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3話:ワイルド系剣士も悪くない
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私は倒れていた青年を店の中に入れ、水を飲ませると彼は目を覚ました。
「いやあ……悪ぃ悪ぃ。助かったよ、俺はレンザだ」
「いいのよレンザ! 私はビーチェでそっちのメイドはベルフェ! ところで飲み物は何にします!? あとはお悩みがあれば何でも聞きますよ!!」
レンザは何というか旅人って感じの見た目だ。ボロボロの服に革のマント。荷物は背中に背負っていた物だけで、腰にはボロボロの鞘に入った剣を差していた。少なくとも帝都民ではなさそうだ。
顔も良く見れば整ってはいるものの無精髭が生えており、お世辞にも清潔感があるとは言えない。けど、少し長めの癖のある黒髪はこの辺りではあまり見る事はなく、ワイルド感があって悪くない。
歳は私と同じか少し上ぐらいだろうか?
「ん? 飲み物か? じゃあ酒くれ」
レンザがそうぶっきらぼうに答えたので、私は冷魔庫から瓶詰めのビールを取り出した。栓を抜き、グラスと一緒に彼へと差し出した。
「お、冷えてるじゃねえか。流石は帝国だな。生活魔術がこんな店にまで行き届いているのか」
レンザは瓶ごとビールを飲むと、半分ほどを一気に飲み干して、お店の中を見渡した。グラス……使わないのね……。
「んで、何の店だここ?」
「ここはお悩み相談カフェ、【アネモネ亭】です!」
私は両手を広げ飛びっきりの笑顔を浮かべそういった。隣に渋々立っているベルフェは嫌そうな顔をしながら当たりそうになった私の腕を避けた。
「なんだそれ」
おー、私がこんだけ笑顔を浮かべているのにめちゃくちゃ反応が薄い。なんか新鮮かも!
「カフェ兼、困っている人の悩みを私がズバッと解決するお店です!」
「よく分からんな。俺は剣の事しか分からんくてな」
「何か、お困りな事はないですか? 初回サービスで無料にします!」
私の言葉に、レンザはひとしきり悩んだあとにこう言ったのだった。
「俺を――城まで連れていってくれ」
「いやあ……悪ぃ悪ぃ。助かったよ、俺はレンザだ」
「いいのよレンザ! 私はビーチェでそっちのメイドはベルフェ! ところで飲み物は何にします!? あとはお悩みがあれば何でも聞きますよ!!」
レンザは何というか旅人って感じの見た目だ。ボロボロの服に革のマント。荷物は背中に背負っていた物だけで、腰にはボロボロの鞘に入った剣を差していた。少なくとも帝都民ではなさそうだ。
顔も良く見れば整ってはいるものの無精髭が生えており、お世辞にも清潔感があるとは言えない。けど、少し長めの癖のある黒髪はこの辺りではあまり見る事はなく、ワイルド感があって悪くない。
歳は私と同じか少し上ぐらいだろうか?
「ん? 飲み物か? じゃあ酒くれ」
レンザがそうぶっきらぼうに答えたので、私は冷魔庫から瓶詰めのビールを取り出した。栓を抜き、グラスと一緒に彼へと差し出した。
「お、冷えてるじゃねえか。流石は帝国だな。生活魔術がこんな店にまで行き届いているのか」
レンザは瓶ごとビールを飲むと、半分ほどを一気に飲み干して、お店の中を見渡した。グラス……使わないのね……。
「んで、何の店だここ?」
「ここはお悩み相談カフェ、【アネモネ亭】です!」
私は両手を広げ飛びっきりの笑顔を浮かべそういった。隣に渋々立っているベルフェは嫌そうな顔をしながら当たりそうになった私の腕を避けた。
「なんだそれ」
おー、私がこんだけ笑顔を浮かべているのにめちゃくちゃ反応が薄い。なんか新鮮かも!
「カフェ兼、困っている人の悩みを私がズバッと解決するお店です!」
「よく分からんな。俺は剣の事しか分からんくてな」
「何か、お困りな事はないですか? 初回サービスで無料にします!」
私の言葉に、レンザはひとしきり悩んだあとにこう言ったのだった。
「俺を――城まで連れていってくれ」
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