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二人台本↓
「羊が……」(比率:不問2)約10分。
しおりを挟む・役表
人:♂♀
羊、キャスター:♂♀
所要時間:約10分
ーーーーー
とある夜。人がベッドで横になっている。
人「……」
人「……眠れない……全然眠れない……。お目目がぱっちりだ……。明日仕事なのに、どうしよう……。なんでこんなに眠くないの? どうして? なんで? 神よ、教えてください」
人「あーダメだ……。このままじゃ『寝られないから、ちょっと動画みよ』ってなってズルズル見続けて朝になるパターンだわ。それだけはなんとかして回避しなければ……」
人「そうだ! こんな時は、羊を数えよう! なにもしないよりはマシだ! 羊数えても意味がないとか聞いたことある気がするけど、なにもしないよりはきっとマシだ! よーし! 数えるぞー!」
人「羊が、一匹……」
羊「メェ~!」
人「羊が、二匹……」
羊「メェ~!」
人「羊が、三匹……」
羊「メェ~!」
人「羊が、四匹……」
羊に疲れが見え始める。
羊「メ、メェ~!」
人「羊が、五匹……」
羊「メ、メェ~……!」
人「羊が、六匹……」
羊「メ、メェェェェ……!」
人「待て待て待て待て、ちょっと待て。もしかしてだけど、いやもしかしなくても……一匹だね? 一匹でひたすらグルグル回ってるよね? 四匹あたりから疲れが見えてきたもんね? え? 四匹で? 疲れるの早くない? あれなの? 私の数えるスピードが早かったの? そういうこと? というか、一匹で回らないで。何匹か連れてきて。一匹だとね、眠気来ないから。眠気よりも、心配と罪悪感が来るから。『一匹で大丈夫かなぁ~?』って。『こんなに労働させて申し訳ないなぁ』って。わかった?」
羊「わかりました」
人「よーし、羊を数えて寝るぞ~!」
人「羊が、一匹……」
羊「メェ~!」
人「羊が、二匹……」
羊「メェ~!」
人「羊が、三匹……」
羊「メェ~?」
人「羊が、四匹……」
羊「メエ~?」
人「羊が、五匹……」
羊「メエ~?」
人「なんで疑問系なの? 自分の『メェ~』になんの疑問を抱いてるの? 余計なこと考えさせないで」
羊「メエってば~! どこにいるの~!」
人「探してるね、これ。メエという子を探してるね、これ。さっきの疑問系は、探してるやつだったのね」
羊「もぉ、どこに行っちゃったのかしら? 無事だといいのだけれど」
羊「あら、電話が。もしもし、メエ? あなた今どこに……え? あ、あなた、誰ですか?」
羊「……え⁈ メエを預かったって、どういうことですか⁈ メエは無事なんですか⁈」
羊「……メエちゃん! メエちゃん、無事なの⁈ なにもされてない⁈ 大丈夫⁈」
羊「あっ、ちょっと! メエに乱暴しないで! なにが目的なのよ!」
羊「……わ、わかったわ! なんでも言うこと聞くから! だから、メエには手を出さないで! お願いだから、あの子には何もしないで!」
羊「……え⁈ 干し草、10キロですって⁈ そんな大量の干し草、持ってるわけ……や、やめて! わかったわ! 絶対に持っていくから! だから、メエには何もしないで!」
人「『何もしないで!』は、こっちのセリフゥゥゥ! 変なことしないでもらえますかぁぁぁ! 私は、寝たいんですよ! 眠気に来て欲しいんです! そんなことされたら、心配が眠気を追い越して全力疾走で向かってくるのよ! 『メエちゃん大丈夫なのかな……』って気持ちが押し寄せてくるのよ! こんな気持ちで眠れるわけないだろうが! 変なアドリブするな! メェ~って鳴くだけにして!」
羊「わかりました」
人「よーし! 次こそは寝るぞ~!」
人「羊が、一匹……」
羊は、甘く囁くように良い声で鳴き始める。
羊「メェ~……!」
人「羊が、二匹……」
羊「メェ~……!」
人「羊が、三匹……」
羊「メェ~……!」
人「羊が、四匹……」
羊「メェ~ンッ……!」
人「やめろぉぉぉぉ! 囁くように、鳴くんじゃなぁぁぁい! ドキドキして眠れなくなるだろうが! 胸の高鳴りが止まらねぇよ! そして、私の好きな声質なんだよ! 高鳴りを加速させるな! あと、『メェ~ンッ』ってなんだ⁈ ンッって! 変なことするんじゃない! 普通に鳴け! 眠気を連れてこい!」
羊「わかりました」
人「羊が、一匹……」
羊「メェ~!」
人「羊が、二匹……」
羊「メェ~!」
人「羊が、三匹……」
羊「メェ~!」
人「羊が、四匹……」
羊「メェ~!」
人「ボケんかぁぁぁぁい!」
羊「メェ~⁈」
人「なんで普通に鳴いてんだよ! なんで、何もボケないの⁈ 何してんの、あんた!」
羊「だって、普通に鳴けって」
人「あんなのフリに決まってんでしょうが! こっちはもう待ちの体勢になっちゃってるのよ! うずうずしてんのよ! 『次はどんなボケなのかなぁ~?』って! 気になって気になって寝られるか! ツッコミさせんかい!」
羊「わ、わかりました!」
人「よーし、羊数えて寝るぞー!」
人「羊が、一匹……」
羊「メェ~!」
人「羊が、二匹……」
羊「メェ~!」
人「羊が、三匹……」
羊「メーーーーーーンッ!」
人「いや、それ『剣道で面を決めた時』みたいになっとるやないかぁぁぁい!」
朝、人が目を覚ます。
人「うーん……はっ⁈ いつの間にか寝てた。いっぱいツッコミしてたから、疲れて眠っちゃったのか。羊を数えるのも悪くないな」
人「さてと、テレビ見ながら仕事の準備をしますか~。ポチッとな」
キャスター「では、続いてのニュースです。今朝、マルマル牧場で干し草10キロが何者かに盗まれる事件が発生しました」
人「あれ、アドリブじゃなかったぁぁぁぁ⁈」
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