366 / 451
第10章 奈落の底が大混乱
25 追いかけっこ
しおりを挟む
足元に積もっているのは、随分と水分の多い雪だ。ぼたん雪というヤツだろうか。
踏みしめる度に靴底からギュムッ、ギュシッと音が鳴って、足が深く沈み込む。足を速く大きく動かせば動かすほど、重たい雪が跳ね上がる。
そうして靴の中に次から次へと入ってくる雪に、背筋が震えた。
綾那は白銀の世界を駆けながら、「こんな事なら、ちゃんと雪国に合ったブーツを用意すべきだった」と後悔する。
綾那の為に死ぬほど金を使い、いくらでも服を贈ってくれる颯月だが、靴だけは贈られた事がない。ゆえに綾那は、いまだにショート丈のエンジニアブーツを――「表」から着用したまま「転移」したものだ――履いている。
子供騙しのジンクスや、都市伝説まで本気にする颯月の事だ。理由は、深く考えずとも分かる。
靴とは、踏みつけるもの、足蹴にするもの。「表」の海外では、「この靴を履いて私の元から去ってください」なんて別れの意味をもつ贈り物でもある。それは恐らく、リベリアスでも同じなのではないだろうか。
万が一にも、綾那に置き去りにされては――逃げられては堪らないからと、靴だけは贈らなかったのだろう。
(いや、もしかしたらこれからも贈られないかな……いや、うん。まあ、それは良い。無事にアイドクレースに帰ったら、お給料をもらって自分で買うから……!)
――問題は、果たして無事に帰れるのか? という事である。
「アーニャ! ヤバヤバのヤバなんだって、眷属だけじゃねえんだよ、なんかこう――見るからに物理が効かねえタイプの魔物が多いのよなー! この辺りなー!!」
わざわざ綾那の足の速さに合わせて並走する陽香の顔色は、それはもう酷いものだった。いつも健康的な小麦色の肌が、なんだか青くなっているような気がする。唇まで血色を失くしているため、低体温症が心配だ。いや、寒さが原因ではなく恐怖心から来る青さだろうか。
一体いつ頃からこの雪原を走り回っているのかは知らないが、彼女が息ひとつ切らせていないのは「軽業師」のお陰だ。
ぶ厚いニットに、グルグル巻きのマフラー。ニット帽の上から耳当て。モッコモコのダウンジャケットと、手袋と――何枚か重ね履きしていそうな程太くなった長ズボン。
これらのニット類は、ほとんどが動物の毛由来のものではない。「表」でいうところの化学繊維ならぬ、魔法繊維製らしい。
綾那と比べればかなり雪国に合った服装をしているが、しかし全身着膨れていて走り辛そうである。細身過ぎるせいか、陽香は寒さに弱いのだ。目の形や身のこなしだけでなく、体質まで猫のようである。
(なんか、色々聞きたい事はあるけど……息が続かなくて、まともに喋れない……!)
綾那は現在の状況について、陽香に問いただしたい事が多々あった。あったのだが、体力を増強するギフトをもたない綾那は、ただ走っているだけで息も絶え絶えなのだ。
先ほどから陽香が必死に「足がない! 影がない! 浮いている! 透けている! 無理無理のムリだ!!」などと主張してくるが、あいにくと言葉を発しているような余裕はない。相槌すら打っていられない。
ただ見て分かるのは、ルシフェリアの情報通り、陽香はたった一人で眷属の大群を引き連れて雪原を駆けていた事。大群の総数は目測で、軽く五十を超えているであろう事ぐらいだ。
元々ルベライトに生息していた動植物が眷属に変えられたせいか、どうも雪原に馴染むような色合いのものが多いようだ。
アルミラージとは対照的に真っ白な兎型のもの。白い狼や虎、まるで雪男みたく毛むくじゃらの大男。以前、綾那がこめかみにケガを負わされたゴブリンの、色違いの個体も居る。白ゴブリン――いや、雪ゴブリンだろうか?
そして、それらと一線を画しているのが陽香の言葉通り「物理が効かなそう」な、スピリチュアル極まりない眷属だ。
一見すると人型だが、腰から下をバッサリと失い浮いているテケテケもどき。目もないのに、不思議と正確な精度で陽香を追いかける首無しの鎧騎士。体が半透明で、向こう側の景色まで見通せるゴーストらしきもの。
ガンギマリの眼孔で陽香だけを見つめる、宙に浮いた顔――これに関しては、本当に顔しかなくて体が見当たらない。あの鎧騎士と対なのだろうか。
その他にも、果たして物理でどうにかできるのかと首を傾げたくなるようなラインナップが続いている。
「――いや、あれ、どこまで、眷属、なの? それ、とも、魔物……?」
綾那が息を切らせながら問いかければ、陽香は物凄い勢いで繰り返し首を振った。
「知るか!! なんにせよ、この世の終わりだ! あたしらはもう呪い殺される! それしかない、これは祟りだ!! 今まで本当にありがとうなッ!!」
グッと下唇を噛み締めた陽香の表情は、今にも辞世の句を読み上げそうなほど(覚悟が)キマッてしまっている。
綾那としては「一体なんの祟りなのだろうか」と疑問に思うところだが――まあ、幽霊を始めとするホラーものが関わった際の陽香と言えば、著しく正気を失う事でよく知られている。
彼女が画面の前でピョーンと飛び跳ねたり、絶叫したりしながらホラーゲームの実況動画を撮影する様は、身内ながら愉快で堪らなかった。
一度だけアリスが「廃墟や樹海の探検動画ってどうなの? ウケるかしら」と冗談交じりに提案した時なんて、強めのグーで「この罰当たりがァッ!!」と頬を殴ったものだから――しばらくの間、アリスの出演する動画が撮れずに困った事もある。
(うん、いや、現実逃避してる場合じゃないよね……どうしようかな――)
いっそ、魔法封じの檻があれば良かったのだが。後ろから追いかけて来るもの全てを魔法の使えない空間にムギュッと閉じ込めて、綾那が全力の「怪力」でもって粉砕する。全身鎧の防御力は相当なものだし、物理的な攻撃だけなら――五分間に限られるが――いくらでも防げそうな気がするのだ。
ただ、魔法はダメだ。まだ「怪力」の鎧で魔法をまともに受けた事はないが、あまりにも危険だ。
そもそも、しっかりと閉じ込めてから対峙しないと――綾那を通り越して陽香を狙われては目も当てられない。普段の陽香なら問題ないのだが、今のビビリ散らかしている陽香はまずい。
恐らくスピリチュアルな眷属に追われるがまま、綾那を置き去りにしてどこまでも走って行ってしまうだろう。
では、魔法を使える騎士が居る首都アクアオーラを目指せば――とも思うが、この一面雪景色の、一体どこにそんなものがあるのだろうか。
気が動転しまくっている陽香に方角を聞いたところで、「そんなもん、あたしに分かると思うか!? なんで今そんな事が聞けるんだ、状況分かってるか!?」なんて逆切れされそうだ。
(まず、どうして私だけ――それも、ピンポイントで陽香のところへ「転移」されたの? 他の皆は……颯月さん達は、一体どこへ?)
考えたって状況は好転しないと思いつつも、綾那はまたしても現実逃避するように、雪の上を駆けながら思考を巡らせた。
踏みしめる度に靴底からギュムッ、ギュシッと音が鳴って、足が深く沈み込む。足を速く大きく動かせば動かすほど、重たい雪が跳ね上がる。
そうして靴の中に次から次へと入ってくる雪に、背筋が震えた。
綾那は白銀の世界を駆けながら、「こんな事なら、ちゃんと雪国に合ったブーツを用意すべきだった」と後悔する。
綾那の為に死ぬほど金を使い、いくらでも服を贈ってくれる颯月だが、靴だけは贈られた事がない。ゆえに綾那は、いまだにショート丈のエンジニアブーツを――「表」から着用したまま「転移」したものだ――履いている。
子供騙しのジンクスや、都市伝説まで本気にする颯月の事だ。理由は、深く考えずとも分かる。
靴とは、踏みつけるもの、足蹴にするもの。「表」の海外では、「この靴を履いて私の元から去ってください」なんて別れの意味をもつ贈り物でもある。それは恐らく、リベリアスでも同じなのではないだろうか。
万が一にも、綾那に置き去りにされては――逃げられては堪らないからと、靴だけは贈らなかったのだろう。
(いや、もしかしたらこれからも贈られないかな……いや、うん。まあ、それは良い。無事にアイドクレースに帰ったら、お給料をもらって自分で買うから……!)
――問題は、果たして無事に帰れるのか? という事である。
「アーニャ! ヤバヤバのヤバなんだって、眷属だけじゃねえんだよ、なんかこう――見るからに物理が効かねえタイプの魔物が多いのよなー! この辺りなー!!」
わざわざ綾那の足の速さに合わせて並走する陽香の顔色は、それはもう酷いものだった。いつも健康的な小麦色の肌が、なんだか青くなっているような気がする。唇まで血色を失くしているため、低体温症が心配だ。いや、寒さが原因ではなく恐怖心から来る青さだろうか。
一体いつ頃からこの雪原を走り回っているのかは知らないが、彼女が息ひとつ切らせていないのは「軽業師」のお陰だ。
ぶ厚いニットに、グルグル巻きのマフラー。ニット帽の上から耳当て。モッコモコのダウンジャケットと、手袋と――何枚か重ね履きしていそうな程太くなった長ズボン。
これらのニット類は、ほとんどが動物の毛由来のものではない。「表」でいうところの化学繊維ならぬ、魔法繊維製らしい。
綾那と比べればかなり雪国に合った服装をしているが、しかし全身着膨れていて走り辛そうである。細身過ぎるせいか、陽香は寒さに弱いのだ。目の形や身のこなしだけでなく、体質まで猫のようである。
(なんか、色々聞きたい事はあるけど……息が続かなくて、まともに喋れない……!)
綾那は現在の状況について、陽香に問いただしたい事が多々あった。あったのだが、体力を増強するギフトをもたない綾那は、ただ走っているだけで息も絶え絶えなのだ。
先ほどから陽香が必死に「足がない! 影がない! 浮いている! 透けている! 無理無理のムリだ!!」などと主張してくるが、あいにくと言葉を発しているような余裕はない。相槌すら打っていられない。
ただ見て分かるのは、ルシフェリアの情報通り、陽香はたった一人で眷属の大群を引き連れて雪原を駆けていた事。大群の総数は目測で、軽く五十を超えているであろう事ぐらいだ。
元々ルベライトに生息していた動植物が眷属に変えられたせいか、どうも雪原に馴染むような色合いのものが多いようだ。
アルミラージとは対照的に真っ白な兎型のもの。白い狼や虎、まるで雪男みたく毛むくじゃらの大男。以前、綾那がこめかみにケガを負わされたゴブリンの、色違いの個体も居る。白ゴブリン――いや、雪ゴブリンだろうか?
そして、それらと一線を画しているのが陽香の言葉通り「物理が効かなそう」な、スピリチュアル極まりない眷属だ。
一見すると人型だが、腰から下をバッサリと失い浮いているテケテケもどき。目もないのに、不思議と正確な精度で陽香を追いかける首無しの鎧騎士。体が半透明で、向こう側の景色まで見通せるゴーストらしきもの。
ガンギマリの眼孔で陽香だけを見つめる、宙に浮いた顔――これに関しては、本当に顔しかなくて体が見当たらない。あの鎧騎士と対なのだろうか。
その他にも、果たして物理でどうにかできるのかと首を傾げたくなるようなラインナップが続いている。
「――いや、あれ、どこまで、眷属、なの? それ、とも、魔物……?」
綾那が息を切らせながら問いかければ、陽香は物凄い勢いで繰り返し首を振った。
「知るか!! なんにせよ、この世の終わりだ! あたしらはもう呪い殺される! それしかない、これは祟りだ!! 今まで本当にありがとうなッ!!」
グッと下唇を噛み締めた陽香の表情は、今にも辞世の句を読み上げそうなほど(覚悟が)キマッてしまっている。
綾那としては「一体なんの祟りなのだろうか」と疑問に思うところだが――まあ、幽霊を始めとするホラーものが関わった際の陽香と言えば、著しく正気を失う事でよく知られている。
彼女が画面の前でピョーンと飛び跳ねたり、絶叫したりしながらホラーゲームの実況動画を撮影する様は、身内ながら愉快で堪らなかった。
一度だけアリスが「廃墟や樹海の探検動画ってどうなの? ウケるかしら」と冗談交じりに提案した時なんて、強めのグーで「この罰当たりがァッ!!」と頬を殴ったものだから――しばらくの間、アリスの出演する動画が撮れずに困った事もある。
(うん、いや、現実逃避してる場合じゃないよね……どうしようかな――)
いっそ、魔法封じの檻があれば良かったのだが。後ろから追いかけて来るもの全てを魔法の使えない空間にムギュッと閉じ込めて、綾那が全力の「怪力」でもって粉砕する。全身鎧の防御力は相当なものだし、物理的な攻撃だけなら――五分間に限られるが――いくらでも防げそうな気がするのだ。
ただ、魔法はダメだ。まだ「怪力」の鎧で魔法をまともに受けた事はないが、あまりにも危険だ。
そもそも、しっかりと閉じ込めてから対峙しないと――綾那を通り越して陽香を狙われては目も当てられない。普段の陽香なら問題ないのだが、今のビビリ散らかしている陽香はまずい。
恐らくスピリチュアルな眷属に追われるがまま、綾那を置き去りにしてどこまでも走って行ってしまうだろう。
では、魔法を使える騎士が居る首都アクアオーラを目指せば――とも思うが、この一面雪景色の、一体どこにそんなものがあるのだろうか。
気が動転しまくっている陽香に方角を聞いたところで、「そんなもん、あたしに分かると思うか!? なんで今そんな事が聞けるんだ、状況分かってるか!?」なんて逆切れされそうだ。
(まず、どうして私だけ――それも、ピンポイントで陽香のところへ「転移」されたの? 他の皆は……颯月さん達は、一体どこへ?)
考えたって状況は好転しないと思いつつも、綾那はまたしても現実逃避するように、雪の上を駆けながら思考を巡らせた。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない
たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。
何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる