ミネルヴァの純潔 ~【処女神】だけど下界に追放されたので、【男装の麗人】として【聖女】と旅する事にした~

虎戸リア

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11話:ミネルヴァの加護

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「確かに……ここの神力を使えば可能だが……これはアーミスへの信仰があったからこそで、それを私が使うのは……」
「アーミス様はもう下界を見ていらっしゃらないのでしょ? であれば使っても良いじゃないですか」
「それはまあ……」
「ミネルヴァ様は都市守護の神ですよね? であれば加護でここと村を守る事が可能なのでは? そうすれば今日みたいに帝国軍が再び来て壊される事は無いはずです」

 エミーリアの言葉に狩人達が賛同した。

「俺達の命を、神殿を救ってくれた貴女には感謝している。加護を授けてくださるというのなら……俺達はあんたに祈りを捧げるよ」
「ですって。さあ、ミネルヴァ様、やりましょう!」
「……ふう。そうだな。もう天界とは縁を切った。ならば私は私が出来る範囲で人を救おう。神ではなく、エミーリアの護衛としてね」

 ミネルヴァは笑みを浮かべると、祭壇にあったアーミスの弓を手に取った。

「――“我が名はミネルヴァ。戦と都市守護を司る神である。我が名を持って、この地とそこに生ける人々に祝福を授けよう”」

 ミネルヴァがそう言ってアーミスの弓とこの神殿に込められた神力を使い、力を解放する。

 ミネルヴァの身体をはふわりと浮き、身体を鎧が覆っていく。手に持つのは槍と盾。

「おお……なんと神々しい御姿……」

 狩人達は、エミーリアが祈りを捧げている姿を見て、皆が床に膝を付き、同じように祈りを捧げた。

「“我が盾により、この地を守りたまえ――【戦神断盾ポリウーコス】」

 ミネルヴァが詠唱を終え、盾を掲げると、まばゆい光が放たれた。

 エミーリアは空気が清浄化し、この辺り一帯が一種の聖域になった事を肌を感じる。
 神の御業を初めて目の当たりにしたエミーリアは感動で涙を流した。

 光が収まり、床へと音も無く着地したミネルヴァの姿も元に戻っていた。弓は砕け散ったが、その力はミネルヴァの中に取り込まれただけだ。

「これで、この神殿は私の加護が授けられた。君達は祈りを捧げる限り、この神殿は私の盾であり続ける」
「ありがとうございます……! ミネルヴァ様……ありがとうございます!」
「ミネルヴァ様……とても素晴らしかったです……あたし……感動しました」
「ん? ああ……なんだか恥ずかしいな……」

 照れるミネルヴァにエミーリアが抱き付いた。

「あー照れるミネルヴァ可愛すぎ……」
「こら、離れるんだ!」
「いやですー」

 アミスラ神殿は、ミネルヴァの神殿として機能するようになった。

「さて、村に戻ろう。もしかしたら帝国騎士団が戻っているかもしれない」
「はい、ミネルヴァ様!」

 狩人達を引き連れて、二人は村へと戻った。
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