セーブとロードを操る王女、婚約者の勇者が死ぬと同時にループする~クズ勇者が支援係を追放した後死ぬので全力で食い止めざまぁする~

鉄人じゅす

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※11回目

「今までの冒険を記録致しました」

「ありがとうございます、王女」

「さて、勇者様。お願いがあります」

「何でしょう。俺に出来る事があれば……何でも言ってください」

「ハーレムパーティなぞ作らず今の男女比を保ったまま旅に出てください。女をこれ以上増やしたら浮気と取ります」

「ぶほっ!!」

 勇者カッシュは勢いよく咳き込んだ。

「王女様! お、俺は! 妻であるあなたを差し置いてそんなこと思ったこと……1度もありません!」

「うるさい巨乳好き」

「!?」

 これでユートを追い出さずに旅が出来るはずだ。

 4日目、千里眼で勇者パーティの動向を覗いていた。
 ユートは追い出されていない。ハーレム禁止令が思いのほか効いたようだ。

 おかげで無事に海底遺跡を攻略したようだ。

 翌日、セーブをするために勇者様ご一行が王城へ現れた。

 いつも通り、私の前で膝をつく勇者カッシュだが……なぜか顔を引きつらせていた。

「どうしたのですか、勇者様」

「い、いえ……最近の王女様は威圧感が凄いので……」

 誰のせいだと思っているのか。
 勇者がユートを追放しなければ私も怒る気はない。
 1回や2回の遡りは仕方ないと思っているが10回も20回もされてはたまったものじゃない。

 しかも理由がハーレムパーティを作りたいとかおバカなの!?

「今までの冒険を記録致しました」

 セーブを行い、さっさと旅に出させる。はよ、魔王倒してこい。

 そんな時パーティの後ろを歩くユートの存在に気付いた。

「ユート様」

「は、はい!」

 ユートはびっくり、仰天声が裏返る。
 とても可愛らしくて意地悪したくなるものだ。

 他の面々に聞こえないようにそっと囁く。

「……髪切った方がわたくしの好みかもしれませんよ」

「……!」

 顔を真っ赤にさせたユートは急いで走って……勇者パーティに追いついた。

「からかいすぎてしまったかも」

 ちょっと陽気になった私は今日も王女としての責務を果たす。
 これだけ気持ちの良い気分なら……積極的に楽しくやれるだろう。

 私は陽気に歌いながらレッスンも視察も行う。

 そしてセーブをしてから2日目の15時。

「昨日はとても頑張ってくださったので、今日は王女様の好きなチェリーパイを焼かせて頂きました」

「わーい、チェリーパイ大好き!」

 メイドのソフラの焼くパイは絶品だ。
 特にチェリーパイは最高級に美味しい。

「いただきまーす」

 チェリーパイを掴み、大口を開けた。

 その時……視界がぐにゃりと歪む。


 ※12回目

「今までの冒険を記録致しました」

「あ、ありがとうございます、王女」

「私のチェリーパァァァァァイ!?」

「えぇ!?」
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