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3章 2学期

042 下級生とプール④

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「んじゃあたし達はこっちから帰るねー」
「私も。先輩、今日はありがとうございました」

 夕方。
 いろいろあったけど楽しく遊ぶことができた。
 世良さんと瓜原さんは寄る所があるということで別ルートで帰っていくようだ。
 何となく……僕と月夜を2人きりにさせようとしている気がしてならない。

 そして月夜はというと。

「むー」
「何か機嫌悪くない?」
「海ちゃんや木乃莉とばかりで私とあんまり話してくれなかった」

 なんだこのかわいい生物。機嫌の悪いかぐや姫もかわいくて神か!

「でも夏入ってから……僕は一番話している女の子って月夜だと思うけど……」
「私だって男性では太陽さんが1番です……。でも今日はそんなに話せてない」

 僕は金庫番してたからねぇ。世良さんがすぐに月夜を連れ出してしまったから水着の件以降ほとんど喋ってない気がする。
 もう18時だしなぁ……これからどこか行くこともできない。
 晩御飯をってのも違う感じがする。
 となると……もう……これしかないんだよな。覚悟を決めるか。

「……月夜」
「はい?」
「その……あの……そんなに話したいなら」

 あ、やばい緊張してきた。やっぱり、きつい、止めたい……でも僕だって月夜と話したいんだ。

「来週の休みで……第二弾の……デートしないか」

 月夜は歩みを止まる。まるで時が止まったのように……全部が止まってしまった。
 やっぱり急すぎただろうか。否定されるのが怖くてなってきた。僕は思わず口にしてしまう。

「だ、駄目だったら」

「行きたいです。誘ってくれて……ありがとう。とても…‥嬉しいです!」
「んぐっ!」

 その言葉と一緒に月夜の時間は動き出した。
 夕空の映える中、手を胸部で祈るように組む月夜の本当に嬉しそうな笑顔に僕は……思わずつばを飲み込んだ。
 本当にかわいくて……全部抱きしめてしまいたくなるような月夜の姿に顔が赤くなってしまった。

「太陽さん真っ赤ですよ。ふふ」
「うるさいな! 口で誘ったりしたことないんだから仕方ないだろ!」

 月夜がぐいぐいと顔を寄せて、僕の真っ赤な表情を見てくる。ああ、もうほんとこの子に敵わないなぁ。
 そのぐいぐいしてくる顔がかわいいから赤面が取れないんだよ……くそ!

「あ、今度は動きやすい服装で来てくださいね」
「それは僕のセリフだ」

 プールからの帰り道…‥僕と月夜は和やかな雰囲気で帰ることができた。
 夕日の空、9月が始まったても……僕と月夜の関係は変わらず進んでいく。

「今日は写真撮らせてほしいって言わなかったですよね」
「え、撮らせてくれるの!? あの水着写真……すごく欲しい」
「み、み、水着は絶対に無理です!!」

 断られてしまった。


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