「声劇台本置き場」

一人台本↓

「おやすみ」(比率:不問1)。

　初めて君と出会った時、君はジッと僕を見つめてきたよね。あの時の顔は、今でも忘れられないよ。


　それから、何日経った後だったかな？　君が僕に触れて『よろしくね』って言ってくれた。あの時の温もりは、今でも忘れられないよ。


　君とは、いっぱい遊んだよね。いっぱいお出かけしたよね。すごくすごく楽しかった。今でも、ふとあの時のことを思い出すよ。


　でも、歳を重ねるごとに、君は僕から離れていってしまった。そばに行っても、すぐに君は離れてしまう。僕は嫌われてしまったのだろうか？　そう思うと、胸が痛くなった。


　でも僕は、君のことが大好きだから。君がそう望むのなら、僕は君に近づかないって決めたんだ。


　それから、何年経ったかな？　君が泣きながら帰ってきた。僕は、すごくすごく心配したよ。でも、僕は君に近づかないって決めたんだ。君が笑ってようが怒ってようが泣いてようが、近づかないって決めたんだ。


　大好きな君に、嫌われたくないから。


　でも、いつまで経っても泣き止まない君を見ていると、胸が痛くなった。嫌われたのかなって思ったあの日よりも、胸が痛くなった。


　僕は、君に近づいた。君のことが好きだよって伝えるために。君の涙を拭ぬぐってあげた。君は『ありがとう』と言って僕を抱きしめてくれた。あの温もりは、忘れられないよ。


　あの日から、人間って自分勝手でバカな生き物だなって思ったよ。


　そんな人間を、君を好きになってしまった僕は、もっともっとバカな生き物だと思ったよ。


　あぁ、もっともっと君とお出かけしたかった。いっぱい遊びたかった。


　触れたかった。


　抱きしめたかった。


　一緒に……そばに……。


　泣かないで。泣かないでよ。僕は、君の泣き顔を見るのは嫌いなんだ。笑っててほしいんだ。大好きな君には、ずっとずっと笑っててほしいんだ。


　何度も何度も『ごめんね』って呟く君。君が『ごめんね』と呟くたび、僕は『ありがとう』を伝えるよ。


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


　いっぱいいっぱい、僕に思い出をくれて


「ありがとう」


　神さま、どうかお願いします。僕を、自分勝手でバカな人間にしてください。そして、伝えさせてください。


　泣かないで。最後は、笑顔でバイバイしよ。って。僕のワガママを、伝えさせてください。君と過ごせた時間は、とてもとても楽しかったよって。もっともっと一緒に居たかったですって。


　大好きだよって……ありがとうって……伝えさせてください……。


「……ワンッ……」