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番外編②
4 エヴァンシュカとアデルート4
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「――騎士と結婚したいから男の護衛騎士を雇って欲しい!? ……いくら可愛いルディの頼みでも こればかりは聞けんな、男なんて近付けてルディに手を出されたらどうする? 打ち首一択じゃぞ!!」
「お父さま……」
わたくしはアデルお姉さまと一緒にお父さまのところまで行って、早速 騎士と結婚したいとお願いいたしましたわ。
この世界のどこかに居るはずの「絵本の騎士」を探して、わたくしの専属騎士にして欲しいと。
けれどもお父さまは首を縦に振ってくださいません。
困りましたわ……いくらわたくしが可愛がられているとは言っても、最高権力者であるお父さまが頷かない限りは何もできませんの。
わたくしが何かしらの功績を立てて、特別な権限でも持っていれば話は違いましたのに――赤ちゃんの無力を嘆くばかりですわ……!
わたくしがメソメソしていると、付き添いのアデルお姉さまが味方してくださいました。
「……陛下、ルディはまだ3つですよ。手を出すだなんてそんな事……そもそもそんな問題のある男は「絵本の騎士」ではありません。初めの選別で弾かれるでしょう」
「歳なんて関係あるもんか! ルディは可愛すぎるんじゃて! 男は皆ケダモノぞ!!」
「落ち着いてくださいよ、ケダモノ陛下」
「ケダモノ陛下とは何じゃ!! 相変わらずお前は可愛げのない娘よのう、アデル!」
「男は皆ケダモノと仰ったじゃありませんか。父親もケダモノなら、他にどんなケダモノが護衛騎士についたって構わないのではありませんか、どれもこれも一緒ですよ」
「父親の揚げ足をとるでないわ! ……ええい違わい、話をすり替えようとするな!」
お父さまはぷりぷりと憤慨されていて、このままではわたくしのお願いごとは叶いそうにありませんわ。
でもつい先ほどアデルお姉さまと無茶なワガママを言わない、駄々をこねない、「絵本の騎士」に相応しい淑女になると約束したばかりですもの。
ここは一旦諦めて、まずはわたくしが何かしらの権限を得られるように動いた方がいいのかしら……そうしてわたくし自身の力で騎士を探して、護衛に任命してしまえば――いいえ、でもそんな事ができるようになるまで一体どれだけの時間がかかるかしら。
絵本のお姫様より大人になってしまうのでは……あまり大人になってしまったら、絵本の騎士もわたくしの事なんか好きになってくださらないのではないかしら。
わたくしよく、アデルお姉さまがリサお姉さまから叱咤激励を受けていらっしゃるのを目にするのよ。
「10代の今は「月の女神」なんて持て囃されていても、お前が30代にもなれば誰も見向きもしなくなるわよ! 悔しかったら早く結婚して宮から出て行きなさい! 一体いつまでエヴァンシュカのお守りをする気なの、わたくし達の邪魔になっているのが分からないのかしら!?」と。
きっとリサお姉さまは、アデルお姉さまが嫁き遅れる事を心配して、あえて厳しい言葉をお掛けになられるのだわ。
わたくしも20代、30代と歳を重ねるごとに魅力が半減していくのかしら……騎士を捕まえるならば期限はいつまで?
貴族は10代のうちに結婚する事が多いし、やはり20歳になるまでよね。
わたくしがうーんと悩んでいる間にも、アデルお姉さまとお父さまの話し合いは進められています。
「何がそんなにお嫌なのですか、ルディにも分かりやすく簡潔に話してください」
「うぐっ……そ、そんなもん、ルディがお嫁に行くなんて許せるはずなかろうが! ルディは一生ワシと一緒にお城で暮らすんだもん!」
「だもん、ではありませんよ」
「王族の護衛を任せられる騎士なんか、そもそも家柄の良い者しかおらぬわ。そんな男と結婚するなど……家を盛り立てるために嫁いで来いと言うに決まっとる! 婿養子以外 断固拒否じゃ!」
「――わ、わたくしが結婚したいのは家柄の良い騎士ではなくて「絵本の騎士」ですわ……」
わたくしが意見すれば、お父さまは「そもそも絵本の騎士って何なんじゃ」と首を傾げられましたわ。説明しようとすると、アデルお姉さまが横から「とりあえずこれに目を通してみてください」と仰って絵本を渡しました。
お父さまが絵本を眺めていらっしゃる間に、お姉さまはわたくしと目線を合わせるようにして片膝をつきましたわ。
そうしてわたくしにだけ聞こえるようなお声で囁きます。
「……ルディ、契約書を作ると言っていましたよね、今の内に作成してしまいなさい」
「え? ですが……」
「わたくしに考えがありますから、ルディが思う契約を書面に記すのです。許可をするかどうかは陛下次第ですが、やってみる価値はあるでしょう」
まだお父さまの許しを得ていないのに、先んじて契約書を作成する事に意味があるのかしら?
でも他でもないアデルお姉さまが仰る事だものね……?
わたくしは首を傾げながらも、お姉さまに渡された紙と万年筆で必死に契約書を作成する事にいたしました。
「お父さま……」
わたくしはアデルお姉さまと一緒にお父さまのところまで行って、早速 騎士と結婚したいとお願いいたしましたわ。
この世界のどこかに居るはずの「絵本の騎士」を探して、わたくしの専属騎士にして欲しいと。
けれどもお父さまは首を縦に振ってくださいません。
困りましたわ……いくらわたくしが可愛がられているとは言っても、最高権力者であるお父さまが頷かない限りは何もできませんの。
わたくしが何かしらの功績を立てて、特別な権限でも持っていれば話は違いましたのに――赤ちゃんの無力を嘆くばかりですわ……!
わたくしがメソメソしていると、付き添いのアデルお姉さまが味方してくださいました。
「……陛下、ルディはまだ3つですよ。手を出すだなんてそんな事……そもそもそんな問題のある男は「絵本の騎士」ではありません。初めの選別で弾かれるでしょう」
「歳なんて関係あるもんか! ルディは可愛すぎるんじゃて! 男は皆ケダモノぞ!!」
「落ち着いてくださいよ、ケダモノ陛下」
「ケダモノ陛下とは何じゃ!! 相変わらずお前は可愛げのない娘よのう、アデル!」
「男は皆ケダモノと仰ったじゃありませんか。父親もケダモノなら、他にどんなケダモノが護衛騎士についたって構わないのではありませんか、どれもこれも一緒ですよ」
「父親の揚げ足をとるでないわ! ……ええい違わい、話をすり替えようとするな!」
お父さまはぷりぷりと憤慨されていて、このままではわたくしのお願いごとは叶いそうにありませんわ。
でもつい先ほどアデルお姉さまと無茶なワガママを言わない、駄々をこねない、「絵本の騎士」に相応しい淑女になると約束したばかりですもの。
ここは一旦諦めて、まずはわたくしが何かしらの権限を得られるように動いた方がいいのかしら……そうしてわたくし自身の力で騎士を探して、護衛に任命してしまえば――いいえ、でもそんな事ができるようになるまで一体どれだけの時間がかかるかしら。
絵本のお姫様より大人になってしまうのでは……あまり大人になってしまったら、絵本の騎士もわたくしの事なんか好きになってくださらないのではないかしら。
わたくしよく、アデルお姉さまがリサお姉さまから叱咤激励を受けていらっしゃるのを目にするのよ。
「10代の今は「月の女神」なんて持て囃されていても、お前が30代にもなれば誰も見向きもしなくなるわよ! 悔しかったら早く結婚して宮から出て行きなさい! 一体いつまでエヴァンシュカのお守りをする気なの、わたくし達の邪魔になっているのが分からないのかしら!?」と。
きっとリサお姉さまは、アデルお姉さまが嫁き遅れる事を心配して、あえて厳しい言葉をお掛けになられるのだわ。
わたくしも20代、30代と歳を重ねるごとに魅力が半減していくのかしら……騎士を捕まえるならば期限はいつまで?
貴族は10代のうちに結婚する事が多いし、やはり20歳になるまでよね。
わたくしがうーんと悩んでいる間にも、アデルお姉さまとお父さまの話し合いは進められています。
「何がそんなにお嫌なのですか、ルディにも分かりやすく簡潔に話してください」
「うぐっ……そ、そんなもん、ルディがお嫁に行くなんて許せるはずなかろうが! ルディは一生ワシと一緒にお城で暮らすんだもん!」
「だもん、ではありませんよ」
「王族の護衛を任せられる騎士なんか、そもそも家柄の良い者しかおらぬわ。そんな男と結婚するなど……家を盛り立てるために嫁いで来いと言うに決まっとる! 婿養子以外 断固拒否じゃ!」
「――わ、わたくしが結婚したいのは家柄の良い騎士ではなくて「絵本の騎士」ですわ……」
わたくしが意見すれば、お父さまは「そもそも絵本の騎士って何なんじゃ」と首を傾げられましたわ。説明しようとすると、アデルお姉さまが横から「とりあえずこれに目を通してみてください」と仰って絵本を渡しました。
お父さまが絵本を眺めていらっしゃる間に、お姉さまはわたくしと目線を合わせるようにして片膝をつきましたわ。
そうしてわたくしにだけ聞こえるようなお声で囁きます。
「……ルディ、契約書を作ると言っていましたよね、今の内に作成してしまいなさい」
「え? ですが……」
「わたくしに考えがありますから、ルディが思う契約を書面に記すのです。許可をするかどうかは陛下次第ですが、やってみる価値はあるでしょう」
まだお父さまの許しを得ていないのに、先んじて契約書を作成する事に意味があるのかしら?
でも他でもないアデルお姉さまが仰る事だものね……?
わたくしは首を傾げながらも、お姉さまに渡された紙と万年筆で必死に契約書を作成する事にいたしました。
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