6 / 50
06 おん返しスキル
しおりを挟む
「【おん返し】?」
「いつのまにか増えたみたいね。後天的にユニークスキルを入手できるなんてなかなかないことよ」
マリヴェラに【魔眼】の力でスキルの詳細を見てもらうことにした。
つまり俺は今【しつけ】と【おん返し】の2種を持っているということなのか。
「【おん返し】つまり恩返しね。15歳以上でおん返しスキル所持者に一定の情がある場合、術者が習得したスキルを複製されるみたい」
「つまりどういうことなんだ」
「多分、フィロがスキルを習得したらロードも同じスキルを習得するってことね」
この前卒院したフィロが【剣王】スキルを得たことで俺にもその力が付与されたようだ。
そして『魔導』に適正のあるテトラが【二連詠唱】を習得することで俺にもその力が付与される。
卒院した5人分のスキルが俺に自動で複製されるということか。
修行せずともスキルを手に入れられる恩返し……強すぎないか?
いや、本当強いかわからん。一度試してみよう。
「何で【おん返し】なのかしら……。恩返しでない理由、まだ何か隠されてるわね」
それからまた時が過ぎた。
◇◇◇
子供達のお昼寝タイム、世話をマリヴェラに任せて俺は孤児院の外に広がるミドガルズ大森林へ入ることにした。
この孤児院は魔物が多く住んでいるミドガルズ大森林に面しており、俺がここへ来た時は本当に魔物の被害で大変だった。
なので時々見回りで強力な魔獣が徘徊していないかチェックすることにしている。
正直、日々【おん返し】スキルによって習得したスキルがどんなものか試したくてたまらないのが本音である。
最初習得したスキルは初心者スキルだったのに今やもう中級、上級レベルを習得しているのだ。
なまくらのロングソードを腰に差して、あたりを散策する。
5人の子供達から得た【おん返し】
主に使えるのは『武道』に適正のあるフィロメーナと『魔導』に適正のあるテトラが習得している2人のスキルだろう。
ちなみに俺には戦闘の才はないと思っている。
成長率が見れたら悲惨なことになっていただろう。あの子達と比較したら雲泥の差である、
まぁ……あの子供達がやばいだけなのだけど……。
がるううううううううう!
「お、フォレストウルフが5匹か」
ミドガルズ大森林に住む狼型の魔物だ。
10歳の時は渾身の【威圧】で何とか追い払えたが、あれから20年。1体であれば苦もなく倒すことができる。
さすがに5体となると大人となった俺でも苦戦するかもしれない……。
だけど不思議と恐怖はない。
「【剣聖】スキル発動」
フィロメーナが習得した『武道』スキルカテゴリーの【剣聖】スキルである。
効果時間はおおよそ10分で使用後待機時間は極小だ。これはフィロメーナが極限まで使用後待機時間を縮める常時発動スキルを修得しているため俺にも効果が現れているのだ。
上級の【剣王】を習得したと思っていたらいつのまにかさらに上位の【剣聖】を習得していた。
【剣聖】スキルは様々な効果を剣に付与することができて、攻撃力と防御力に補正が入り、最終ダメージに倍率がかけられる有用なスキルである。
才のある剣士が40、50年かけて習得できるスキルを天才のフィロメーナが1、2年で習得する。そしてそれを恩返しスキルで複製するのである。
「我ながらチートな手段でスキルを得てるな……」
といってもフィロメーナがスキルレベル20とかなら、俺はスキルレベル1なのでその職の人には勝てない。
だが……俺には5人分のスキルを修得しているので違った戦い方が出来るのだ。
俺はロングソードを翳して、【剣聖】の中にある光剣術の効果を剣に付与する。
「ハアアアアアアアアア!」」
光剣術は剣の刃に光属性を付与させて、攻撃範囲を飛躍的に広げることができるスキルである。
弱い敵にはこれがもっとも効果的だ。
横に一撃振り切るだけでフォレストウルフの3体はこれで蹴散らせる。
たった1回斬りつけるだけでこの程度の雑魚敵であれば瞬時に倒すことができるのだ。
【剣聖】の攻撃力と最終ダメージへの補正のおかげで無類の攻撃力となっている。
「ち、後ろから」
フォレストウルフの1体が後ろから噛みついてきた。
だが見えている。
「【気配察知】からの【受け流し】」
周囲3アメル(メートル)の敵の動きが感覚で分かる【気配察知】スキルと物理攻撃を確率で無効果する【受け流し】
天才の戦士のスキルを一般人の俺が使いこなすんだ。便利すぎるぜ。
そのスキルを使えば俺はフィロメーナの動きを完全に再現することができる。
フォレストウルフの飛びかかりを受け流して、なまくら剣でそのままたたき潰した。
あっと言う間に4体を倒し、残りの1体が後ろを向いて逃げ出した。
「悪いが逃がしはしない。魔法の詠唱開始」
魔法は魔方陣を展開し、詠唱を行うことで魔法を撃つことができる。
【魔導】の天才。テトラが魔法をどんどん覚えるせいで俺の使用できる魔法が際限なく増えているのだ。
特にびっくりしたのはこの魔法。
「【空間転移】!」
近距離高速移動魔法である。
視覚にある範囲内を一瞬で移動することができる。
ウルフの進行方向に移動した俺にウルフは明らかに驚いたそぶりを見せた。
手を翳し【初級火炎魔法】を発動させる。
「こいつはおまけだ【魔法連射】」
ファイアボールを一発でいい所をわざと【魔導】カテゴリーのスキル【魔法連射】を発動させる。
【魔法連射】は最初の魔法の威力を半分にした上で魔力が続く限り同じ魔法を連射することができる。
【初級火炎魔法】の連射でウルフを撃破することにした。
【魔法連射】も30年近く研鑽を積んだ魔法使いが覚えるようなスキルである。それを天才のテトラが1、2年で習得して、俺が恩返しで複製する。
【剣聖】に【空間転移】に【魔法連射】。
俺はいつのまにかとんでもない人間になってきたんじゃないかと思ってきた。
まぁ子供達の努力をまるパクリしてるからあんまり大手を振って自慢はできないけど……誰かを守るために使うなら許してくれるよな。
◇◇◇
孤児院に帰ってきたらなぜか騒々しい雰囲気になっていた。
マリヴェラがあたふたしている。
「どうしたマリヴェラ」
「ロード! ペリルとポーラがおつかいに行ったまま帰ってこないの!」
孤児院の子供達に何かあったのか!?
「いつのまにか増えたみたいね。後天的にユニークスキルを入手できるなんてなかなかないことよ」
マリヴェラに【魔眼】の力でスキルの詳細を見てもらうことにした。
つまり俺は今【しつけ】と【おん返し】の2種を持っているということなのか。
「【おん返し】つまり恩返しね。15歳以上でおん返しスキル所持者に一定の情がある場合、術者が習得したスキルを複製されるみたい」
「つまりどういうことなんだ」
「多分、フィロがスキルを習得したらロードも同じスキルを習得するってことね」
この前卒院したフィロが【剣王】スキルを得たことで俺にもその力が付与されたようだ。
そして『魔導』に適正のあるテトラが【二連詠唱】を習得することで俺にもその力が付与される。
卒院した5人分のスキルが俺に自動で複製されるということか。
修行せずともスキルを手に入れられる恩返し……強すぎないか?
いや、本当強いかわからん。一度試してみよう。
「何で【おん返し】なのかしら……。恩返しでない理由、まだ何か隠されてるわね」
それからまた時が過ぎた。
◇◇◇
子供達のお昼寝タイム、世話をマリヴェラに任せて俺は孤児院の外に広がるミドガルズ大森林へ入ることにした。
この孤児院は魔物が多く住んでいるミドガルズ大森林に面しており、俺がここへ来た時は本当に魔物の被害で大変だった。
なので時々見回りで強力な魔獣が徘徊していないかチェックすることにしている。
正直、日々【おん返し】スキルによって習得したスキルがどんなものか試したくてたまらないのが本音である。
最初習得したスキルは初心者スキルだったのに今やもう中級、上級レベルを習得しているのだ。
なまくらのロングソードを腰に差して、あたりを散策する。
5人の子供達から得た【おん返し】
主に使えるのは『武道』に適正のあるフィロメーナと『魔導』に適正のあるテトラが習得している2人のスキルだろう。
ちなみに俺には戦闘の才はないと思っている。
成長率が見れたら悲惨なことになっていただろう。あの子達と比較したら雲泥の差である、
まぁ……あの子供達がやばいだけなのだけど……。
がるううううううううう!
「お、フォレストウルフが5匹か」
ミドガルズ大森林に住む狼型の魔物だ。
10歳の時は渾身の【威圧】で何とか追い払えたが、あれから20年。1体であれば苦もなく倒すことができる。
さすがに5体となると大人となった俺でも苦戦するかもしれない……。
だけど不思議と恐怖はない。
「【剣聖】スキル発動」
フィロメーナが習得した『武道』スキルカテゴリーの【剣聖】スキルである。
効果時間はおおよそ10分で使用後待機時間は極小だ。これはフィロメーナが極限まで使用後待機時間を縮める常時発動スキルを修得しているため俺にも効果が現れているのだ。
上級の【剣王】を習得したと思っていたらいつのまにかさらに上位の【剣聖】を習得していた。
【剣聖】スキルは様々な効果を剣に付与することができて、攻撃力と防御力に補正が入り、最終ダメージに倍率がかけられる有用なスキルである。
才のある剣士が40、50年かけて習得できるスキルを天才のフィロメーナが1、2年で習得する。そしてそれを恩返しスキルで複製するのである。
「我ながらチートな手段でスキルを得てるな……」
といってもフィロメーナがスキルレベル20とかなら、俺はスキルレベル1なのでその職の人には勝てない。
だが……俺には5人分のスキルを修得しているので違った戦い方が出来るのだ。
俺はロングソードを翳して、【剣聖】の中にある光剣術の効果を剣に付与する。
「ハアアアアアアアアア!」」
光剣術は剣の刃に光属性を付与させて、攻撃範囲を飛躍的に広げることができるスキルである。
弱い敵にはこれがもっとも効果的だ。
横に一撃振り切るだけでフォレストウルフの3体はこれで蹴散らせる。
たった1回斬りつけるだけでこの程度の雑魚敵であれば瞬時に倒すことができるのだ。
【剣聖】の攻撃力と最終ダメージへの補正のおかげで無類の攻撃力となっている。
「ち、後ろから」
フォレストウルフの1体が後ろから噛みついてきた。
だが見えている。
「【気配察知】からの【受け流し】」
周囲3アメル(メートル)の敵の動きが感覚で分かる【気配察知】スキルと物理攻撃を確率で無効果する【受け流し】
天才の戦士のスキルを一般人の俺が使いこなすんだ。便利すぎるぜ。
そのスキルを使えば俺はフィロメーナの動きを完全に再現することができる。
フォレストウルフの飛びかかりを受け流して、なまくら剣でそのままたたき潰した。
あっと言う間に4体を倒し、残りの1体が後ろを向いて逃げ出した。
「悪いが逃がしはしない。魔法の詠唱開始」
魔法は魔方陣を展開し、詠唱を行うことで魔法を撃つことができる。
【魔導】の天才。テトラが魔法をどんどん覚えるせいで俺の使用できる魔法が際限なく増えているのだ。
特にびっくりしたのはこの魔法。
「【空間転移】!」
近距離高速移動魔法である。
視覚にある範囲内を一瞬で移動することができる。
ウルフの進行方向に移動した俺にウルフは明らかに驚いたそぶりを見せた。
手を翳し【初級火炎魔法】を発動させる。
「こいつはおまけだ【魔法連射】」
ファイアボールを一発でいい所をわざと【魔導】カテゴリーのスキル【魔法連射】を発動させる。
【魔法連射】は最初の魔法の威力を半分にした上で魔力が続く限り同じ魔法を連射することができる。
【初級火炎魔法】の連射でウルフを撃破することにした。
【魔法連射】も30年近く研鑽を積んだ魔法使いが覚えるようなスキルである。それを天才のテトラが1、2年で習得して、俺が恩返しで複製する。
【剣聖】に【空間転移】に【魔法連射】。
俺はいつのまにかとんでもない人間になってきたんじゃないかと思ってきた。
まぁ子供達の努力をまるパクリしてるからあんまり大手を振って自慢はできないけど……誰かを守るために使うなら許してくれるよな。
◇◇◇
孤児院に帰ってきたらなぜか騒々しい雰囲気になっていた。
マリヴェラがあたふたしている。
「どうしたマリヴェラ」
「ロード! ペリルとポーラがおつかいに行ったまま帰ってこないの!」
孤児院の子供達に何かあったのか!?
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる