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7話:アミスラ村
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村長が地面に膝をつき頭を下げた。
「頭を上げてください。罰を与えるのは私達の仕事ではありません。帝国騎士団はもう去ったのですか?」
エミーリアが微笑みを浮かべ、地面に膝を付けると村長の肩に手を置いた。
その姿、その言葉は確かに聖女そのものだ。
見れば、村人達が広場に集まりつつあった。
「おお……流石は聖女様」
「慈悲深き御方……護衛の方すらも神々しく見えますわ」
「護衛の人、良く見れば凄い美人だぞ……拝んどこ」
村人達が口々にエミーリアとミネルヴァを褒めたたえており、ミネルヴァはなんだか気恥ずかしかった。
なんせ天界にいる時は、自分の周りには同じ立場である神々しかおらず、下界に降りるのは今回が初めてだ。こんな風に性的な目線だけでなく純粋に褒められる事に彼女は慣れていなかった。
「帝国騎士団の連中は、村の狩人を無理矢理連れてアミスラ神殿へと……」
「アミスラ神殿……最も古いアーミス教の神殿で……聖地指定されている場所のはずです」
「おそらく……破壊しに行ったのかと」
村長の声が震えていた。聖地指定とは、エミーリアが所属しているオルデン教会が定めた物だ。その土地は、宗教が力を持っていた時代から大切に保護されてきたものだ。
村長がうなだれたまま言葉を続けた。
「聖獣様が守っていらっしゃるはずですが……帝国騎士団は最新の兵器と、村の狩人を囮におそらく聖獣様すらも殺そうと……」
「……止めないと。アミスラ神殿は、神歴前期建築の結晶です。何よりあそこは……皆さんの心のよりどころだったはずです」
エミーリアの言葉に村長は縮こまった。
「それは……」
神の家たる神殿を人間自らが破壊するなど、ミネルヴァには考えられない出来事だった。如何に神々が下界を省みていなかったかが良く分かる。もし、見ていれば……こんな事にはならないはずだ。
「元々、我々はアーミス教の守り手で先祖代々この森と神殿を守ってきました……ですが、最近はアーミス様の加護も薄れ、次第に神殿から足は遠のいてしまいました。これはきっとそれを見ていたアーミス様からの罰なのです……祈らないのならもうお前達には必要ないだろうと……」
加護とは、神から祈りと信仰のたいかとして気紛れに人へと与えられる祝福だ。それぞれの神によって効果が違うが、アーミスの加護の場合は狩猟能力が向上したり、村周辺の自然が少し豊かになったりする。
村長の言葉にミネルヴァは一歩前に出て、否定した。
「それは違うぞ、村長よ。神は決して人を罰したりはしない。君達の信仰が薄れたのは加護が無くなったからだろ? それはつまり……神の怠惰ゆえの結果だ。だから、嘆く必要はない恐れる必要はない。これは、神でも何でも無くただただ人間同士の営みなだけだ。神が介在する余地はない」
「貴女様は……?」
ミネルヴァの言葉に老人が身体を震わせた。
「……ただの護衛だ」
ミネルヴァは短くそう答えると、エミーリアへと向き、手を差し出した。
「行こう、エミーリア。神殿を破壊される前に止めないと」
「ええ、行きましょうミネルヴァ。頼りにしています」
その手を取ったエミーリアの眼には、決意と覚悟が秘められているのがミネルヴァには良く分かった。
「頭を上げてください。罰を与えるのは私達の仕事ではありません。帝国騎士団はもう去ったのですか?」
エミーリアが微笑みを浮かべ、地面に膝を付けると村長の肩に手を置いた。
その姿、その言葉は確かに聖女そのものだ。
見れば、村人達が広場に集まりつつあった。
「おお……流石は聖女様」
「慈悲深き御方……護衛の方すらも神々しく見えますわ」
「護衛の人、良く見れば凄い美人だぞ……拝んどこ」
村人達が口々にエミーリアとミネルヴァを褒めたたえており、ミネルヴァはなんだか気恥ずかしかった。
なんせ天界にいる時は、自分の周りには同じ立場である神々しかおらず、下界に降りるのは今回が初めてだ。こんな風に性的な目線だけでなく純粋に褒められる事に彼女は慣れていなかった。
「帝国騎士団の連中は、村の狩人を無理矢理連れてアミスラ神殿へと……」
「アミスラ神殿……最も古いアーミス教の神殿で……聖地指定されている場所のはずです」
「おそらく……破壊しに行ったのかと」
村長の声が震えていた。聖地指定とは、エミーリアが所属しているオルデン教会が定めた物だ。その土地は、宗教が力を持っていた時代から大切に保護されてきたものだ。
村長がうなだれたまま言葉を続けた。
「聖獣様が守っていらっしゃるはずですが……帝国騎士団は最新の兵器と、村の狩人を囮におそらく聖獣様すらも殺そうと……」
「……止めないと。アミスラ神殿は、神歴前期建築の結晶です。何よりあそこは……皆さんの心のよりどころだったはずです」
エミーリアの言葉に村長は縮こまった。
「それは……」
神の家たる神殿を人間自らが破壊するなど、ミネルヴァには考えられない出来事だった。如何に神々が下界を省みていなかったかが良く分かる。もし、見ていれば……こんな事にはならないはずだ。
「元々、我々はアーミス教の守り手で先祖代々この森と神殿を守ってきました……ですが、最近はアーミス様の加護も薄れ、次第に神殿から足は遠のいてしまいました。これはきっとそれを見ていたアーミス様からの罰なのです……祈らないのならもうお前達には必要ないだろうと……」
加護とは、神から祈りと信仰のたいかとして気紛れに人へと与えられる祝福だ。それぞれの神によって効果が違うが、アーミスの加護の場合は狩猟能力が向上したり、村周辺の自然が少し豊かになったりする。
村長の言葉にミネルヴァは一歩前に出て、否定した。
「それは違うぞ、村長よ。神は決して人を罰したりはしない。君達の信仰が薄れたのは加護が無くなったからだろ? それはつまり……神の怠惰ゆえの結果だ。だから、嘆く必要はない恐れる必要はない。これは、神でも何でも無くただただ人間同士の営みなだけだ。神が介在する余地はない」
「貴女様は……?」
ミネルヴァの言葉に老人が身体を震わせた。
「……ただの護衛だ」
ミネルヴァは短くそう答えると、エミーリアへと向き、手を差し出した。
「行こう、エミーリア。神殿を破壊される前に止めないと」
「ええ、行きましょうミネルヴァ。頼りにしています」
その手を取ったエミーリアの眼には、決意と覚悟が秘められているのがミネルヴァには良く分かった。
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