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3章 2学期
049 恋愛相談③
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僕と遊佐天は親友の神凪星矢の所へいく。
ちなみに親友は今、家庭科室でエプロンを付け、ジャージを縫っていた。
学園の星の王子様はなんて家庭的なんでしょう。
「星矢先輩って本当に家庭科部だったんですね」
「死ぬほど似合わないけど、星矢にとっては死活問題なんだ」
学校の経費で食費や衣服の修繕ができるんだから当然だ。
男性が入部することが珍しい家庭科部で堂々といるからな。他の部員も見慣れた光景らしい。
ただ星矢効果で女子部員が増えたの間違いないらしい。
「まさかおまえが木乃莉のことを好きだったとはな」
星矢には事前に話は通してある。
さてと瓜原さんのあこがれの件を教えてもらおうか。
「木乃莉の感情もあるから、全部は話さないぞ」
◇◇◇
「そういうことか。分からなくもないけど……」
星矢の語る瓜原さんのあこがれ……、これを聞いて天はどう判断するか。
僕は天を見る。
「それでも僕は瓜原さんのことが好きなんです」
「そうか、なら一つだけおまえにアドバイスしてやる」
星矢から1つアドバイスを受け、天は【明日】に備えて今日は帰らせた。
そう、明日は再度天から瓜原さんへ告白を行うことができるように僕がセッティングを行った。
月夜が瓜原さんと話をして改めて告白に対する返事をする場も一緒に設けている。土曜日だというのにまったく。
僕と星矢だけがこの場に残る。
「ねぇ、星矢、うまくいくと思うか?」
「それは天次第だろう。付き合う、付き合わない以前に木乃莉の歪んだ心を解き放てるかどうかわからん。それよりおまえも見にいくのか」
「乗りかかった船だしね。月夜も瓜原さんに付きそうって言ってるし、駄目だったら先輩として慰めてやるよ。星矢はどうする?」
「俺はバイトだ」
「ぶれないな君は……」
そして運命の土曜日。
校舎裏の林の奥に少しだけ開けた場所がある。大声を出しても声は届かず、誰も邪魔は入らない。
実は意外にここの場所は知られていない。
この場所は部活動で使われることもないため恐らく人が入ってくることはないだろう。
覚悟を決め、男の顔をする天と不安な顔を隠そうとしない瓜原さん。
結局月夜と瓜原さんがどのような話をしたかは分からないが……これは見守るしかないのだろう。
瓜原さんの横にいた月夜が最初に声を出す。
「遊佐くん、もう1度告白する前に木乃莉から話があるから聞いてあげて」
今まで沈んでいた瓜原さんの顔が真っすぐに向く。意思を固めたのかもしれない。
「この前は逃げてしまってごめんなさい!」
瓜原さんは大きく頭を下げた。そしてもう一度頭が上がる。
「てっきり月夜や海ちゃんのことだと思ってロクに話も聞かないで逃げてしまって本当にごめんなさい。だけど私は今……誰かと付き合う」
「瓜原さん」
天がその言葉を遮った。今の感じだと遮るのは正解だろう。
「あなたのことを少しだけ聞きました。星矢先輩のことも……。だから付き合う、付き合わないじゃなくて僕の気持ちを伝えさせて下さい」
僕の側に月夜がやってくる。
告白か……。いつか僕もすることになるんだろうか。
隣にいる月夜の顔をちらっと見る。もし僕が月夜に告白をするならば……いや、そんなありえない話を考えるのはよそう。
「私達がやれるのはここまでですね」
「そーだな。あとは当人同士の問題だ」
天の命がけの告白が始まる。
ちなみに親友は今、家庭科室でエプロンを付け、ジャージを縫っていた。
学園の星の王子様はなんて家庭的なんでしょう。
「星矢先輩って本当に家庭科部だったんですね」
「死ぬほど似合わないけど、星矢にとっては死活問題なんだ」
学校の経費で食費や衣服の修繕ができるんだから当然だ。
男性が入部することが珍しい家庭科部で堂々といるからな。他の部員も見慣れた光景らしい。
ただ星矢効果で女子部員が増えたの間違いないらしい。
「まさかおまえが木乃莉のことを好きだったとはな」
星矢には事前に話は通してある。
さてと瓜原さんのあこがれの件を教えてもらおうか。
「木乃莉の感情もあるから、全部は話さないぞ」
◇◇◇
「そういうことか。分からなくもないけど……」
星矢の語る瓜原さんのあこがれ……、これを聞いて天はどう判断するか。
僕は天を見る。
「それでも僕は瓜原さんのことが好きなんです」
「そうか、なら一つだけおまえにアドバイスしてやる」
星矢から1つアドバイスを受け、天は【明日】に備えて今日は帰らせた。
そう、明日は再度天から瓜原さんへ告白を行うことができるように僕がセッティングを行った。
月夜が瓜原さんと話をして改めて告白に対する返事をする場も一緒に設けている。土曜日だというのにまったく。
僕と星矢だけがこの場に残る。
「ねぇ、星矢、うまくいくと思うか?」
「それは天次第だろう。付き合う、付き合わない以前に木乃莉の歪んだ心を解き放てるかどうかわからん。それよりおまえも見にいくのか」
「乗りかかった船だしね。月夜も瓜原さんに付きそうって言ってるし、駄目だったら先輩として慰めてやるよ。星矢はどうする?」
「俺はバイトだ」
「ぶれないな君は……」
そして運命の土曜日。
校舎裏の林の奥に少しだけ開けた場所がある。大声を出しても声は届かず、誰も邪魔は入らない。
実は意外にここの場所は知られていない。
この場所は部活動で使われることもないため恐らく人が入ってくることはないだろう。
覚悟を決め、男の顔をする天と不安な顔を隠そうとしない瓜原さん。
結局月夜と瓜原さんがどのような話をしたかは分からないが……これは見守るしかないのだろう。
瓜原さんの横にいた月夜が最初に声を出す。
「遊佐くん、もう1度告白する前に木乃莉から話があるから聞いてあげて」
今まで沈んでいた瓜原さんの顔が真っすぐに向く。意思を固めたのかもしれない。
「この前は逃げてしまってごめんなさい!」
瓜原さんは大きく頭を下げた。そしてもう一度頭が上がる。
「てっきり月夜や海ちゃんのことだと思ってロクに話も聞かないで逃げてしまって本当にごめんなさい。だけど私は今……誰かと付き合う」
「瓜原さん」
天がその言葉を遮った。今の感じだと遮るのは正解だろう。
「あなたのことを少しだけ聞きました。星矢先輩のことも……。だから付き合う、付き合わないじゃなくて僕の気持ちを伝えさせて下さい」
僕の側に月夜がやってくる。
告白か……。いつか僕もすることになるんだろうか。
隣にいる月夜の顔をちらっと見る。もし僕が月夜に告白をするならば……いや、そんなありえない話を考えるのはよそう。
「私達がやれるのはここまでですね」
「そーだな。あとは当人同士の問題だ」
天の命がけの告白が始まる。
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