七英雄に記憶を奪われ、追放された俺が孤児院で第二の人生を送る~育てた孤児達の【恩返し】スキルが無敵すぎるので英雄達に【怨返し】します~

鉄人じゅす

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42 孤児院へようこそ①

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「今日からお世話になります!」
「ああ、ゆっくりしていくといい」

 イングリス様と会談した次の日、出会ったばかりの摂政副官のミナ・シルベットさんが大荷物を持ってやってきた。
 今回で正式に帝国政府と魔王国は強い関係性を持つ形となった。
 彼女はアルヴァンからの指示により、政府との連絡係となるようだ。これで何かあった際は正式に帝国政府を頼れる形となる。

 少しずつ、少しずつ、先へ進んでいると感じられる。
 英雄活動から始まり、魔王国の帝国での認知はスムーズに進み、帝国皇帝や政府関係者との会合を成し遂げた。
 アルヴァンも準備は着々と進んでいると言っていた。
 そして……。

「イガルシュヴァラとの決戦は近い。そして七英雄との対決はパパが鍵となる。しっかり準備をしておいてくれ」

 そんなことを言っていた。

 エリオスとは違い、イガルシュヴァラの戦闘力は絶大。単純な戦闘力ならアレリウスの次に強かった。
 年月と経験の差からフィロを超えるかもしれない。
【恩返し】スキルで得た力をもう一度見直す必要があるだろう………。

「あのロード様」
「ん? ああ、ミナさん。あと孤児院で様付けはやめてくれ。子供達もいることだしな」
「了解しました! ロードさん。それでですね。情報伝達のために出来れば孤児院の中を案内頂きたいのですが……」
「ああ、いいよ。子供達にも君を紹介したいしな」

 というわけで今回はミナさんを孤児院の中を案内することになる。

 孤児院の中に入った俺とミナさんはまず食堂に来た。
 食堂には4台ほどテーブルを置いており、15人ほどが座れるほどの大きなスペースとなっている。
 魔導写映機テレビを見ながら和やかに談笑する。憩いの場と言える。
 木のテーブル、木の椅子。お金に余裕が出ればもう少しこのあたりも一新させたいのだがな……。

「朝、昼、夜はここで食事を取るんだ。食事は時間帯で分けていることが多いな」
「マリヴェラさんが作られてるのですよね? アルヴァン様が褒めておられました」
「ああ、彼女は料理上手だからな。一人で作るのは大変だから子供達にも手伝わせているよ」

 ペリルなんかは料理も得意でユニークスキルの分身能力であっと言う間に調理することもできる。
 もちろん俺も料理はお手の物だ。たまにはマリヴェラにも休息日を与えないといけない。
 そういう時は俺が作ったりする。

 そのまま2階へと向かった。

「子供たちはここで寝泊まりをしているのですね」

 2段ベットを数台設置し、複数人が寝られるようにしている。

「アルヴァンもこの場所で育ったんだよ」
「今や帝国トップのお方がこの場所で……。す、すみません嫌みなことを」
「別にいいさ。孤児院育ちであることは一生かけても消すことはできないからな。だけど君やライナさんが支えてくれるなら安心さ」
「ロードさん……」

 孤児の人数というのはやはり情勢で変わってくるもの。
 今は落ち着いているが戦争が開始されたら増えてしまうだろう……。
 今はギリギリこの部屋で何とかなっているが、別の棟を新設するか? しかしお金がなぁ。
 俺もメリシュの薬のおかげでまる3日は寝なくても戦えるからいろいろ孤児院の増築を夜間にやっているが……やはり1人じゃ限界がある。

 何よりお金だなぁ。子供達に集るのは心情的にしたくない。
 限りあるお金を有効活用してこそだ。

「マリヴェラも寂しがる子供がいるので一緒にここで寝ていることが多いね」
「ロードさんはどちらに?」
「1階だ。院長室の奥が寝室になっている。貴重品管理とかもあるからな」

 大したもんはねーけど。
 今、一部の子供達を除いて、孤児院の子供達はトラッタの街の日曜学校に行っているので夕方まで帰ってこない予定である。
 朝の内に綺麗にしたので見れる状態だが普段はもっと布団が散乱している。

 応接室、トイレ、風呂場を案内して……。

「中央管制室だ」
「ちょちょちょちょ」

 ミナさんが思わずずっこけそうな体勢となる。

「応接室! 食堂! 寝室! これは分かります。孤児院にそれはちょっとわからないんですけど! 」
「俺もそう思う。アルヴァンから何も聞いてないのか?」
「はい……。孤児院内の詳細は秘匿情報でしたので」

 そうか……そういや中央管制室も魔功炉も極秘事項だと思うんだが……この子に見せて大丈夫なんだろうか?
 まぁいいか。

 ん?

「そういえば随分変わったチョーカーをしているな。この前一緒の時には付けてなかったけど」
「はい、アルヴァン様から頂いたんです。これから四六時中付けるようにって……」
「へぇ……オシャレなものを渡すじゃないか」

 でも何かチョーカーというよりは首輪っぽいな……。

「まぁいい、行こうか中央監視室へ」
「はい、はひふへほへ!」
「うん!? 今何て言った!?」
「はひふへほですけど……」
「中央監視室……」
「はひふへほ」

 俺は一呼吸置く。

「俺の言葉を繰り返してくれ。寝室」
「寝室」

「食堂」
「食堂」

「中央官制室」
「はひふへほ」

「……院長室」
「院長室」

「魔功炉」
「はひふへほ」

 この子、言論統制されとる!?
 この首輪か! この首輪だな!
 アルヴァンの野郎、やっぱ孤児院関係者以外信用してねぇーな!

「その首輪苦しくないよな?」
「はい! でも決して外さないようにって言われましたけど……付け心地がすごくいいので大丈夫です」

 この子大丈夫か!?
 それリモコンとかで操作したら爆発する系じゃないよな!?
 後でアルヴァンにしっかり注意しておくか。
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