「声劇台本置き場」

きとまるまる

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四人台本↓

「迷探偵ホムムズ」(比率:不問4)約15分。

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*役表
ホムムズ:♂♀
助手くん:♂♀
お手伝い1:♂♀
お手伝い2:♂♀


・所要時間:約15分



ーーーーー



 激しい雨が地面へと打ち付ける。雷が激しく雷鳴している。舞台は、とても怪しげな洋館。


助手くん「ゴロゴロ、ピカッ!(雷の音)」


ホムムズ(M)ここは、怪しげな洋館。どれくらい怪しいかというと、めっちゃ怪しげな洋館だ。私は、この洋館の主人に招かれ、助手くんと一緒にやってきた。


助手くん「ゴロゴロ、ピカッ!(雷の音)」


ホムムズ(M)今日はこのように、雷がすごく鳴っている。雷が鳴っていると、怪しさが二倍になりますね。


助手くん「ゴロゴロ、ピカッ!(雷の音)」


ホムムズ(M)全然雷が鳴り止まないね。みんな、気をつけたまえよ。このように雷が鳴っている洋館では、必ず……!


 ご主人の部屋で、ご主人が血を流して倒れている。


お手伝い1「きゃー!」

お手伝い2「ど、どうした⁈」

お手伝い1「ご、ご主人様が……ご主人様が……!」

お手伝い2「ご主人様がどうした⁈ はっ⁈ ご、ご主人様が、血を流して……!」

お手伝い1「そ、そんな……こんなことって……!」

お手伝い2「こ、これは事件だ……殺人事件だぁぁぁ!」


 ホムムズが、とても楽しそうに登場する。


ホムムズ「え、事件⁈ どこどこどこ⁈」

助手くん「ホムムズ! 事件現場に楽しそうに登場しちゃダメって、何度も言ってるでしょうが!」





ホムムズ「迷探偵ホムムズ」





ホムムズ「ふむ……。倒れているのは、この洋館の主人『ポメポメラメーン』さんで間違いないね」

助手くん「えぇ、そのようですね」

お手伝い1「うぅ……ご主人様……!」

お手伝い2「だ、誰がこんなことを……! 絶対に許せない……!」

ホムムズ「この洋館にいる人間は、ここにいる4人だけで間違いないかい?」

お手伝い1「は、はい。今は私たちだけです」

お手伝い2「他のお手伝いは、みんな有休使って今頃ハワイでワイワイしてると思います」

お手伝い1「はぁ……私もハワイに行きたかったのに……。『一気に休ませると誰もいなくなるだろ』とか、わけわかんないこと言われて……」

ホムムズ「なるほど。つまり犯人は、あなたたちのどちらかということですね」

お手伝い1「え⁈」

お手伝い2「わ、私たちを疑っているんですか⁈」

ホムムズ「当たり前だろう。だって私はここにくる前に、調子乗って道端に生えてたキノコ食べてお腹壊して、この洋館に来てから今に至るまで、ずっとトイレにこもっていたんだからね」

助手くん「よくサラッと自分の馬鹿っぷりを言えますよね」

ホムムズ「ちなみに助手くんは個室の前で、心が折れそうな私にずっと声をかけ続けてくれてたから、助手くんも主人を殺せない」

助手くん「ホムムズの泣き声と下痢げりの音の不協和音ふきょうわおんを聞いてて死にたくなってましたけど、身の潔白が証明できたのでよかったです」

お手伝い1「わ、私はやってません!」

お手伝い2「わ、私もです! 信じてください!」

ホムムズ「ふむ……被疑者ひぎしゃは、この二人か。つまり、2分の1」

助手くん「ホムムズ、運任せはダメですよ」

ホムムズ「わかっている。では、お二人は先ほどまで何をしていたか、私たちに教えてくれないか?」

お手伝い1「は、はい。私は先ほどまで食事の支度をしておりまして。準備ができたので、ご主人様をお呼びしようと思ったら……こ、こんなことに……!」

ホムムズ「ふむ、なるほど」

お手伝い2「私は、お掃除をしていました。掃除をする前は、ご主人様とお話しをしておりました。最近流行りの双子アイドル『ミーとムー』について話しておりました。最初はすごく楽しげにお話ししていたのですが……私はミー派、ご主人様はムー派で、徐々にすれ違いが起きていき……あのやろう! ミーちゃんの悪口を言ったんですよ! どう思います⁈ 許さませんよね⁈」

ホムムズ「ほうほう、それで?」

お手伝い2「お、推しを馬鹿にされて、私の怒りは頂点にたっしました」

ホムムズ「なるほど」

助手くん(そこまで言ったら、犯人は君だよぉぉ! 君で間違いないよぉぉぉ! 開始5分もせずに事件解決おめでとうだよぉぉぉ!)

ホムムズ「助手くん、これは難事件だぞ……!」

助手くん「どこが⁈ どの辺が難事件⁈ これを難事件と解釈するあなたを理解することの方が難解だよ!」

お手伝い1「私はやってません! 信じてください!」

お手伝い2「私もです! 信じてください! 私は無実です!」

助手くん「お前、あんなこと言っといてよく無実だと言えるな!」

ホムムズ「助手くん、もしかしてだが、この方を犯人だと?」

助手くん「あなたは違うというのですか⁈ そう思うなら、すぐに探偵をやめろ!」

ホムムズ「落ち着け、助手くん。この方は怒りが頂点に達しただけで──」

助手くん「怒りが頂点に達した時点でこいつだよ!」

お手伝い2「わ、私を疑ってるんですか⁈ 違います! 私はやって──」

助手くん「じゃあ、怒りが頂点に達した後に何をした⁈ 言ってみろ!」

お手伝い2「わ、私はその後に──」


 お手伝い1は、高らかにガッツポーズする。


お手伝い1「いえっす!」

助手くん「なっ⁈」

助手くん(な、なんだ、こいつ⁈ 高らかにガッツポーズしたぞ! なぜ⁈ まさか、自分が疑われてないことが嬉しくて嬉しくて⁈ いやまさか、そんなバカなことが……!)

ホムムズ「君、ちょっといいかい?」

お手伝い1「はっ⁈ な、なんですか?」

ホムムズ「他の人の目は誤魔化せても、私の目は誤魔化せないぞ」

助手くん「ホムムズ⁈」

助手くん(一体なにが……? この人は一体なにをしたんだ? まさか、ガッツポーズのことか⁈ ガッツポーズのことを言うんじゃないだろうな⁈ いやでも、他の人の目は誤魔化せてもって言ってるから、きっと僕らじゃわからなかったことを──)

ホムムズ「さっきのガッツポーズについて、詳しく聞かせてもらおうか?」


 助手くんは、膝をついて床を叩きまくる。


助手くん「あぁぁぁぁぁ! なぜ僕は! 深く物事を! 考えようと! してたんだ! こいつがバカなのは! 知ってるだろう! 恥ずかしぃぃぃぃぃぃぃ!」

お手伝い1「あ、あの……」

お手伝い2「この方、どうされたんですか……?」

ホムムズ「たまにこうなるんだよ。怖いよね」

お手伝い1「えぇ……怖い……」

お手伝い2「怖……」

助手くん「今ここに殺人犯という、僕より恐ろしい存在がいるということを忘れてないだろうな⁈ 早くガッツポーズした理由を教えろ!」

お手伝い1「え⁈ ガッツポーズって、な、な、なんのことですか~? わ、私、わからないなぁ~!」


 お手伝い1は、下手くそな口笛を吹き始める。


お手伝い1「ピュ、ピューピュルピ~!」

助手くん「怪しっ! なんだ、こいつ⁈ 急に怪しく見えてきたよ! え、どっち⁈ どっちが犯人⁈ わからなくなってきたよ!」

ホムムズ「だから、難事件だと言っただろ?」

助手くん「こうなることを誰が予想できる⁈ バカとバカとバカのせいで、とんでもない現場になっちゃってますよ!」

ホムムズ「バカとバカと……助手くん、バカが一人多くないかい?」

助手くん「お前とそいつとそいつの三人だよ、バーカ!」

ホムムズ「助手くん、落ち着きたまえよ」

お手伝い2「お前だろ! お前がご主人様を!」

お手伝い1「ひ、人に罪をなすりつけるな! お前だろ!」

ホムムズ「あーあー君達も落ち着きたまえ」

お手伝い2「落ち着けるか!」

お手伝い1「そうよ! 落ち着けるわけないでしょ!」

助手くん「どうするんですか⁈ なんとかしてくださいよ!」

ホムムズ「なんで助手くんも荒れてるの? やれやれ、仕方ないな。この手は使いたくなかったのだが……」

お手伝い1「な、なによ?」

お手伝い2「なにをする気なんだよ?」

ホムムズ「いくぞー。じゃーん、けーん……!」

お手伝い1「え? え⁈」

お手伝い2「あ、ま、待って!」

ホムムズ「ほい」


 お手伝い1は、パー。お手伝い2は、グー。ホムムズは、チョキ。


助手くん「あの、なんでいきなりじゃんけんを……?」

ホムムズ「落ち着かせるためさ。ほら、彼らはじゃんけんをすることに頭を使ったから、静かになっただろ?」

助手くん「た、たしかに……!」

お手伝い1「ほ、本当だ」

お手伝い2「つい、じゃんけんをしちまった」

ホムムズ「あっ、そのままでいてくれよ。助手くん」

助手くん「は、はい! なんですか?」

ホムムズ「確認してくれ」

助手くん「え? じゃんけんの勝敗をですか?」

ホムムズ「そうだ」

助手くん「え、えっと、ホムムズがチョキ」

お手伝い1「わ、私はパー」

お手伝い2「私はグーです」

助手くん「ホムムズ、これでなにかわかるんですか?」

ホムムズ「あぁ、これではっきりしたよ。事件の犯人が」

助手くん「え⁈」

お手伝い1「嘘⁈」

お手伝い2「ど、どうして⁈」

ホムムズ「さて……では、犯人を当てようか」

助手くん(ほ、本当に、本当にじゃんけんをしただけで犯人がわかったのか……? わかるわけが……! いやでも、なんだろう? 今のホムムズは、とても探偵らしく……名探偵と呼んでもいいオーラが出てる気が──)

ホムムズ「犯人は……私にじゃんけんで負けた、貴様だぁぁぁぁぁぁぁ!」

お手伝い1・2「えぇぇぇぇぇぇぇ⁈」

助手くん(とんでもねぇこと言い出したよ、こいつぅぅぅぅ!)

お手伝い1「う、うぅぅぅ……! あ、あいつが、あいつが全部悪いんだ……! あいつが……!」

助手くん(しかも当たってるしぃぃぃ!)

お手伝い2「お、お前、なんで……? なんでご主人様を……!」

お手伝い1「だって、だって……!」

助手くん「待てぇぇぇぇ!」

お手伝い1・2「え?」

助手くん「本当にあなたがやったの⁈ 本当に⁈」

お手伝い1「は、はい。私が──」


 お手伝い1は、助手くんに口を塞がれる。


お手伝い1「むぐっ⁈」

助手くん「(ヒソヒソと)まだ犯人と認めさせるわけにはいかない! あなたがじゃんけんで認めてしまったら、今後もホムムズはじゃんけんで犯人を見つけようとして、さらにめんどくさいことになる! これ以上、バカに成長させないためにも! やつにしっかりちゃんと推理させるためにもぉぉぉぉ!」

お手伝い1「んーー! んーー!」

ホムムズ「助手くん、なぜその人の口を塞いでいるんだい?」

助手くん「ホムムズ、なぜこの人が犯人だと⁈ あなたの推理を聞かせてください!」

ホムムズ「え? それは、私の勘──」

助手くん「あーー! 貴様、とても怪しい動きを! なにをしている⁈」

お手伝い2「え、私⁈ 私はなにも──」

ホムムズ「なんだと⁈ 助手くん、一体どんな動きをしていたんだい⁈」

助手くん「とんでもない動きしてましたよ! 自分が犯人ですと言わんばかりの動きでした! まだこの人を犯人だと決めつけるのは、早いのではないでしょうか⁈ もう少し証拠を集めましょう、ホムムズ!」

ホムムズ「ふむ、そうだな。もう少し慎重に、落ち着いて推理してみるか」

助手くん「そうですよ! 落ち着いて、慎重に! 証拠を一つずつ集めていけば、必ず犯人に辿り着けます! さぁ、証拠を集めにいきましょう! まずは食堂に!」

ホムムズ「あぁ! 食堂から謎の臭いがするぞ! 真実を追い求め、走れホムムズ!」

お手伝い1「……」

お手伝い2「なんだ、あいつら?」

お手伝い1「さ、さぁ……?」

お手伝い2「ちなみに、なんでお前はご主人様を殺したんだ?」

お手伝い1「有給、使わせてもらえなくて……。今頃みんなはハワイでワイワイしてると思ったら、ついカッとなって……。なんで私だけって……」

お手伝い2「そうか……」

助手くん「おい、貴様ら! なにしてるんだ! 貴様らもこっちにこい!」

お手伝い1・2「は、はいぃぃ!」


ホムムズ(M)その後、事件は3時間後に解決するのであった。









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