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僕とチヨさん
しおりを挟むさて、問題となってる鳥かご…。
これといって不思議なかごでもない。
鳥かごの中は変わった様子もない。
ただフタが開いている。
そのかごから逃げ出した鳥たち。
ぼくが考えてる間に、彼女は教室を出ていってしまった。
逃れるように出ていった彼女を僕は追いかけた。
彼女は渡り廊下の人気がない所で、空を見上げていた。
「チヨさん。」
名前を呼ばれたので慌てて僕を見た。
「ソラくん…どうして…。」
走ってきた僕を見る顔は、苦しそうに眉を寄せていた。
「僕、少し心配になって…。どうしたの、急に…。」
僕は口ごもる。
彼女は唇をギュッとかむと苦しそうに言った。
「心配してくれてありがとう。私がちゃんと、鳥かごのフタをしなかったかも…。私のせいかも…。」
「……。」
「それもはっきりと覚えてないのよ…。」
「チヨさんがわかることだけでいいんだよ。ゆっくりでいいよ。少し思い出すことがあれば言って…。何かわかるかもしれないから…。僕に任せて…。ちゃんとしてあげるから…。さぁ、教室へ戻ろう…。」
彼女は仕方なく、
教室へとあるき出した。
まだ、わからないことが沢山ありそうだ。
僕は、わかるはずのない問題に突き当たった気がした。
彼女は泣きながら、僕の後ろをついて歩く。
下を向き泣いている彼女の手を掴んだ。
ポケットから取りだしたハンカチを、彼女に渡した。
ヒンヤリとした手だった。
「さぁ、涙を拭いて…。鳥たちのためにも、もう少し頑張ろうか…。」
「ありがとう…。私、頑張る。」
顔を上げた彼女はハンカチをギュッと握りしめた。
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