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12話:騎士団が攻めてきた

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「ご無事でしたか! ですが大変です!!」

 二人が戻った途端、村長が血相を変えて近付いてきた。

「どうしましたか? 狩人達は無事です。神殿も扉を壊されましたが中は無事ですし、ミネルヴァ神に祈りを捧げ加護を付与していただきました。祈りを捧げる限り、あそこが破壊される事はありません」
「な、なんとありがたい……しかし村の近くに帝国騎士団が!」
「騎士団? カリスト君が追い払った奴らかな?」
「だけでは……ないようだ」

 ミネルヴァが神眼で見ると、村の向こうにある草原の丘に、何十人という数の騎士達が整列している。中には騎乗して銃を携えている騎士もいた。更に大砲まで用意されている。

 ミネルヴァはエミーリアの手を握り、その視界を共有した。

「うわーいっぱいいますね。騎兵までいますよ。うわー大砲まであるし」

 そんな二人に老人が力無い声で告げた。

「先ほど……右腕のない騎士がやってきて、聖女が来たかどうか尋ねられたので嘘を付いたのですが……森から現れた他の騎士達がこの村と森は危険だと言いまして……それを聞いたその隻腕の騎士は、村を燃やすと一方的に宣言されました……」
「隻腕の騎士……あいつか」

 ミネルヴァは自分があの廃教会で斬った騎士の事を思い出した。

「むむむ……もしかしなくてもあたし達のせい?」
「かもしれないな……」
「……もうこの村は終わりです……」

 村長が膝から崩れ落ちそうになったところを、ミネルヴァ達が助けた狩人の一人が支えた。

「村長、大丈夫ですよ! 我々にはミネルヴァ様が付いている! ミネルヴァ様は都市守護の神です! きっとこの村もお守りしてくださるはずです。ですよね!」
「……そうだな。奴らの横暴さには私も些か許しがたい部分はあると思っていた――ではまずは加護を与えよう」

 ミネルヴァは広場にある、アーミスの倒された像に触れると、神殿の時と同じように村を祝福した。
 するとなぜかアーミスの像がひとりでに修復されていき、元通りの姿になっていた。しかし、なぜか長かった髪は短くなり、今のミネルヴァと同じような姿の像になっている。

 つまりそれはミネルヴァの像に変わっていたのだ。

「おお……!  やはり貴女様は……ミネルヴァ神そのものでしたか……ありがたや……」
「あ、ああ」

 なんで像が自分の姿になったのかは分からないが、なんか自分でやったみたいで妙に恥ずかしいミネルヴァだった。そんな様子をエミーリアはにやにやと見つめていると、村の外に偵察に行っていた狩人達が帰ってきた。

「村長、騎士達が攻めてきました! 俺らは弓で対抗します!」
「向こうは銃を持っておる。弓では敵うまい」
「いや、村長、それが不思議なんだが……なぜかやれる気がするんだ!」

 狩人達はなぜか興奮していた。エミーリアは彼らを神眼で覗くと微かに光っているように見えた

「あれは……アーミス様の加護が付与されている? でもなぜかミネルヴァ様の力を感じます」
「……もしかしたら混ざったのかもしれんな。私の力にアーミスの力が混ざり、私の加護にアーミスの加護も付いてくるようになった……のかもしれない」

 ミネルヴァもなぜそうなったのか良く分からなかった。アーミスの弓を取り込んだせいで、アーミスの神性をも取り込んだのかもしれない。

「村長、やりましょう! あいつらを追い払いましょう!!」
「ミネルヴァ様の加護があれば……やれるやもしれぬ……ええい、儂もやるぞ!」

 そういって村長は杖を投げ捨てて、自宅へと走っていった。

「……ミネルヴァ様の加護って老人を元気にするの……?」
「いや……だが、かのご老公はおそらく元々戦士だったのだろう。であれば私の加護の影響を強く受けている……のかもしれない……」
「行くぞお前ら!! クソ騎士共に矢の雨を降らせてやれ! 我らにはミネルヴァ様が付いているぞ!! おおお!!」
「うおおおおお!!」

 なぜか村人達までもが血気盛んに弓やボーガンを手にして、騎士達が攻めてきている草原の方へと駆け出した。

「えっと……」
「……私達も行こう」
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