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【VerΑ編第3章〜大竜星祭】
65話「砲撃の嵐」
しおりを挟む「みんな回避優先にゃん! 直撃喰らって耐えられるのはラノアぐらいにゃん!」
「私も無理!」
ユーナちゃんのからの通信で、私達は戦闘を一時中断、空から降ってくるであろう爆弾に備えた。
私達が戦っている場所を囲むように浮かぶ空中戦艦が狙いをこちらへと向けているのが分かる。お腹に響く、花火の打ち上げ音のような音が連続で響く。
「おいおい、いくらなんでもやりすぎじゃねえか?」
陰猫さんが言うとおりで、私は黒い物体が見えただけでも7~9個がこちらに撃たれたのを見えた。
「さすがに一旦退避です」
そう言いながら、私へと薙ぎ払った大剣をペン王ちゃんが戻しつつバックステップ。私も注意を前に向けながらも後ろへと下がる。
ユーナちゃんがここぞとばかりにダーツをスキルでばら撒いている。
私達が戦っていた円形広場の中央に爆弾が降り注いだ。
爆炎と土煙が連続で上がる。一部、ユーナちゃんがいた場所にも落ちたようだが、それを読んで彼女も避けたようだ。
「煙に紛れてまたあいつら来るにゃん! 砲撃は一定時間毎に撃ってくるから、その間に倒しきるにゃん!」
「時間かけたらそれだけあの砲撃に当たる可能性高くなるし、速攻で倒すで!」
「了解した」
「あと、忘れたらダメにゃん。これはチーム戦にゃん!」
私達が再び、中央付近で激突した。蔵人さんの刀を陰猫さんが受け止め、つなかんさんの槍をミリーが躱す。
そして私は。
「どきやがれです! お前の相手は隊長です!」
ユーナちゃんへと攻撃を仕掛けようとするペン王ちゃんへと斧槍を振った。
「行かせないよ」
金属音と火花が散り、ペン王ちゃんの大剣が私の斧槍を防ぐ。お互いに身体より大きい武器を振り回しているせいで、相手の身体に攻撃を当てるのが難しく中々ダメージを与えられない。
合間合間でユーナちゃんが援護射撃をしてくれるが、それも察知して躱す。
んーこれまでのプレイヤーより遙かに強い。
「ペンの! 邪魔を! するなです! 【氷連斬“南極”】!」
しびれを切らしたペン王ちゃんが赤く発光しながら、大剣による連撃を叩き込んできた。その剣先には小さな氷の粒を纏っており、斧槍でガードするも、その上からHPが削られていく。
「喰らいやがれです!【氷連斬“北極”】」
っ! スキル終わりの隙に攻撃しようとした瞬間にペン王ちゃんが再び赤く発光。
嘘、スキルの連続使用って出来るの!?
先ほどの違うモーションの連撃。同じように氷を纏っているせいで、ダメージを防げない!
何とか最後まで受け切れたものの、ダメージが結構痛い。
「ラノア、一旦退避して回復にゃん!」
そう言って、ユーナちゃんが飛び出してきた。
それと交代するように後ろに下がった私は素早くポーションを飲む。
その間に、ユーナちゃんがダーツを連射しながら、ペン王ちゃんの大剣を避けている。
ダメージは相変わらず微量だが、デバフが鬱陶しいらしく、ペン王ちゃんの苛立ちが見えた。
回復したのを確認すると、私は再びそこへと飛び込んだ。
「ありがと!」
短くそう言って、ペン王ちゃんの大剣を斧槍で弾く。
「やっぱり近距離は疲れるにゃん。そろそろ砲撃が来るから注意にゃん」
ユーナちゃんが後退しながら、別方向へとダーツを撃つ。
「ああもう! めんどくさいです!」
「あはは、そう簡単には負けないよ?」
デバフがもりもり入ったペン王ちゃんの動きが鈍くなる。素早さダウンのデバフを喰らっているせいだ。
私はその隙を見逃さず、斧槍による突きでちまちま削っていく。
こうすればきっと、彼女は苛立って……。
「どうしたの? さっきの連撃使いまくれば勝てると思うよ?」
「かっちーん! 黙りやがれです! だったら見せてやるですよ!」
「今度は受けきって見せるよ!」
そう言って防御の構えをする私に向かってペン王ちゃんがスキルを発動。
私は空で響く砲撃音を聞いて、大きくバックステップ。
「っ! 逃げるな!」
スキルモーション中は、動けない。
「砲撃、喰らわないといいね」
私は全力で後退。最初から受ける気なんてこれっぽっちもない。
空から——爆弾が降ってくる。
「しまっ——」
ペン王ちゃんの連撃スキルは本当に強い。
どうやってるかは分からないけど、スキルの連続使用も出来るし。
だけどあのスキルはモーションが長い。
ペン王ちゃんはスキルのモーションとスキルが終わってからの隙で、退避が遅れた。しかも何とか身体が動かそうとしても、素早さダウンのデバフのせいで普段よりも遅い。
なので、
後退しきれなかったペン王ちゃんに、爆弾が降り注いだ。
爆発と土煙の中でもHPゲージだけは鮮明に見えており、それが完全に削れて消えたのが確認出来た。
「ナイスにゃん! ラノアは意外と頭脳派にゃん!」
「意外って言うな! さてと……あの子を倒したからミリーか蔵人さんに加勢して……」
私はそう言いながらも、あの2人には目線を向けず、まっすぐ、向こう側にいるであろう相手を見つめていた。
「アキコ……アキコアキコアキコ……ようやく貴女と戦える……大丈夫かな? すぐに死なないかな? 壊れないよね?」
そうブツブツと呟きながら、悠然とこちらへと歩いてくる偽アキコ。
「じゃ、行ってくる」
「援護は任せろにゃん」
「私はいいよ。それよりもミリーと蔵人さんを助けてあげて」
「……了解にゃん。ご武運を」
「ユーナちゃんありがとね」
私は斧槍を構え直し、走る。
絶対に負けられない戦いが始まる。
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