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しおりを挟む私のチェリーパイがあああああ!
せめて食べてから戻してほしかった!
アツアツでサクサクでアマアマなパイを味わいたかったのに……また勇者、キサマかぁぁぁ!
「きょ、今日の王女様は体調が悪いようなので……行きますね」
ううぅ!
確か前回セーブしたのは2日前、また千里眼でパーティの様子を見ないといけないのね……。
今回は状況を見極めるためにさっさと旅に行かせる。
あ……そうだ。
「ユート様」
「は、はい?」
「あなたは髪切った方がベリーベリーグッド!」
親指を立てて褒めてやった。
正直同じやりとりを繰り返すのは面倒くさいのである。
同じ展開を経て、私は1人部屋にこもり千里眼を使用する。
本来であればソフラがこの時間チェリーパイを作ってきてくれるというのに……私は何やってるんだろうか。
千里眼で勇者カッシュ達の様子を見る。
えーと勇者カッシュのまわりに女共がいて、ユートが追い出され……。
「あれ? チガウ?」
今回はユートのまわりにパーティの女達がくっついており、鬼のような形相の勇者カッシュが何かを訴えていた。
ユートの顔を見えるように千里眼の力を強める。
「あらっ……」
前髪を切って現れたそれは絶世の美青年であった。
あらステキ。 思わず私も見惚れてしまいそうなほどユートの顔は整っている。
なるほど、この顔に釣られてパーティの女達はユートについてしまったわけね。
そしてハーレム願望持ちの勇者カッシュが怒り狂うと……。
「まったくユートを追放しまくる罰よ。ほんとざまぁないわね!」
勇者の泣きべそ顔が笑えてくる。
あんなにバカにして追放してきた男に女を奪われた今、どんな気持ちって聞いてみたい。
そんで勇者カッシュが剣を抜いちゃった。敵対しちゃうとユートのバフ効果は得られないからきっと……。
勇者カッシュがユートに斬りかかるが、仲間の女に振り払われ、飛んだ剣が勇者の頭に突き刺さる。
「アハハ、返り討ちにあって死んでやんの! バカみたい!」
※13回目
「今までの冒険を記録致しました」
「あ、ありがとうございます、王女」
「追放され返されたからって死ぬな!!」
「何の話ですか!?」
勇者は言い返すがまともにやり合う気もない。
今回の正解ルートは恐らくこれだ。
私は旅に出ようと去りゆくユートに声をかけた。
「あなたは髪伸ばした方がベリーベリーグッド!」
「ええ!?」
言わなくてもよかった気がするが……まぁいいでしょう。
このおかげでユートに惚れなかったパーティの女達はそのままで……何の追放もおきずに旅は進むのであった。
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