鳥の詩

恋下うらら

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彼女とぼく

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 ヒカルと話すつもりで彼女の近くに行った。

話がしたかったのだ。

彼女は最初から一人ではなく、女子グループにいて仲良くしていた。

彼女達も転校してきた、かわいらしいチヨさんが物珍しいのだろう。

なかなか一人になるチャンスがなく、ぼくは目で追うだけで、言葉をかける事ができなかった。

休み時間になった時、やっとそのチャンスが巡ってきた。

「ぼく、石田ソラ…、よろしく…。」

彼女もニコニコと笑って

「よろしくね。」

と言ってくれた。

やっと話が出来た。

今度はぼくが浮足立っていた。

いつものぼくではないみたいだ。

一人で先走り、恥ずかしくなる。

どうやらぼくはチヨさんのことが少し好きになっていた。

頭もよく、運動神経もバツグン、周りにいる女子と比べて、雲泥の差があるようにも思った。

ー今までにないタイプだ…。

「君、すごいね。英語。」

彼女はニッコリ笑い

「あ…ありがとう」

と少し照れていた。

「発音も良かったし、ぼくは英語が苦手だから尊敬するなぁー、どうして英語が得意なの?」

「あ…、私ね。小さい時アメリカにいたの、そして日本に帰ってきたのよ…。帰国子女っていうのかな~、アメリカも自由な感じで好きだったけど、日本はあったかい感じがしてとても住みやすいわ…。」

ぼくは反射的に

「そうなの…!!」

と驚いて口に手を当てた。

大げさに驚いて見せた。

「今は、おばあちゃん家に住んでるのよ。お父さんだけがまだアメリカにいるの…。」

と少し寂しそうにした。

「そうか…、大変だね。」

同情した。

彼女はうつむいた。

そして寂しそうにしていた。

一瞬ぼくは考えて、身を乗り出した。

気にしないでいるぼくを演じた。

彼女が寂しい気もちにならないよう

つとめて明るくしたかったからだ。


「ねぇ、飯島さん、今日良かったら放課後三人で遊ばない?」

「エッ、三人でどこで遊ぶの?」

「どうしようかー。」

彼女は少し考えるそぶりをする。

「良かったら家に遊びに来る?!おばあちゃん家広いのよ。」

とニッコリと笑った。

「行こうかな。今日の夕方おじゃまするよ。」

「じゃあー決まりね。」

とこころよくOKしてくれた。

そして夕方、彼女の家におじゃますることになった。



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