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43 孤児院へようこそ②
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中央管制室は子供達が孤児院にいる時代にメリシュとテトラが共同で設計し、アルヴァンが金で雇った業者に作らせていた。
これ魔王国の計画の初期対応だったのだと思う。情報化社会という口車にまんまとい騙されてしまったが。
中央官制室にはテトラがいた。
「君が噂のアルヴァンの副官だね」
「ミナと言います! 宜しくお願いします。【超魔導士】の噂はかねがね!」
「ん」
人見知り傾向のテトラは余計なこと言わない。
さっさと作業へと入ってしまう。
「孤児院の防衛機能の強化だったか?」
「うん、今から始めておかないとね。最悪のパターンに備えて」
最悪のパターンか。帝国が占領されてしまった時だな。
魔王国を最後の砦とする予定だ。
この孤児院を要塞化し、立てこもる計画となっている。
「監視カメラは設置済み。耐空装備を急ピッチで図面を引いている。大丈夫、私とメリシュが知恵を振り絞ってるから負けるはずない」
「いくら知識があっても人手が足りないだろ。大丈夫なのか」
「そうだね。まずを数を作製しないといけない。メンテナンスはオートメーション化を考えてるけど……大丈夫、アルヴァンが人員のアテもついたって聞いたし、わりとすぐに要塞化できると思うよ」
「俺の孤児院がどんどんおかしくなっていく……」
「孤児院ってなんだっけ……ってなりますね」
「アウトレンジ射撃のできる固定砲台を何台か設ける予定だけど、魔功炉があるとはいえ出力が一時的にダウンしてしまうのはちょっと」
「ミナさん、先へ行こうか!」
「あ、はい!」
テトラのうんちくを聞き続けてもいいことはないので早々に立ち去ることにした。
食堂を通って俺達は農場へ出る。
孤児院の敷居は広大なため子供達が遊び回る運動場に農場がある。
帝都ドーム12個分の敷地を誇るこのハーヴァン孤児院。農場もそこそこ広さを誇る。
「あれはメリシュさんですよね?」
「ああ、メリシュのやつ農場にいたのか」
「あらパパ……とアルヴァンの副官ね」
「メリシュ、ミナさんとは会ったことあったのか」
「アルヴァンとは政治のことで相談されたこともあったし、その縁でね」
メリシュは教養成長率SSSである。
あらゆる全ての知識が彼女の頭の中に入ってると言っても良い。
テトラもアルヴァンもその知識をあてにしていた。
「私の実家も農園を開いてるんですよ!」
「そうなのか。って何でそんなに距離を置いてるんだ?」
「だって……見たこと無い巨大な植物が生えているので……」
メリシュの側には体長3アメリ(メートル)ほどの巨大植物がうねうねしながら動いていた。
そう、農場の一区画はメリシュ専用植物実験場となっており。メリシュがたまにふらっと現れて実験をしている。
「大丈夫よ。光と水だけで生きられるようにいじくりまくったから食べられる危険はないわ。ただ、いたずらすると絞め殺すかソーラービームで焼き殺してくるから気をつけてね」
「ひっ!」
子供達にはいたずらしないように躾けてあるから大丈夫。
まぁ、メリシュがいない時は生体・植物合成実験場に入れられるから基本大丈夫……なはず。
「この植物は何なのですか?」
「簡単なことよ。難病を治癒する薬を作るには貴重な素材が必要になるの。でも貴重な素材はそう簡単には手には入らない。なら……生み出せる合成植物を作れば良いの」
魔導工学がテトラの得意分野であれば、自然科学はメリシュの得意分野である。
俺とマリヴェラが飲んでいる薬もこのうねうね動く、植物の葉から素材を採取するしたものだ。
世界樹の根、ベヒモスの心臓、エリキシル剤、ユニコーンの角、アンブロシアの果実、たいりょくのたね、まりょくのたねが全部、この植物から採取することができるのだ・
どこにベヒモスの心臓があるねんと思うが代わりとなるのだからやばい。
「私が作った成果の全素材精製植物よ」
これを生み出すためにどれだけの生物が犠牲になったか……俺はミナさんに言わないことにした。
「の、農場はすごいですね! 土地も随分肥えているように見えますし、いい土地ですね」
さすがに理解を超えてきたのかミナさんもつっこむのを止めたようだ。
それが利口だと思う。
「そうだろう。自給自足できるくらい野菜が取れるんだぜ。孤児院全員どころかトラッタの街の全員分の野菜が収穫できるんだ」
「え? さすがにそれはありえないんんじゃ」
「私が作った特級農業用エリキシル材を使えば、1滴垂らすだけで10年連作障害出ないし、土地も一切痩せないし。収穫量が500倍よ」
「どんな魔法の栄養剤ですか!?」
「おみやげに1本いるか?」
「帝国の農業が狂いそうなのでやめておきます……」
だいだいどんな野菜も3日で収穫できるようになる。キャベツのタネを植えれば次の日に発芽して、次の日に葉が生えて、次の日に収穫できる。
稲作だって田んぼに栄養剤ぶっ込んだら最高級の米が1週間で作れるからな。
「あとは畜産関係をどうにかすれば一生この孤児院から出ずに生きていられるわ」
メリシュは肉や乳製品なども作れるように研究しているらしい……相変わらずとんでもねぇ子だと思う。
「すごいですね……こんなすごいお薬どこで作ってるんですか」
「あら、生物合成実験場《メリシュラボ》に来てみる?」
「何か響きが怖いです!?」
「やめておきなさい。あれは年頃の娘にはヤバすぎる場所だ」
これ魔王国の計画の初期対応だったのだと思う。情報化社会という口車にまんまとい騙されてしまったが。
中央官制室にはテトラがいた。
「君が噂のアルヴァンの副官だね」
「ミナと言います! 宜しくお願いします。【超魔導士】の噂はかねがね!」
「ん」
人見知り傾向のテトラは余計なこと言わない。
さっさと作業へと入ってしまう。
「孤児院の防衛機能の強化だったか?」
「うん、今から始めておかないとね。最悪のパターンに備えて」
最悪のパターンか。帝国が占領されてしまった時だな。
魔王国を最後の砦とする予定だ。
この孤児院を要塞化し、立てこもる計画となっている。
「監視カメラは設置済み。耐空装備を急ピッチで図面を引いている。大丈夫、私とメリシュが知恵を振り絞ってるから負けるはずない」
「いくら知識があっても人手が足りないだろ。大丈夫なのか」
「そうだね。まずを数を作製しないといけない。メンテナンスはオートメーション化を考えてるけど……大丈夫、アルヴァンが人員のアテもついたって聞いたし、わりとすぐに要塞化できると思うよ」
「俺の孤児院がどんどんおかしくなっていく……」
「孤児院ってなんだっけ……ってなりますね」
「アウトレンジ射撃のできる固定砲台を何台か設ける予定だけど、魔功炉があるとはいえ出力が一時的にダウンしてしまうのはちょっと」
「ミナさん、先へ行こうか!」
「あ、はい!」
テトラのうんちくを聞き続けてもいいことはないので早々に立ち去ることにした。
食堂を通って俺達は農場へ出る。
孤児院の敷居は広大なため子供達が遊び回る運動場に農場がある。
帝都ドーム12個分の敷地を誇るこのハーヴァン孤児院。農場もそこそこ広さを誇る。
「あれはメリシュさんですよね?」
「ああ、メリシュのやつ農場にいたのか」
「あらパパ……とアルヴァンの副官ね」
「メリシュ、ミナさんとは会ったことあったのか」
「アルヴァンとは政治のことで相談されたこともあったし、その縁でね」
メリシュは教養成長率SSSである。
あらゆる全ての知識が彼女の頭の中に入ってると言っても良い。
テトラもアルヴァンもその知識をあてにしていた。
「私の実家も農園を開いてるんですよ!」
「そうなのか。って何でそんなに距離を置いてるんだ?」
「だって……見たこと無い巨大な植物が生えているので……」
メリシュの側には体長3アメリ(メートル)ほどの巨大植物がうねうねしながら動いていた。
そう、農場の一区画はメリシュ専用植物実験場となっており。メリシュがたまにふらっと現れて実験をしている。
「大丈夫よ。光と水だけで生きられるようにいじくりまくったから食べられる危険はないわ。ただ、いたずらすると絞め殺すかソーラービームで焼き殺してくるから気をつけてね」
「ひっ!」
子供達にはいたずらしないように躾けてあるから大丈夫。
まぁ、メリシュがいない時は生体・植物合成実験場に入れられるから基本大丈夫……なはず。
「この植物は何なのですか?」
「簡単なことよ。難病を治癒する薬を作るには貴重な素材が必要になるの。でも貴重な素材はそう簡単には手には入らない。なら……生み出せる合成植物を作れば良いの」
魔導工学がテトラの得意分野であれば、自然科学はメリシュの得意分野である。
俺とマリヴェラが飲んでいる薬もこのうねうね動く、植物の葉から素材を採取するしたものだ。
世界樹の根、ベヒモスの心臓、エリキシル剤、ユニコーンの角、アンブロシアの果実、たいりょくのたね、まりょくのたねが全部、この植物から採取することができるのだ・
どこにベヒモスの心臓があるねんと思うが代わりとなるのだからやばい。
「私が作った成果の全素材精製植物よ」
これを生み出すためにどれだけの生物が犠牲になったか……俺はミナさんに言わないことにした。
「の、農場はすごいですね! 土地も随分肥えているように見えますし、いい土地ですね」
さすがに理解を超えてきたのかミナさんもつっこむのを止めたようだ。
それが利口だと思う。
「そうだろう。自給自足できるくらい野菜が取れるんだぜ。孤児院全員どころかトラッタの街の全員分の野菜が収穫できるんだ」
「え? さすがにそれはありえないんんじゃ」
「私が作った特級農業用エリキシル材を使えば、1滴垂らすだけで10年連作障害出ないし、土地も一切痩せないし。収穫量が500倍よ」
「どんな魔法の栄養剤ですか!?」
「おみやげに1本いるか?」
「帝国の農業が狂いそうなのでやめておきます……」
だいだいどんな野菜も3日で収穫できるようになる。キャベツのタネを植えれば次の日に発芽して、次の日に葉が生えて、次の日に収穫できる。
稲作だって田んぼに栄養剤ぶっ込んだら最高級の米が1週間で作れるからな。
「あとは畜産関係をどうにかすれば一生この孤児院から出ずに生きていられるわ」
メリシュは肉や乳製品なども作れるように研究しているらしい……相変わらずとんでもねぇ子だと思う。
「すごいですね……こんなすごいお薬どこで作ってるんですか」
「あら、生物合成実験場《メリシュラボ》に来てみる?」
「何か響きが怖いです!?」
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