280 / 451
第8章 奈落の底で大騒ぎ
14 渚と綾那
しおりを挟む
颯月は、綾那が「奈落の底」に落とされて初めて会った人物だ。正確には、それよりも前にルシフェリアやヴェゼルと会って話しているのだが、アレらはまあ――そもそも人ではないし、ノーカウントで良いだろう。
悪魔ヴェゼルの身体、その一部から作り出された眷属相手に、綾那はなす術がなかった。そんな絶対絶命の窮地を救ってくれたのが颯月である。
しかも命を救ってくれただけではなく、危険だからと近隣の街まで護衛を申し出てくれるわ、当座の生活資金すらない事を知ると仕事を紹介してくれるわ――。
正直言って、彼のやり方は自分本位で強引な部分も多かった。しかし後から颯月の出生やトラウマについて聞けば、「それも致し方なし」と許せるレベルのものだ。一目惚れした女をどうしても手中に収めたかったのだ――と言われれば、何も言えなくなる。
ただ、綾那は長らくハニートラップ要員として疑われて彼と物理的な距離があったため、仲良くなるまでに時間はかかったが――直接話すようになってからは、「とにかく顔が宇宙一格好いい男の人」という意識が急速に変わっていった。
騎士団長として多くの部下に慕われ――悪魔憑きという特性上、街の者からは畏怖されるが――彼は、悪い意味だけでなく良い意味でも注目の的だった。
子供好きで面倒見がよく、自分以外の誰かの安全のために、休みなく身を粉にして働き続ける。
あまりに働きまくるので、本音を言えばまだ彼の私生活について知らぬ部分が多い。しかし職務中の彼は優秀過ぎて、周りが引いているくらいだった。
責任感の塊で、いつも自信に満ち溢れていて――そうかと思えば、複雑な家庭環境で育った事からトラウマが多く繊細で、傷つきやすく目が離せない。
いつも綾那の事を一番に考えてくれて、過ごしやすいように環境を整えてくれる。綾那の家族だからと、陽香やアリスについても、なんだかんだ言いながら面倒を見てくれた。
まあ若干、何事も金にモノを言わせる部分や周囲から見ると異常な束縛癖があって、更に意中の女性に貢いで尽くし過ぎるという危うい悪癖はあるものの――そんなものは綾那の中で、デメリットの内に入らなかった。
「――颯月さんは、「偶像」にも負けなかったの。私の所へ、自分の足で帰ってきてくれた」
ポロポロと涙を流し、時に言葉に詰まりながらも一生懸命語る綾那に、渚はどこか寂しそうな笑みを浮かべて頷いた。
「でも、夢だった……あんな完璧な人が、現実に存在するはずないもの……結婚――結婚、したかったな」
「綾が「結婚したい」なんて言い出すの、初めてだよね」
――そう、確かに綾那は今まで、複数人の男と奔放に付き合ってきた。しかし渚の記憶に残る限り、「結婚」の二文字を口にした事は一度もなかったのだ。
絢葵似の男は好きだが、彼らはあくまでも『絢葵の代用品』でしかない。
だからと言って絢葵本人と結婚したいのかと問われれば、答えは「いいえ」なのだ。綾那にとって絢葵は崇拝する神のようなもので、決して結婚を望むような『男』ではなかったのだから。
そんな綾那が、はっきりと結婚したいと言うのだ。それはもう、彼女にとってはこれ以上ないくらい素晴らしい男なのだろう。
例えあの男に騙されていたとしても、いいように利用されていたとしても――綾那は、颯月ただ一人を望んでいるのだ。
渚は乾いたタオルで、綾那の頬を拭った。次から次へと溢れてくる涙と、うなされるように繰り返される「颯月さんに会いたい」という言葉。
これ以上彼女を悲しませたって、ただ渚が虚しいばかりである。
別に、渚の事は二の次と言わんばかりに、リベリアスでの生活を満喫していた綾那の事が嫌いになった訳ではない。まあ、多少なりともショックは受けたが、しかし他でもない綾那の幸せを奪うつもりはないのだ。
ここらでひとつネタばらしを――という程でもないが、「夢ではない」と言って安心させてやらねばいけない。
「綾、平気。今、この瞬間が夢なんだよ」
渚は無理やりに明るい笑みを浮かべて、どこまでも優しい声色で綾那に語りかけた。綾那は涙に濡れた瞳を、不思議そうに瞬かせている。
「目が覚めたら、きっとその男が綾の前に居るよ。綾は「奈落の底」に落とされて、そいつに助けられて……それで、好きになって――結婚するんだよ」
「結婚……できるのかな」
「できるよ、だって綾だよ? 綾はこの世で一番綺麗で、可愛くて、優しくて……紳士的な需要も高いから。どんな男が相手でも、絶対に骨抜きにできちゃうよ――邪魔が入るようなら私がすり潰すし……だからもう泣かないで、今は休んで」
――きっと綾那は、花が咲くように笑うだろう。彼女が幸せならそれでいい。
後であの男の本心を調べる事だけは辞めないし、調べた結果が『クソ』であればすり潰されるのは男の方だが――それはわざわざ言わずとも良いだろう。
そうして綾那の笑顔を期待していた渚だったが、しかし彼女が堰を切ったように号泣し始めたため、瞠目する。
渚に祝福されて感動したのか、それとも何か言葉選びを間違えたのか。理由が分からずにオロオロしていると、怠いだろうに綾那は自身の力だけでなんとか上半身を起こして、渚に縋りついた。
「夢なら、この渚はどこへ行っちゃうの?」
「え――」
「本物の渚は、どこに居るの? まだ一人きりなの? シアさんは、渚はどこでも、世界に一人きりでも生きていけるって言っていたけど、そんな事ないんだよ――渚はすごく寂しがりだから」
「や、やめて――やめて、綾。ひとまず今は、あの男さえ居れば良いじゃん……元気になったら、また皆で私を探してくれれば良いから」
「やっと会えたのに、消えちゃうの? もう離れたくない、消えないで――」
やはり熱で意識障害を起こしているのだろうか。今の綾那は支離滅裂だ。つい先ほどまでは「颯月、颯月」と言っていたのが、次は「渚と離れたくない」と言って泣くのだから。
渚は綾那の背に両腕を回して、強く抱きしめた。そうして彼女の首筋に顔を埋めて、まるで子供のようにしゃくりあげる。
「いつも綾はずるい、ワガママだよ。本当はあの男さえ居れば他はどうだって良いくせに、私まで欲しがるなんて……全部は抱えられないよ、綾の手は二本しかないし、あの男に使うので精一杯なんだから」
「――でも、お願いだから消えないで」
「ああ、ホラ――否定しないしさ……自分勝手に動く癖に中途半端に優しくして、だから嫌なんだよね、ホント……嫌なのに離れられないし、依存性高すぎるんだって」
最早渚の話す言葉など理解できていないのか、綾那はただ譫言のように「消えないで」と繰り返している。渚は涙に濡れた頬もそのままに、まるで綾那の愛情を試すように耳元で囁いた。
「次に目が覚めた時、あの男と私――どっちが立っている方が幸せ?」
「……どっちも……立ってなきゃ、無理――」
辛うじてそれだけ言い残した綾那は、泣き疲れたのか、途端にカクンと頭を倒して意識を失った。渚はそんな彼女をベッドに戻しながら、強がりでも無理やりでもなく、心の底から愉快そうな声を上げて笑った。
「ハハ! ――もうマジ、最低最っ悪の答えなんだけど……でも結局、今回も絆されて終わるのかな――」
幼少時、綾那と出会った頃――あの頃は、互いの世界に二人しか存在しなかったのに。
それが小学校に上がる頃には、陽香とアリスという新たな勢力が侵略してきた。警戒心が強く、他人に興味を抱きづらい渚はともかくとして、天然人たらしであり包容力の化け物であった綾那は、すぐさま広い世界へ羽ばたいていった。
狭い世界に一人置き去りにされた渚は、これ以上傷つかぬよう殻に篭ろうとした――訳だが、無断で出て行ったくせに、綾那は何度も渚の手を取りに戻って来ては、殻が固まる前に好き放題ぶっ壊して、また去って行くのだ。
本当にこの、ゆるふわゴリラだけは――渚は何度、そう思っただろうか。
確かに綾那は包容力があるし、母性の塊のような人間だ。いつも笑顔でおっとりして、滅多な事では怒らないし、なんでもかんでも包み込んで許してくれる。
――しかしそれでいて、根っこは酷く自己中心的なのである。
彼女自身が怒りを覚え辛い性質をもつせいか、「どんな事が起きれば人間が怒るのか」がそもそも分かっていない。綾那のもつ物差しでは、『怒り』という感情を正しく把握できないからだ。
彼女は人に怒られて初めて、「なんか私、よく分かんないけど悪い事しちゃったんだな」と理解する。――いや、果たしてこれは理解できていると言えるのだろうか。
行動理念が自己中心的だからと分かっていても心底嫌いになれないのは、ひとえに彼女のもつ底なしの包容力のせいだろう。
彼女は自己中で間違いない。間違いないが、他人の自己中心的な行動を見てもなんとも思わずに、すんなり受け入れる度量がある。
何をしても怒らないから、どんな馬鹿げた事をしても優しく包み込んで、ドロドロに甘やかしてくれるから――その中毒性と言ったら、並大抵のものではない。
綾那は、人をダメにする天才なのである。
いつかルシフェリアが評した「天然強か」の所以は、正にココにあるのだろう。颯月は綾那を『天使』と呼んで憚らないが、その性質は真逆の『悪魔』――魔性の女なのだ。
「……でも、好きだよ――早く元気になってね、綾」
渚は、慈しむような眼差しで眠る綾那を見下ろした。そうして彼女の汗に濡れた服を着替えさせると、静かに部屋から出て行ったのであった。
悪魔ヴェゼルの身体、その一部から作り出された眷属相手に、綾那はなす術がなかった。そんな絶対絶命の窮地を救ってくれたのが颯月である。
しかも命を救ってくれただけではなく、危険だからと近隣の街まで護衛を申し出てくれるわ、当座の生活資金すらない事を知ると仕事を紹介してくれるわ――。
正直言って、彼のやり方は自分本位で強引な部分も多かった。しかし後から颯月の出生やトラウマについて聞けば、「それも致し方なし」と許せるレベルのものだ。一目惚れした女をどうしても手中に収めたかったのだ――と言われれば、何も言えなくなる。
ただ、綾那は長らくハニートラップ要員として疑われて彼と物理的な距離があったため、仲良くなるまでに時間はかかったが――直接話すようになってからは、「とにかく顔が宇宙一格好いい男の人」という意識が急速に変わっていった。
騎士団長として多くの部下に慕われ――悪魔憑きという特性上、街の者からは畏怖されるが――彼は、悪い意味だけでなく良い意味でも注目の的だった。
子供好きで面倒見がよく、自分以外の誰かの安全のために、休みなく身を粉にして働き続ける。
あまりに働きまくるので、本音を言えばまだ彼の私生活について知らぬ部分が多い。しかし職務中の彼は優秀過ぎて、周りが引いているくらいだった。
責任感の塊で、いつも自信に満ち溢れていて――そうかと思えば、複雑な家庭環境で育った事からトラウマが多く繊細で、傷つきやすく目が離せない。
いつも綾那の事を一番に考えてくれて、過ごしやすいように環境を整えてくれる。綾那の家族だからと、陽香やアリスについても、なんだかんだ言いながら面倒を見てくれた。
まあ若干、何事も金にモノを言わせる部分や周囲から見ると異常な束縛癖があって、更に意中の女性に貢いで尽くし過ぎるという危うい悪癖はあるものの――そんなものは綾那の中で、デメリットの内に入らなかった。
「――颯月さんは、「偶像」にも負けなかったの。私の所へ、自分の足で帰ってきてくれた」
ポロポロと涙を流し、時に言葉に詰まりながらも一生懸命語る綾那に、渚はどこか寂しそうな笑みを浮かべて頷いた。
「でも、夢だった……あんな完璧な人が、現実に存在するはずないもの……結婚――結婚、したかったな」
「綾が「結婚したい」なんて言い出すの、初めてだよね」
――そう、確かに綾那は今まで、複数人の男と奔放に付き合ってきた。しかし渚の記憶に残る限り、「結婚」の二文字を口にした事は一度もなかったのだ。
絢葵似の男は好きだが、彼らはあくまでも『絢葵の代用品』でしかない。
だからと言って絢葵本人と結婚したいのかと問われれば、答えは「いいえ」なのだ。綾那にとって絢葵は崇拝する神のようなもので、決して結婚を望むような『男』ではなかったのだから。
そんな綾那が、はっきりと結婚したいと言うのだ。それはもう、彼女にとってはこれ以上ないくらい素晴らしい男なのだろう。
例えあの男に騙されていたとしても、いいように利用されていたとしても――綾那は、颯月ただ一人を望んでいるのだ。
渚は乾いたタオルで、綾那の頬を拭った。次から次へと溢れてくる涙と、うなされるように繰り返される「颯月さんに会いたい」という言葉。
これ以上彼女を悲しませたって、ただ渚が虚しいばかりである。
別に、渚の事は二の次と言わんばかりに、リベリアスでの生活を満喫していた綾那の事が嫌いになった訳ではない。まあ、多少なりともショックは受けたが、しかし他でもない綾那の幸せを奪うつもりはないのだ。
ここらでひとつネタばらしを――という程でもないが、「夢ではない」と言って安心させてやらねばいけない。
「綾、平気。今、この瞬間が夢なんだよ」
渚は無理やりに明るい笑みを浮かべて、どこまでも優しい声色で綾那に語りかけた。綾那は涙に濡れた瞳を、不思議そうに瞬かせている。
「目が覚めたら、きっとその男が綾の前に居るよ。綾は「奈落の底」に落とされて、そいつに助けられて……それで、好きになって――結婚するんだよ」
「結婚……できるのかな」
「できるよ、だって綾だよ? 綾はこの世で一番綺麗で、可愛くて、優しくて……紳士的な需要も高いから。どんな男が相手でも、絶対に骨抜きにできちゃうよ――邪魔が入るようなら私がすり潰すし……だからもう泣かないで、今は休んで」
――きっと綾那は、花が咲くように笑うだろう。彼女が幸せならそれでいい。
後であの男の本心を調べる事だけは辞めないし、調べた結果が『クソ』であればすり潰されるのは男の方だが――それはわざわざ言わずとも良いだろう。
そうして綾那の笑顔を期待していた渚だったが、しかし彼女が堰を切ったように号泣し始めたため、瞠目する。
渚に祝福されて感動したのか、それとも何か言葉選びを間違えたのか。理由が分からずにオロオロしていると、怠いだろうに綾那は自身の力だけでなんとか上半身を起こして、渚に縋りついた。
「夢なら、この渚はどこへ行っちゃうの?」
「え――」
「本物の渚は、どこに居るの? まだ一人きりなの? シアさんは、渚はどこでも、世界に一人きりでも生きていけるって言っていたけど、そんな事ないんだよ――渚はすごく寂しがりだから」
「や、やめて――やめて、綾。ひとまず今は、あの男さえ居れば良いじゃん……元気になったら、また皆で私を探してくれれば良いから」
「やっと会えたのに、消えちゃうの? もう離れたくない、消えないで――」
やはり熱で意識障害を起こしているのだろうか。今の綾那は支離滅裂だ。つい先ほどまでは「颯月、颯月」と言っていたのが、次は「渚と離れたくない」と言って泣くのだから。
渚は綾那の背に両腕を回して、強く抱きしめた。そうして彼女の首筋に顔を埋めて、まるで子供のようにしゃくりあげる。
「いつも綾はずるい、ワガママだよ。本当はあの男さえ居れば他はどうだって良いくせに、私まで欲しがるなんて……全部は抱えられないよ、綾の手は二本しかないし、あの男に使うので精一杯なんだから」
「――でも、お願いだから消えないで」
「ああ、ホラ――否定しないしさ……自分勝手に動く癖に中途半端に優しくして、だから嫌なんだよね、ホント……嫌なのに離れられないし、依存性高すぎるんだって」
最早渚の話す言葉など理解できていないのか、綾那はただ譫言のように「消えないで」と繰り返している。渚は涙に濡れた頬もそのままに、まるで綾那の愛情を試すように耳元で囁いた。
「次に目が覚めた時、あの男と私――どっちが立っている方が幸せ?」
「……どっちも……立ってなきゃ、無理――」
辛うじてそれだけ言い残した綾那は、泣き疲れたのか、途端にカクンと頭を倒して意識を失った。渚はそんな彼女をベッドに戻しながら、強がりでも無理やりでもなく、心の底から愉快そうな声を上げて笑った。
「ハハ! ――もうマジ、最低最っ悪の答えなんだけど……でも結局、今回も絆されて終わるのかな――」
幼少時、綾那と出会った頃――あの頃は、互いの世界に二人しか存在しなかったのに。
それが小学校に上がる頃には、陽香とアリスという新たな勢力が侵略してきた。警戒心が強く、他人に興味を抱きづらい渚はともかくとして、天然人たらしであり包容力の化け物であった綾那は、すぐさま広い世界へ羽ばたいていった。
狭い世界に一人置き去りにされた渚は、これ以上傷つかぬよう殻に篭ろうとした――訳だが、無断で出て行ったくせに、綾那は何度も渚の手を取りに戻って来ては、殻が固まる前に好き放題ぶっ壊して、また去って行くのだ。
本当にこの、ゆるふわゴリラだけは――渚は何度、そう思っただろうか。
確かに綾那は包容力があるし、母性の塊のような人間だ。いつも笑顔でおっとりして、滅多な事では怒らないし、なんでもかんでも包み込んで許してくれる。
――しかしそれでいて、根っこは酷く自己中心的なのである。
彼女自身が怒りを覚え辛い性質をもつせいか、「どんな事が起きれば人間が怒るのか」がそもそも分かっていない。綾那のもつ物差しでは、『怒り』という感情を正しく把握できないからだ。
彼女は人に怒られて初めて、「なんか私、よく分かんないけど悪い事しちゃったんだな」と理解する。――いや、果たしてこれは理解できていると言えるのだろうか。
行動理念が自己中心的だからと分かっていても心底嫌いになれないのは、ひとえに彼女のもつ底なしの包容力のせいだろう。
彼女は自己中で間違いない。間違いないが、他人の自己中心的な行動を見てもなんとも思わずに、すんなり受け入れる度量がある。
何をしても怒らないから、どんな馬鹿げた事をしても優しく包み込んで、ドロドロに甘やかしてくれるから――その中毒性と言ったら、並大抵のものではない。
綾那は、人をダメにする天才なのである。
いつかルシフェリアが評した「天然強か」の所以は、正にココにあるのだろう。颯月は綾那を『天使』と呼んで憚らないが、その性質は真逆の『悪魔』――魔性の女なのだ。
「……でも、好きだよ――早く元気になってね、綾」
渚は、慈しむような眼差しで眠る綾那を見下ろした。そうして彼女の汗に濡れた服を着替えさせると、静かに部屋から出て行ったのであった。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる