「声劇台本置き場」

きとまるまる

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二人台本↓

「デスゲーム(仮)」(比率:不問2)約15分。

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・役表
人:♂♀
GM:♂♀




ーーーーー



 とある古びた建物の一室。人が倒れている。周りには誰もいない。


人「うーん……あれ? ここは一体……?」


 奥から怪しげな人が歩いてくる。


GM「おはようございます」

人「え? だ、誰だお前は⁈」

GM「私はゲームマスター。GMとお呼びください」

人「GMだと⁈」

GM「えぇ、そうです。おめでとうございます。あなたは選ばれました」

人「え、選ばれた? 知らない部屋に怪しげな人、そして選ばれた……。も、もしかしなくても、これは……!」

GM「うふふふふ……あははははは!」

GM「さぁ、始めましょうか。命をかけたデスゲームを……!」

GM「作りましょう。一緒に」

人「……え?」

GM「案をください」

人「え?」

GM「お願いします」

人「な、なんだってぇぇ⁈ え? なに⁈ どういうこと⁈」

GM「デスゲームを作るの、手伝ってください」

人「デスゲームを作る⁈ するじゃなくて作るの⁈」

GM「はい。私、ようやく神GMゴッドジーエム、略してGGMにデスゲームのGMしていいよって許可を貰ったのですが……デスゲームの経験がないので、どうすればいいのかわかんなくて」

人「デスゲームの経験があるやつを探す方が難しいよ! ってか、なんで僕なの⁈」

GM「あなた、デスゲームで何だかんだ地味に最後まで生き残ってる主人公みたいな顔してるじゃないですか。だから、色々と良い案出してもらえるかなぁって」

人「判断基準!」

GM「お願いします! 私は、皆さんに楽しんでもらえるデスゲームを作りたいんです!」

人「デスゲームは楽しむものじゃないよ!」

GM「お願いします! 私に力を貸してください!」

人「あ、あの、一ついいですか?」

GM「なんでしょうか?」

人「僕、この後は何もなく帰れるんですよね?」

GM「そうですね。デスゲームの案出していただいて、出来上がり次第お家にお返しします」

人「あぁ、うん。それなら良かったよ」

GM「そして、案を出していただいたお礼として! 後日、優先的にデスゲームへの招待状を送らせていただきます!」

人「よーし! 世界一安全で安心のデスゲームを作るぞー!」

GM「やりましょうやりましょう!」


人(M)こうして、デスゲーム作りが始まった。



ーーー



 部屋を移動した二人。目の前の机の上には五枚のカードが裏を向けて置かれている。


人「んで、今出てる案はどんな感じなの?」

GM「えっとですね……まずこれですね」

GM「(咳払い)んふふふふ、あはははははは! ようこそ、我がデスゲームへ……!」

人「おぉ。GMっぽい」

GM「まず君たちにやってもらうゲームは、これだ! ここに五枚のカードが並べてあるだろう?」

人「あーはいはい。そこに一枚ジョーカーが入ってて、それ引いた人が死ぬってやつね」

GM「いえ。ジョーカーではなくてタイキックです」

人「芸人の罰ゲームか!」

GM「とっても痛いぞ~!」

人「デスゲームだぞ! 痛いで終わったらダメだろうが!」

GM「ダ、ダメですか?」

人「ダメに決まってんだろうが! 人によってはおいしい思いするだけだぞ!」

GM「あ、タイキックを引いた人へのSEがあるんですけど──」

人「聞かなくてもわかるわ! そのゲームは廃止はいししろ!」

GM「え⁈ じゃあどうすれば……?」

人「タイキックじゃなくてジョーカーにしろ! んで、引いた人は殺せ!」

GM「わ、わかりました!」

人「次ぃ!」

GM「は、はいぃ!」



ーーー



 部屋を移動した二人。二人の前には人が10人ほどは入れそうな大きな水槽が姿を現す。


人「おぉ。でっけぇ水槽だなぁ」

GM「次のゲームは、この水槽の中で行ってもらう。ゲーム内容は……えっと、その……」

人「まだ考えてないのね。何かを探すで仮に進めよう」

GM「何かを探してもらう! 制限時間は1分だ!」

人「短いな、おい」

GM「探してる間に、40度のお湯が君たちに降り注ぐ」

人「心地良い温度じゃねぇか、おい」

GM「制限時間内に探し出せなければ、君たちの足首あたりにまでお湯が溜まってしまうだろうなぁ……! うふふふふ、あははははは!」

人「笑っちゃうくらい心地良い空間だなおい!」

GM「え? ダメですか?」

人「むしろどこがいいのか説明して!」

GM「えっと……リラックスできる?」

人「デスゲームでしょ⁈ リラックスさせてどうする⁈ 足首までお湯が溜まるって、ただの足湯じゃねぇか! 却下!」

GM「うえぇぇぇ! じゃあどうすればいいんですか⁈ あ、肩までお湯溜めろと! そうですよね! 肩までかれっていいますもんね!」

人「頭までどっぷり浸からせろ!」

GM「頭まで浸かったら死にますよ!」

人「デスゲーム!」

GM「リラックスは無しってことですか……?」

人「当たり前だろうが!」

GM「な、なるほど……。しかし、頭が浸かるまで水を入れるとなると問題が」

人「なんだよ?」

GM「……水道代が──」

人「デスゲーム!」

GM「で、でもぉぉ!」

人「ったく……! こんな大きな水槽じゃなくて、人が一人入れるくらいの水槽はないのか?」

GM「あ、それならあります」

人「んじゃ、それに変更。とりあえず中に一人入れて……制限時間5分くらいで問題を出題して、5分経ったら水槽に水がいっぱいになるようにする。1問でも間違えたら水は止まらないって感じで」

GM「あの、使用した後の水は洗濯などに使ってもいいですかね?」

人「水を大切にする気持ちがあるなら人の命も大切にしろ! 次!」

GM「えっと……次が最後ですね」

人「三つしか考えてないの⁈ まぁいいや。んで、その最後のゲームはなんなんだよ?」

GM「(咳払い)ふふふふ……! 君たちにしてもらう最後のゲームは、綱渡りだ!」

人「いいね、綱渡り。死ぬか生きるかドキドキだよ」

GM「君たちには、幅1ミリの道を目隠しして進んでもらう」

人「生かす気ゼロじゃねぇか! 生きる道をもっと広くしろ!」

GM「いや、デスゲームだし……」

人「デスゲームっていうのは、生きるか死ぬかのギリギリのところを楽しむもんだろうが! こんなのただの殺戮さつりくゲームだよ! やる前から心が死ぬわ! プレイヤーに生きる希望を与えろ!」

GM「わ、わかりました! では、幅100メートルで目隠し無し! どうでしょうか?」

人「おめぇの頭は1か100しかねぇのか⁈ んなもん全員クリアできるわ!」

GM「あぁぁぁぁ!! デスゲーム作るのって難しいよぉぉ!」

人「お前、よくGM任せてもらえたな!」

GM「案をくださいぃぃ!」

人「ったく……。道の幅は30センチ! 目隠しは無し!」

GM「目隠し無しで30センチって、簡単じゃないですか⁈」

人「まずはプレイヤーに生きる希望を与える。それがデスゲームの基本だ」

GM「デスゲームなのに生きる希望を⁈ 何を言ってるのですか⁈」

人「おめぇが最初に言ってた『幅1ミリの道を目隠しで』なんて、やる前から誰もできるわけないって思うだろうが! デスゲームっていうのはな、生きるか死ぬかのギリギリのラインを攻めていくんだよ! どちらにもかたより過ぎたら、それはデスゲームじゃねぇ!」

GM「な、なるほど……!」

人「まずは『生きる希望』を与える! そうすることにより、プレイヤーは生きるために、せいを勝ち取るために必死にゲームに取り組んでくれる」

GM「た、たしかに……!」

人「そんで、30センチの道に色々な仕掛けをする!」

GM「道に仕掛けを⁈ あ、下から火が出てくるとかですか?」


 人はGMに容赦なくビンタをする。


人「ばかやろうがぁぁぁ!」

GM「いったぁぁぁ⁈ 何するんですか⁈」

人「火なんて出したら、そこで死ぬだろうが!」

GM「す、すいません!」

人「希望を持たせろ!」

GM「生きる希望ですね! うぅん……あ、左右から風を出すなんてどうですか!」

人「いいぞ。風の強さはどのくらいだ?」

GM「強風にするとプレイヤーが吹き飛んでしまう。でも、弱過ぎてもなぁ……」

人「今回は弱くていい」

GM「ど、どうしてですか⁈」

人「例えばだ! お前が勉強してるとする。とても集中して勉強している!」

GM「は、はい」

人「その時、横から『よっ、何やってんの?』って声かけられたらどうだ?」

GM「イラっとしますね。『見ればわかるだろうが!』って……はっ⁈」

人「たった一言でもそう思っちまうだろ? この道を渡ってるやつらも、落ちないように集中してる」

GM「な、なるほど……! だから『よっ、何やってんの?』レベルの弱い風でも……!」

人「集中をみだされる」

GM「しかし、この程度の攻撃じゃ乱したところで──」

人「おいおい……! プレイヤーは何をかけてるんだ?」

GM「はっ⁈ い、命!」

人「その通り! 人が最も大事にしているものだ。だからこそ、少しの乱れでも必死になっちまう。脳が必死に『生きなきゃ生きなきゃ』と暴れまわる。『急いで修正しなきゃしなきゃ!』ってな」

GM「30センチの幅でそんなことになってしまったら……!」

人「大きくバランスを崩しちまうだろうなぁ」

GM「す、すごい……! すごいですよ! あなたは天才だ! デスゲームのGMに向いてますよ!」

人「全然嬉しくない言葉いただきました」

GM「お願いします! 私にもっともっと案をください!」

人「仕方ねぇなぁ。乗りかかった船だ! 最後まで付き合ってやるよ!」

GM「ありがとうございます!」

人「よっしゃ! ガンガン作ってくぞ!」

GM「おぉー! 次はどうしましょうか?」

人「そうだなぁ……次は──」



ーー



 人は自分の部屋でスヤスヤと気持ちよさそうに眠っている。


人「うぅ~ん……はっ⁈ あ、あれ? ここは……僕の部屋? ってことは、あれは夢か。変な夢だったよ。デスゲーム作るってなんだよ?」

GM「ピンポーン」

人「ん? はーい、どちら様ですかー?」


 人が玄関の扉を開けると、GMが立っている。


GM「こんにちは。おめでとうございます」

人「……ん?」

GM「あなたは選ばれました。デスゲームのプレイヤーに」

人「あ、あれ? あなたはもしかして……?」

GM「さぁ、楽しみましょう! あなたと私が作った、デスゲームを!」

人「夢じゃなかったぁぁぁ!」
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