そんなこと一言も──」
和楽「お前らマジで許さねぇからな! そこに一列で並べ! 引っ叩いてやる!」
近衛「またまた改めまして、乾隊にようこそ、生方ちゃん」
涼原「さぁ、走るよ。あれに捕まったら、お説教コース決定だよ?」
生方「いや、私は何も──」
乾「んじゃ、俺は秀側につくか。お前ら、全力で逃げろよ~。一時間以内に俺たちに捕まったら、涼原お望みのお説教コースだ」
生方「えぇぇぇ⁈」
涼原「いや、私は望んでおりませんよ⁈」
乾「はい、10.9.8──」
涼原「やばいやばい! 逃げろ逃げろ逃げろぉぉぉ!」
生方「なんなんですか、これ⁈ なんなんですか⁈」
近衛「うちの隊の日常だよ~。ほら、時間ないよ? 早く逃げましょ」
和楽「隊長、手ぇ抜かないでくださいよ?」
乾「もちろん。俺は何事にも全力な男だ。よし……行くぞっ!」
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涼原(M)でも、もし私が死んでしまったら……この人たちは、悲しんでくれるだろう。苦しんでくれるだろう。私のこと、背負って生きていくんだろう。
涼原(M)そんなこと、してほしくない。みんなの重みになりたくない。心配かけたくない。悲しんでほしくない。それなら自分が苦しんだ方がいい。悲しんだ方が……。
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