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【VerΑ編第2章〜古竜の寝所】
30話「蒸機の律動」
しおりを挟む「えいやあ!」
私の振り回すハンマーで機械トカゲが潰れる。見れば先ほどと比べものにならない速度でミリーと蔵人もトカゲを処理していく。
「よっし、まともに戦えるけど、これ明らかにあたしらレベル足りてへんよな!?」
「レベルが鬼のように上がっていくな」
「なんとか倒せてるね~」
一通り処理しおえたところで、通路の壁から生えている結晶に私はピッケルを振った。
『【熱エネルギーコアの破片】を入手』
おお! なんだろこれ!
「ラノア……気持ちわかるけど、バフ切れないうちにボス倒さないとあかんのよ」
「ちょっとだけ~」
だって、明らかにレアそうな素材取れそうだよ!?
「……蔵人、頼んだ」
「まじか……すまんな」
ミリーに言われて、蔵人さんがピッケルを振ろうとする私を持ち上げた。そして小脇に抱えるように私を持つと走り出した。
「あと一回だけでいいからあああああ」
ああ、レア素材ちゃん……。
「わかった! 走るから! 下ろしてええ!」
私がジタバタもがくと、蔵人さんが、黙って目線をミリーへと送る。ミリーが無言で頷く。
「とにかく急ごう。この道が間違っている可能性もある」
そう言いながら蔵人さんが下ろしてくれた。
正直あんな風に抱かれるのは恥ずかしいです!
私は渋々通り過ぎていく採取ポイントを横目に走る。
途中で遭遇した敵を倒しながら(段々敵のバリエーションは増えてきた)、
30分ほど進むと、段々と通路の様子が変わっていった。
なんだか人工感が増して来ている気がする。
「んー近付いてそうやなあ」
ミリーがそう呟きながら上を見ていた。天井には無数のパイプが走っており、ところどころから蒸気が漏れだしている。
「なんで分かるの? 初めてでしょ? ここ来るの」
私は迷い無く進むミリーに問いかけた。
「天井のパイプな、色んな分かれ道で同じように分かれているんやけど——そのパイプが来てる先をたどればボスや」
分かれ道にきたら、天井のパイプの数を見る。パイプの本数が多い方が、パイプの元だからボスの方だとミリーは言う。
「根拠はないで? ただのゲーマーの勘。でも——ほら、ビンゴ」
通路の先。そこは少し広い部屋になっており、奥に、大きな扉が見えた。歯車やらパイプやらで構成されたその扉から無数のパイプが伸びており、それが今来た通路の先へと伸びていたのだ。
「そして、すんなりとは通してくれないのな』
ミリーの視線の先、扉の両側には一体ずつ像があった。
一体は、擬人化したような直立する虎の像。巨大な斧を思っているが、全体的に歯車やらパイプが無数に付いた鎧を着ており、ロボットのような見た目だ。
もう片方も二足歩行している犬のような見た目だ。こちらは巨大な剣を持っており、同じようにメカメカしい鎧を着ている。
「ええっと、あれはやっぱり……」
私達が部屋に入った瞬間、二体の目に赤い光が宿り、駆動音と蒸気が噴き出す音が鳴る。
「動くよね!」
それぞれに名前とHPゲージが表示された。
虎の方は【フロントゲートガーディアン】
犬の方は【バックゲートガーディアン】
「前門の虎後門の狼……か」
「あー犬じゃなくてオオカミか」
「無駄なダメージを喰らわないように、ミリーと俺は回避主体でいくぞ」
「わかってる!」
そして私達の長い戦いが始まった。
☆☆☆
【アキコ厨は】前々前世オンライン【別スレ】 Part762
110 名前:前世は負け犬
おい、鉱山ウォッチしてたら何やら騒がしいぞ
これ、まさかアキコ虫共突破された?
111 名前:前世は負け犬
チャンス到来?
ちょっとフレ集めて凸るわ
112名前:前世は負け犬
俺暴王でスパイやってるけど
さっきダンジョン内で全滅したわ
幹部連中来てないせいもあるけど、あの3人えぐい
113 名前:前世は負け犬
>>112
kwsk
114 名前:前世は負け犬
>>113
やたら強い武士ロールプレイ野郎に中盤まで突破されるも撃退
↓
そいつが2人の仲間連れて再凸
↓
ミスリル以上の装備になぜか変わってる上にPS高いから俺らフルボッコ
↓
採掘場取られた
115 名前:前世は負け犬
どこの群体?
116 名前:前世は負け犬
知らん。少なくとも全員群体に所属してなかった
武士が蔵人ってプレイヤーで
連れてきた2人がミリーとラノアってプレイヤー
全員がばちくそ強い、硬い、速い
あとミリーとラノアがめちゃくちゃ可愛い
117 名前:神聖猫姫天使@前世やってます
凄いにゃん! 3人で制圧するとかつよつよにゃん!
これは……次のイベントちょっと分からなくなってきたぞ?
118 名前:前世は負け犬
そこの群体、人募集しねえかなあ
俺ぜってーそっち入るわ
119 名前:前世は負け犬
暴王も悪くないんだけどなあ……
…………
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