上 下
30 / 73
【VerΑ編第2章〜古竜の寝所】

30話「蒸機の律動」

しおりを挟む


「えいやあ!」

 私の振り回すハンマーで機械トカゲが潰れる。見れば先ほどと比べものにならない速度でミリーと蔵人もトカゲを処理していく。

「よっし、まともに戦えるけど、これ明らかにあたしらレベル足りてへんよな!?」
「レベルが鬼のように上がっていくな」
「なんとか倒せてるね~」

 一通り処理しおえたところで、通路の壁から生えている結晶に私はピッケルを振った。

『【熱エネルギーコアの破片】を入手』

 おお! なんだろこれ!

「ラノア……気持ちわかるけど、バフ切れないうちにボス倒さないとあかんのよ」
「ちょっとだけ~」

 だって、明らかにレアそうな素材取れそうだよ!?

「……蔵人、頼んだ」
「まじか……すまんな」

 ミリーに言われて、蔵人さんがピッケルを振ろうとする私を持ち上げた。そして小脇に抱えるように私を持つと走り出した。

「あと一回だけでいいからあああああ」

 ああ、レア素材ちゃん……。

「わかった! 走るから! 下ろしてええ!」

 私がジタバタもがくと、蔵人さんが、黙って目線をミリーへと送る。ミリーが無言で頷く。

「とにかく急ごう。この道が間違っている可能性もある」

 そう言いながら蔵人さんが下ろしてくれた。
 正直あんな風に抱かれるのは恥ずかしいです!

 私は渋々通り過ぎていく採取ポイントを横目に走る。

 途中で遭遇した敵を倒しながら(段々敵のバリエーションは増えてきた)、
 30分ほど進むと、段々と通路の様子が変わっていった。
 なんだか人工感が増して来ている気がする。

「んー近付いてそうやなあ」

 ミリーがそう呟きながら上を見ていた。天井には無数のパイプが走っており、ところどころから蒸気が漏れだしている。

「なんで分かるの? 初めてでしょ? ここ来るの」

 私は迷い無く進むミリーに問いかけた。

「天井のパイプな、色んな分かれ道で同じように分かれているんやけど——そのパイプが来てる先をたどればボスや」

 分かれ道にきたら、天井のパイプの数を見る。パイプの本数が多い方が、パイプの元だからボスの方だとミリーは言う。

「根拠はないで? ただのゲーマーの勘。でも——ほら、ビンゴ」

 通路の先。そこは少し広い部屋になっており、奥に、大きな扉が見えた。歯車やらパイプやらで構成されたその扉から無数のパイプが伸びており、それが今来た通路の先へと伸びていたのだ。

「そして、

 ミリーの視線の先、扉の両側には一体ずつ像があった。

 一体は、擬人化したような直立する虎の像。巨大な斧を思っているが、全体的に歯車やらパイプが無数に付いた鎧を着ており、ロボットのような見た目だ。

 もう片方も二足歩行している犬のような見た目だ。こちらは巨大な剣を持っており、同じようにメカメカしい鎧を着ている。

「ええっと、あれはやっぱり……」

 私達が部屋に入った瞬間、二体の目に赤い光が宿り、駆動音と蒸気が噴き出す音が鳴る。

「動くよね!」

 それぞれに名前とHPゲージが表示された。

 虎の方は【フロントゲートガーディアン】
 犬の方は【バックゲートガーディアン】

「前門の虎後門の狼……か」
「あー犬じゃなくてオオカミか」
「無駄なダメージを喰らわないように、ミリーと俺は回避主体でいくぞ」
「わかってる!」

 そして私達の長い戦いが始まった。

☆☆☆
 
【アキコ厨は】前々前世オンライン【別スレ】 Part762

110 名前:前世は負け犬
おい、鉱山ウォッチしてたら何やら騒がしいぞ
これ、まさかアキコ虫共突破された?

111 名前:前世は負け犬
チャンス到来?
ちょっとフレ集めて凸るわ

112名前:前世は負け犬
俺暴王でスパイやってるけど
さっきダンジョン内で全滅したわ
幹部連中来てないせいもあるけど、あの3人えぐい

113 名前:前世は負け犬
>>112
kwsk

114 名前:前世は負け犬
>>113
やたら強い武士ロールプレイ野郎に中盤まで突破されるも撃退

そいつが2人の仲間連れて再凸

ミスリル以上の装備になぜか変わってる上にPS高いから俺らフルボッコ

採掘場取られた

115 名前:前世は負け犬
どこの群体?

116 名前:前世は負け犬
知らん。少なくとも全員群体に所属してなかった
武士が蔵人ってプレイヤーで
連れてきた2人がミリーとラノアってプレイヤー

全員がばちくそ強い、硬い、速い
あとミリーとラノアがめちゃくちゃ可愛い

117 名前:神聖猫姫天使@前世やってます
凄いにゃん! 3人で制圧するとかつよつよにゃん!
これは……次のイベントちょっと分からなくなってきたぞ?

118 名前:前世は負け犬
そこの群体、人募集しねえかなあ
俺ぜってーそっち入るわ

119 名前:前世は負け犬
暴王も悪くないんだけどなあ……
…………

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スタートレック クロノ・コルセアーズ

阿部敏丈
SF
第一次ボーグ侵攻、ウルフ359の戦いの直前、アルベルト・フォン・ハイゼンベルク中佐率いるクロノ・コルセアーズはハンソン提督に秘密任務を与えられる。 スタートレックの二次作品です。 今でも新作が続いている歴史の深いSFシリーズですが、自分の好きなキャラクターを使わせて頂いています。

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

攻撃と確率にステ振りしていたら最強になりました

りっくり
SF
〜あらすじ〜 ゲーム知識ゼロの日比谷悠斗(ヒビト)が友達の成瀬友哉(トモ)に誘われて、ゲーム《グレイド・リヴァー・オンライン》を始めることになったのだが、トモはお母さんの機嫌が悪いから今日はプレイできないと言い出します。 ヒビトは仕方なく一人でゲームをすると決心し、下調べをせずゲームプレイを行います。 ゲームを始めてすぐにヒビトは美人プレイヤー月城玲奈(ツキナ)に最初に出会い、いろいろな情報を教えてもらいながらプレイをすることになります。そしてツキナはヒビトを見たときから一目ぼれをしてしまったみたいで、リアル情報を教えて欲しいという無理なお願いを了承してくれます。 リアル情報をお互いに交換して、親睦を深めた二人はフィールドに行きレベ上げを行うことに……。

アルゲートオンライン~侍が参る異世界道中~

桐野 紡
SF
高校生の稜威高志(いづ・たかし)は、気づくとプレイしていたVRMMO、アルゲートオンラインに似た世界に飛ばされていた。彼が遊んでいたジョブ、侍の格好をして。異世界で生きることに決めた主人公が家族になったエルフ、ペットの狼、女剣士と冒険したり、現代知識による発明をしながら、異世界を放浪するお話です。

春空VRオンライン ~島から出ない採取生産職ののんびり体験記~

滝川 海老郎
SF
新作のフルダイブVRMMOが発売になる。 最初の舞台は「チュートリ島」という小島で正式リリースまではこの島で過ごすことになっていた。 島で釣りをしたり、スライム狩りをしたり、探険したり、干物のアルバイトをしたり、宝探しトレジャーハントをしたり、のんびり、のほほんと、過ごしていく。

迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~

飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。 彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。 独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。 この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。 ※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

VRMMOを引退してソロゲーでスローライフ ~仲良くなった別ゲーのNPCが押しかけてくる~

オクトパスボールマン
SF
とある社会人の男性、児玉 光太郎。 彼は「Fantasy World Online」というVRMMOのゲームを他のプレイヤーの様々な嫌がらせをきっかけに引退。 新しくオフラインのゲーム「のんびり牧場ファンタジー」をはじめる。 「のんびり牧場ファンタジー」のコンセプトは、魔法やモンスターがいるがファンタジー世界で スローライフをおくる。魔王や勇者、戦争など物騒なことは無縁な世界で自由気ままに生活しよう! 「次こそはのんびり自由にゲームをするぞ!」 そうしてゲームを始めた主人公は畑作業、釣り、もふもふとの交流など自由気ままに好きなことをして過ごす。 一方、とあるVRMMOでは様々な事件が発生するようになっていた。 主人公と関わりのあったNPCの暗躍によって。 ※ゲームの世界よりスローライフが主軸となっています。 ※是非感想いただけると幸いです。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

起動兵器レイラ~永遠に君を愛する者~

桐夜 白
SF
不老不死として長い時を生きる「きさらぎ あさきゆめみし」は、街を歩いているとトップVSingerというジウの放送と出会う。 そしてVSingerというのに憧れを抱き、自身も新人VSingerになる。 それは不老不死として世界の破滅を幾度も見て来たきさらぎあさきゆめみしにとって、心からやりたいと想えるものだった。 しかしジウと出会い、ジウに誘われて所属した事務所は実は裏の面があり? 起動兵器「レイラ」通称Lナンバー機体に乗り、きさらぎは世界を護る為に「鬼」と戦うことになる。 しかしきさらぎ自身も、言えない秘密「鬼」と繋がりがあった。 世界を巻き込んで、歌に憧れて入った世界で予想もしていなかった方向へ運命は廻り出す。 ソノ先で出会った存在は──

処理中です...