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婚約破棄
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「お前みたいに魔法の才もない、武術の才もないような能無しと結婚した俺が馬鹿だった。ここで、婚約破棄を宣言する。同時に、アミーナを国外追放とする。」
それは突然の話だった。最近やけに私に対して冷たくなったと思えばそういうことだったのね。
ガストリー王子は昔はやけに私に熱心だったし、私もその気持ちに答えようとしていた。
でも、最近の王子は本当に私に興味がない。しかも私の知らない、私よりもっと美しい年下の子と仲がいいという話を一瞬耳にしたことがある。
こういう理由で婚約破棄される場合、後々の問題を避けるためにも元婚約者は国外追放されることが多いのだ。
「いえ、ですから私は宝石などを……」
王子に能無しと言われる筋合いは無いように思うの。確かに王子は剣技がとても優秀だって聞きますけど、私は、この国で一番初めに宝石を錬成したの。
昔はそれを王子にしっかりと評価してもらえてたと思う。王子自身、私がきっかけでここまで宝石を好きになったのだと思う。
でも、そういえば最近、直接私に頼まないで、宝石商から買うようになった気がする。
「ふん。こんなもの王宮の錬金術師やら街の優秀な奴らならいくらでも作れるさ。」
ああ、そういうことなのね。
「そうですか。では、さようなら」
私は、私を愛してくれる人が好きだったみたい。王子から興味を持たれなくなってしまった時点で、私の恋も冷めきった。
失恋したら泣く友達もたくさんいたけど、私はそんなにでもない……かな。
多分大した恋でも無かったのでしょう。
私は彼に背を向けてスタスタと去っていった。
婚約破棄の手続きとかすご~~~くめんどくさそうだけど、彼ならまあ自分で全部やるでしょう。
私は……もうこの国にいても面白いことがないかな。
そう思ったから、すぐに行動を起こすことにした。
そう、実は私、公爵家の娘でもあるのだけど、同時に宝石商の幹部でもあったりして。
でもって、自分の作った宝石の売り先を決める権利は全部自分にあったりして。
しかも、この国の中の宝石を錬成する錬金術師たちは、全員私が直々に錬成方法を教えた人たちなのよね。
「さあ、来月からはこんな税金の高い小国に宝石を卸すのはやめて、隣の大国に売り捌いていくわよ!!」
「ほら、君にはこのサファイヤのネックレスが似合うと思ってね。」
「まあ! 素敵! さすがガストリー様! いつも美しい品をくださいますのね!」
「ははは! そうだろうそうだろう、この国は他の国よりも多く美しい宝石が手に入るのだ。ははははは!」
「王子様、それはどうしてですの?」
「ええと……多分、優秀な錬金術師がおおいからだ!」
このとき王子は、翌月からいつも慢している美しい宝石が市場から消え去るなどとは夢にも思わなかった。
それは突然の話だった。最近やけに私に対して冷たくなったと思えばそういうことだったのね。
ガストリー王子は昔はやけに私に熱心だったし、私もその気持ちに答えようとしていた。
でも、最近の王子は本当に私に興味がない。しかも私の知らない、私よりもっと美しい年下の子と仲がいいという話を一瞬耳にしたことがある。
こういう理由で婚約破棄される場合、後々の問題を避けるためにも元婚約者は国外追放されることが多いのだ。
「いえ、ですから私は宝石などを……」
王子に能無しと言われる筋合いは無いように思うの。確かに王子は剣技がとても優秀だって聞きますけど、私は、この国で一番初めに宝石を錬成したの。
昔はそれを王子にしっかりと評価してもらえてたと思う。王子自身、私がきっかけでここまで宝石を好きになったのだと思う。
でも、そういえば最近、直接私に頼まないで、宝石商から買うようになった気がする。
「ふん。こんなもの王宮の錬金術師やら街の優秀な奴らならいくらでも作れるさ。」
ああ、そういうことなのね。
「そうですか。では、さようなら」
私は、私を愛してくれる人が好きだったみたい。王子から興味を持たれなくなってしまった時点で、私の恋も冷めきった。
失恋したら泣く友達もたくさんいたけど、私はそんなにでもない……かな。
多分大した恋でも無かったのでしょう。
私は彼に背を向けてスタスタと去っていった。
婚約破棄の手続きとかすご~~~くめんどくさそうだけど、彼ならまあ自分で全部やるでしょう。
私は……もうこの国にいても面白いことがないかな。
そう思ったから、すぐに行動を起こすことにした。
そう、実は私、公爵家の娘でもあるのだけど、同時に宝石商の幹部でもあったりして。
でもって、自分の作った宝石の売り先を決める権利は全部自分にあったりして。
しかも、この国の中の宝石を錬成する錬金術師たちは、全員私が直々に錬成方法を教えた人たちなのよね。
「さあ、来月からはこんな税金の高い小国に宝石を卸すのはやめて、隣の大国に売り捌いていくわよ!!」
「ほら、君にはこのサファイヤのネックレスが似合うと思ってね。」
「まあ! 素敵! さすがガストリー様! いつも美しい品をくださいますのね!」
「ははは! そうだろうそうだろう、この国は他の国よりも多く美しい宝石が手に入るのだ。ははははは!」
「王子様、それはどうしてですの?」
「ええと……多分、優秀な錬金術師がおおいからだ!」
このとき王子は、翌月からいつも慢している美しい宝石が市場から消え去るなどとは夢にも思わなかった。
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