5 / 10
5
しおりを挟む
※10回目
「ユート様、ちょっとわたくしとお話しませんか?」
「えっ!? ぼぼぼぼ僕とですか!」
もはや手段を選んではいられない。
勇者達がセーブ後1日は王国内で休暇を取るという話を聞いたのでメイド使って呼び出した。
邪魔が入らないよう私室で私とユート、側にはメイドのソフラを待機させる。
外がよく見えるテラスに美味しいお茶を用意する。
緊張して震えているユートに笑顔で話しかける。
「ふふ、緊張なさらなくてもいいですよ。今日は将来の夫である勇者様のことについてお聞きしたかったのです」
「か、カッシュのことですか? 本人に聞けば……」
「そんな本人に聞くだなんてはしたないことできません。ですので同性で仲間であるユート様にお話を聞きたいと思い、お呼びしました」
「そそそ、そういうことですか」
これでいい。
ユートは手をもじもじとさせ、顔を紅くし、両目を髪で隠している。
まったく王国始まって以来の最高の美姫の私相手に照れちゃって……、仕方ないわね。
「ユート様と勇者様の関係はいかがですか? 仲は良いのですか?」
「はい! 僕とカッシュは幼馴染で同じ村で生まれ、育ちました。何というか心が通じ合っているっていうんですよね。魔王討伐する最後まで一緒に戦い抜くと思います。仲良いので追放されることも絶対無いですしね!」
そんなこと言うユートはすでに10回は追放されているという事実。
あまりに純真に言うから拍子抜けしてしまった。
「ほんとに、本当に追放されることないんですか? 何か最近不穏なことを言うとか」
「いや、ないですよ。まぁ、旅始まってからあ~! ハーレムパーティ作りてぇ! ユート追い出して女レンジャー欲しいって冗談を言いまくってたくらいです」
「答え出てんじゃねーですか」
「えっ」
ごほん、言葉が悪くなってしまいました。
なるほど……勇者はハーレムを作りたいがためにユートを追い出したということね。
あの勇者バカか。
「わたくしがいるのにハーレムだなんて」
「王女様もハーレム要員にカウントしてるみたいです」
勝手にするんじゃない!!
度重なる死とループで勇者に対する愛情が目減りし、憎しみに変わろうとしてるというのに。
そんな裏側の話を聞かされて……でも次の対策の案は浮かんだわ。
でも……気になることがある。
「わたくし……勇者様に避けられている気がするのですよね」
私自身も避けているが勇者も避けている気がする。
王国始まって以来の最高の美姫の私にもっとがっついてもいいと思うんだけど。
「あはは……」
ユートはその理由が分かるようで苦笑いをしている。
「理由が分かるのであれば教えて頂けると嬉しいです。夫のことですし……」
「でも、さすがに失礼ですし……」
「ふふ、わたくしは王女ですから。言ってくださいな! 絶対怒らないですから」
「……カッシュはその……巨乳好きなんです」
怒らないけど殺すか。
王国始まって以来の最高の美姫の私の唯一の弱点、亡くなった母はそこそこあったのに……なぜ私にはまったくない!
思えば勇者パーティの3人の女は皆巨乳だったわ。
私が巨乳でないから愛す気がないっていうの!? あの勇者殺した方がいいか。
「で、でも僕は……王女様がとても魅力的だと思います」
「へぇ、あなた貧乳好きなんですね」
「ち、違います! そういうことじゃなくてぇ」
ユートはまたもじもじし始めた。
まったくどいつもこいつも胸で人を判断して……。
この人だって前髪で目を隠そうとするからいつまで経っても陰湿な感じがするのよ。
私はテーブルを乗り出し、ユートに近づいた。
「ユート様こそもっと男らしくあるべきです。こう!」
ユートの前髪をくいっと上へ向けた。
「これっ!?」
そう……ユートの翠色の瞳はとてもキラキラしていて、大きかった。
前髪を上げていると幼さを残しつつもとても顔立ちが整っている。
これは……つまり。
私好みの美少年だった。
「ユート様の瞳……キラキラして綺麗……。結構好きかも」
「えっ!?」
ちょっときゅんとしちゃっかも。
そして時は遡る。
「ユート様、ちょっとわたくしとお話しませんか?」
「えっ!? ぼぼぼぼ僕とですか!」
もはや手段を選んではいられない。
勇者達がセーブ後1日は王国内で休暇を取るという話を聞いたのでメイド使って呼び出した。
邪魔が入らないよう私室で私とユート、側にはメイドのソフラを待機させる。
外がよく見えるテラスに美味しいお茶を用意する。
緊張して震えているユートに笑顔で話しかける。
「ふふ、緊張なさらなくてもいいですよ。今日は将来の夫である勇者様のことについてお聞きしたかったのです」
「か、カッシュのことですか? 本人に聞けば……」
「そんな本人に聞くだなんてはしたないことできません。ですので同性で仲間であるユート様にお話を聞きたいと思い、お呼びしました」
「そそそ、そういうことですか」
これでいい。
ユートは手をもじもじとさせ、顔を紅くし、両目を髪で隠している。
まったく王国始まって以来の最高の美姫の私相手に照れちゃって……、仕方ないわね。
「ユート様と勇者様の関係はいかがですか? 仲は良いのですか?」
「はい! 僕とカッシュは幼馴染で同じ村で生まれ、育ちました。何というか心が通じ合っているっていうんですよね。魔王討伐する最後まで一緒に戦い抜くと思います。仲良いので追放されることも絶対無いですしね!」
そんなこと言うユートはすでに10回は追放されているという事実。
あまりに純真に言うから拍子抜けしてしまった。
「ほんとに、本当に追放されることないんですか? 何か最近不穏なことを言うとか」
「いや、ないですよ。まぁ、旅始まってからあ~! ハーレムパーティ作りてぇ! ユート追い出して女レンジャー欲しいって冗談を言いまくってたくらいです」
「答え出てんじゃねーですか」
「えっ」
ごほん、言葉が悪くなってしまいました。
なるほど……勇者はハーレムを作りたいがためにユートを追い出したということね。
あの勇者バカか。
「わたくしがいるのにハーレムだなんて」
「王女様もハーレム要員にカウントしてるみたいです」
勝手にするんじゃない!!
度重なる死とループで勇者に対する愛情が目減りし、憎しみに変わろうとしてるというのに。
そんな裏側の話を聞かされて……でも次の対策の案は浮かんだわ。
でも……気になることがある。
「わたくし……勇者様に避けられている気がするのですよね」
私自身も避けているが勇者も避けている気がする。
王国始まって以来の最高の美姫の私にもっとがっついてもいいと思うんだけど。
「あはは……」
ユートはその理由が分かるようで苦笑いをしている。
「理由が分かるのであれば教えて頂けると嬉しいです。夫のことですし……」
「でも、さすがに失礼ですし……」
「ふふ、わたくしは王女ですから。言ってくださいな! 絶対怒らないですから」
「……カッシュはその……巨乳好きなんです」
怒らないけど殺すか。
王国始まって以来の最高の美姫の私の唯一の弱点、亡くなった母はそこそこあったのに……なぜ私にはまったくない!
思えば勇者パーティの3人の女は皆巨乳だったわ。
私が巨乳でないから愛す気がないっていうの!? あの勇者殺した方がいいか。
「で、でも僕は……王女様がとても魅力的だと思います」
「へぇ、あなた貧乳好きなんですね」
「ち、違います! そういうことじゃなくてぇ」
ユートはまたもじもじし始めた。
まったくどいつもこいつも胸で人を判断して……。
この人だって前髪で目を隠そうとするからいつまで経っても陰湿な感じがするのよ。
私はテーブルを乗り出し、ユートに近づいた。
「ユート様こそもっと男らしくあるべきです。こう!」
ユートの前髪をくいっと上へ向けた。
「これっ!?」
そう……ユートの翠色の瞳はとてもキラキラしていて、大きかった。
前髪を上げていると幼さを残しつつもとても顔立ちが整っている。
これは……つまり。
私好みの美少年だった。
「ユート様の瞳……キラキラして綺麗……。結構好きかも」
「えっ!?」
ちょっときゅんとしちゃっかも。
そして時は遡る。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。


この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」
ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」
美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。
夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。
さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。
政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。
「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」
果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

【完結】野蛮な辺境の令嬢ですので。
❄️冬は つとめて
恋愛
その日は国王主催の舞踏会で、アルテミスは兄のエスコートで会場入りをした。兄が離れたその隙に、とんでもない事が起こるとは彼女は思いもよらなかった。
それは、婚約破棄&女の戦い?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる