3 / 4
1日目
3話「第一村人発見」
しおりを挟む
俺達はあの最初の村に戻っていた。
「で、あれ何? ミッションなんて出てなかったぜ?」
「俺が知るかよ。というか、あれかこのゲーム、レベルもないんだな」
KKポイントは少しだけ入ったが、経験値らしき物が見当たらない。
ある意味シンプルで嫌いではない。
「っぽいな。KKポイントで上がるランクぐらいか? いや、でもスライムにはレベル表記あったぜ……訳分からん」
肩をすくめるチチパイの仕草はオーク姿に妙に似合っていた。
まあクソゲーに整合性を求めても仕方ない。
「村とか人とかを襲う以前にスライムに勝てないとかどうよ。一生村から出れないぞ」
「さっきのミッションの女騎士は糞雑魚だったけど。バランス調整クソか?」
「だからクソゲーなんだろ?」
「そうでした。まあとりあえずデスペナはなかったし、スライムの行動パターン把握しようぜ!」
こうして俺達はスライムを倒すべく、凸っては死ぬを繰り返した。
ちなみにあの謎闘技場にリスポンすることはなかった。
何だったんだよあれ。
「結論から言うとだ。現時点の装備で倒すのは不可能に近い」
「賛成だぜ。物理無効に、全部の攻撃がワンパン。あれは無視して駆け抜けろって事だな」
あのニュー棍棒で遠くから攻撃しても、スライムのHPゲージは1ミリも減らなかった。
あの謎当たり判定は、見事にスライムの身体を素通りした。
近付けば、
・触手薙ぎ払い(即死)
・触手針(即死)
・粘液噴射(即死)
・コア殴り(即ry)
などなどの攻撃で死ぬ。伸ばした触手の先端にコアを乗せて殴ってきた時は、思わず笑ってしまった。それ弱点じゃねえのかよ。
スライムの出る位置の横の森に隠れて他のプレイヤーの動きを観察すると、皆スライムをスルーしていく。
たまに俺らのように挑んで、死んでいくプレイヤーもいたがそいつらは賢いのか次からはスルーしてた。
まあ強くなってから倒せばいい。そう判断して、ほとんどのプレイヤーが駆け抜けていく。
「……まあ素人ならこう考えるだろうぜ」
そうチチパイがドヤ顔しながら俺の肩を叩いた。
「流石だ相棒。そう、初期位置付近の強モンス。あとで倒せばいい。だめだだめだ、その思考の時点で既に運営の手のひらの上」
「初期装備で勝てる要素は絶対にある。そして倒したご褒美は——きっと役に立つぜ」
俺達は伊達にゲームをやりまくってない。
大概こういう強モンスは倒すと、レアアイテムや武器をドロップする。もしくは隠しイベントが始まる。
そして往々にしてそういう物は強くなってから取りに行くと、ゴミだったりする。
「さあ、見せつけてやろうぜ! 俺達の力をよ!」
こうして俺とチチパイはここから5時間、スライム攻略に費やしたのだった。
☆☆☆
「倒せねえじゃねえか!!!」
「何が初期装備で倒せるだ! 全然無理だろ!!」
倒せませんでした。
「火を使うは、良い感じだったんだがなあ……」
「まさかそこから10匹に分身するとは……流石に俺も予想してなかったぜ」
ちなみに、分裂してもあの鬼攻撃力は変わらず、なんならスライムが道を占領し、通り抜けできなくて他のプレイヤーが死にまくった。
割とまじですまないと思ってる。
「どうするよ。とりあえず森を通ってスルーするか?」
「だなあ……これ以上やってスライム増えたら流石に他の奴等に迷惑だぜ」
結局俺らはくそほど時間を無駄にして、ようやく最初の村から離れたのだった。
森の中もビクビクして進んだが、幸い出てくる魔物は、普通に殴って殺せた。
「殴って殺せるって素晴らしいな。神フィールドかよ」
「あとニュー棍棒強すぎて笑う」
そう。ニュー棍棒。あれの謎当たり判定、オブジェクトを無視する事に気付いたのだ。
木の幹やら岩やらなんやらを全て貫通するのだ。ちょっと強い魔物も、木の裏から殴ればノーダメで倒せる。
こうして俺らは魔物を適度に狩りつつ森を抜けた。魔物を倒すと得られるドロップ品——装備用の素材は拾わずとも、勝手にインベントリに入るので便利である。
「見ろ!! 人間の村だ!!」
森を抜けた先には、牧草地が広がっており、その奥にしょぼい木の柵で囲われた小さな村があった。
村の入口付近に風車があり、横に流れる小川沿いには水車が回っている。牧歌的と言ってもいいし、のどかとも言える。
「ひゃっはあああ!! このニュー棍棒が有れば余裕だぜ!!!」
「どうするよ?」
「は? 真正面から突破以外あんの?」
「ねえな」
俺らはにやけながら、棍棒を振り上げて村へとダッシュ。
途中に、可愛らしい少女がいたが、きゃーとか叫びながら村へと逃げていく。
「オークよ! オークが来たわ! 総員——第一種戦闘配置」
ん? 今なんかあの少女が言ったような。
「げへへへへへ全員ぶっ殺してや——」
タッーン、という音と共に、チチパイの頭部に穴が空いた。
「あれ、これ、なんかデジャ——」
俺が言葉を言い終わる前に、目の前に飛んできた手榴弾が爆発した。
……。死因は『村人により爆死』、だそうです。
「で、あれ何? ミッションなんて出てなかったぜ?」
「俺が知るかよ。というか、あれかこのゲーム、レベルもないんだな」
KKポイントは少しだけ入ったが、経験値らしき物が見当たらない。
ある意味シンプルで嫌いではない。
「っぽいな。KKポイントで上がるランクぐらいか? いや、でもスライムにはレベル表記あったぜ……訳分からん」
肩をすくめるチチパイの仕草はオーク姿に妙に似合っていた。
まあクソゲーに整合性を求めても仕方ない。
「村とか人とかを襲う以前にスライムに勝てないとかどうよ。一生村から出れないぞ」
「さっきのミッションの女騎士は糞雑魚だったけど。バランス調整クソか?」
「だからクソゲーなんだろ?」
「そうでした。まあとりあえずデスペナはなかったし、スライムの行動パターン把握しようぜ!」
こうして俺達はスライムを倒すべく、凸っては死ぬを繰り返した。
ちなみにあの謎闘技場にリスポンすることはなかった。
何だったんだよあれ。
「結論から言うとだ。現時点の装備で倒すのは不可能に近い」
「賛成だぜ。物理無効に、全部の攻撃がワンパン。あれは無視して駆け抜けろって事だな」
あのニュー棍棒で遠くから攻撃しても、スライムのHPゲージは1ミリも減らなかった。
あの謎当たり判定は、見事にスライムの身体を素通りした。
近付けば、
・触手薙ぎ払い(即死)
・触手針(即死)
・粘液噴射(即死)
・コア殴り(即ry)
などなどの攻撃で死ぬ。伸ばした触手の先端にコアを乗せて殴ってきた時は、思わず笑ってしまった。それ弱点じゃねえのかよ。
スライムの出る位置の横の森に隠れて他のプレイヤーの動きを観察すると、皆スライムをスルーしていく。
たまに俺らのように挑んで、死んでいくプレイヤーもいたがそいつらは賢いのか次からはスルーしてた。
まあ強くなってから倒せばいい。そう判断して、ほとんどのプレイヤーが駆け抜けていく。
「……まあ素人ならこう考えるだろうぜ」
そうチチパイがドヤ顔しながら俺の肩を叩いた。
「流石だ相棒。そう、初期位置付近の強モンス。あとで倒せばいい。だめだだめだ、その思考の時点で既に運営の手のひらの上」
「初期装備で勝てる要素は絶対にある。そして倒したご褒美は——きっと役に立つぜ」
俺達は伊達にゲームをやりまくってない。
大概こういう強モンスは倒すと、レアアイテムや武器をドロップする。もしくは隠しイベントが始まる。
そして往々にしてそういう物は強くなってから取りに行くと、ゴミだったりする。
「さあ、見せつけてやろうぜ! 俺達の力をよ!」
こうして俺とチチパイはここから5時間、スライム攻略に費やしたのだった。
☆☆☆
「倒せねえじゃねえか!!!」
「何が初期装備で倒せるだ! 全然無理だろ!!」
倒せませんでした。
「火を使うは、良い感じだったんだがなあ……」
「まさかそこから10匹に分身するとは……流石に俺も予想してなかったぜ」
ちなみに、分裂してもあの鬼攻撃力は変わらず、なんならスライムが道を占領し、通り抜けできなくて他のプレイヤーが死にまくった。
割とまじですまないと思ってる。
「どうするよ。とりあえず森を通ってスルーするか?」
「だなあ……これ以上やってスライム増えたら流石に他の奴等に迷惑だぜ」
結局俺らはくそほど時間を無駄にして、ようやく最初の村から離れたのだった。
森の中もビクビクして進んだが、幸い出てくる魔物は、普通に殴って殺せた。
「殴って殺せるって素晴らしいな。神フィールドかよ」
「あとニュー棍棒強すぎて笑う」
そう。ニュー棍棒。あれの謎当たり判定、オブジェクトを無視する事に気付いたのだ。
木の幹やら岩やらなんやらを全て貫通するのだ。ちょっと強い魔物も、木の裏から殴ればノーダメで倒せる。
こうして俺らは魔物を適度に狩りつつ森を抜けた。魔物を倒すと得られるドロップ品——装備用の素材は拾わずとも、勝手にインベントリに入るので便利である。
「見ろ!! 人間の村だ!!」
森を抜けた先には、牧草地が広がっており、その奥にしょぼい木の柵で囲われた小さな村があった。
村の入口付近に風車があり、横に流れる小川沿いには水車が回っている。牧歌的と言ってもいいし、のどかとも言える。
「ひゃっはあああ!! このニュー棍棒が有れば余裕だぜ!!!」
「どうするよ?」
「は? 真正面から突破以外あんの?」
「ねえな」
俺らはにやけながら、棍棒を振り上げて村へとダッシュ。
途中に、可愛らしい少女がいたが、きゃーとか叫びながら村へと逃げていく。
「オークよ! オークが来たわ! 総員——第一種戦闘配置」
ん? 今なんかあの少女が言ったような。
「げへへへへへ全員ぶっ殺してや——」
タッーン、という音と共に、チチパイの頭部に穴が空いた。
「あれ、これ、なんかデジャ——」
俺が言葉を言い終わる前に、目の前に飛んできた手榴弾が爆発した。
……。死因は『村人により爆死』、だそうです。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
年下の地球人に脅されています
KUMANOMORI(くまのもり)
SF
鵲盧杞(かささぎ ろき)は中学生の息子を育てるシングルマザーの宇宙人だ。
盧杞は、息子の玄有(けんゆう)を普通の地球人として育てなければいけないと思っている。
ある日、盧杞は後輩の社員・谷牧奨馬から、見覚えのないセクハラを訴えられる。
セクハラの件を不問にするかわりに、「自分と付き合って欲しい」という谷牧だったが、盧杞は元夫以外の地球人に興味がない。
さらに、盧杞は旅立ちの時期が近づいていて・・・
シュール系宇宙人ノベル。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
ユニーク職業最弱だと思われてたテイマーが最強だったと知れ渡ってしまったので、多くの人に注目&推しにされるのなぜ?
水まんじゅう
SF
懸賞で、たまたま当たったゲーム「君と紡ぐ世界」でユニーク職業を引き当ててしまった、和泉吉江。 そしてゲームをプイイし、決まった職業がユニーク職業最弱のテイマーという職業だ。ユニーク最弱と罵られながらも、仲間とテイムした魔物たちと強くなっていき罵ったやつらを見返していく物語
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!
阿弥陀乃トンマージ
SF
若くして広大な銀河にその名を轟かす、超一流のヴィランの青年、ジンライ。
漆黒のパワードスーツに身を包み、幾つもの堅固な宇宙要塞を陥落させ、数多の屈強な種族を倒してきた、そのヴィランに課せられた新たな任務の目的地は、太陽系第三番惑星、地球。
広い銀河においては単なる辺境の惑星に過ぎないと思われた星を訪れた時、青年の数奇な運命が動き出す……。
一癖も二癖もある、常識外れのニューヒーロー、ここに誕生!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる