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必殺。
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え、急にどうしたの?私が不覚をとった時があるかって?
うーん。あまり思い浮かばないかな?でもね、敵がいないっていうのも悲しいものなんだよ。
一人覇道を歩む少女の心細さ、それったらないよね。
……あ、でも一回だけあった。コンビニに入った時に、覆面の男に背後を取られた事があったよ。
そう、これは私の苦い記憶。
あの日、私はコンビニに入店しながら『恋☆どす』のオープニングテーマ『この涙は悔し涙では御座いません。清めの塩が目に入っただけですから。ユーロビートver』を聴きながら、ヘッドバンキングをして指を高速で鳴らしてたの。
それこそ指から火が出るくらいの勢いでね。
その時、既にコンビニの中に潜んでいた覆面の男に背後を取られた事があったの。
怖かった。武術を嗜んでるとはいえ、急に男の人に後ろから押さえられて刃物まで突きつけられたんだから!流石に身体が硬直したよ。
0.1秒後には振り向き際に肘を顎の先端を掠める様に当てて、前のめりになる男の顔面に跳び膝をかまして気絶させてから、交番の中に山嵐でぶん投げて事なきを得たけどね!
ふふ、警察官の人もびっくりしてたよ。こんなに可愛い女子高生が犯人逮捕しちゃうんだから!
え?急に人がぶっ飛んで来たから、驚いたんじゃないかって?
そうかな?でも私も逮捕されそうになったのは事実だよ!私が被害者なのに失礼しちゃうわ!
でも皆も気を付けてね。いつもなら0.01秒で反応できるのに、ウブなあんちくしょうな私は急に男の人が近づいて来て、不覚にも一瞬時が止まってしまったのだから。
コンビニに入る時は、音楽聴きながらヘッドバンキングして指を鳴らさないように気を付けてね。急に背後をとられると0.09秒反応が遅れてしまうから!
—————————
リルちゃん、なんて可愛いの?でも自分でもびっくりだ。私にもこんな母性本能があったなんて。だけれども、きっとそれは絞りに絞って一滴も出ないほどに絞った雑巾からやっと溢れた一粒の雫のような母性本能。その一滴は確かに濁ってるかも知れない。
でも!だけど!あったのね。私にも人間の本能が——
「まだスイッチ入ってたの?」
「もしかして、いつもこんな感じなの?」
「なんか最近酷いんだよね」
はっ。私は何を?
「ご、ごめん!雑巾絞ってたら時間かかっちゃった」
やば、二人が唖然としてる。最近ゾーンに入っちゃうから気をつけないと。
「最近ゾーンに入っちゃうから気をつけるね」
「あ、うん。程々に、ね」
「朱里ちゃん、あまり溜め込まないでね」
ちゃん!?今、ちゃんって言った!あの可愛いお口がちゃんって言った!ちゃんって言ったら、ちゃんこ鍋!へい!ちゃんこ鍋と言ったら\$#☆♪\%——
「完全にぶっ壊れてるね。リルちゃんの親御さんにも挨拶済んだし、朱里はマリアナ海峡の海底だろうが、チョモランマの頂上だろうが、ほっといても一人で帰って来そうだから先に街に戻って一休みしようか」
「え? 大丈夫なの」
「平気、平気。付き合ってあってたら日が暮れちゃうよ」
そうして私は気が付いたら一人洞窟を彷徨っていた。
最近マジでやばい。シンディさんのチャームが鼻の奥に直撃した辺からかな? 脳と体が分断されてるわ。マジで気をつけないと。
しかし、この洞窟ほんとに不思議だな。振り返ったら今歩いてた通路が無くなってるし、まるで生き物みたい。『気まぐれ穴』の名前は伊達じゃないね。
「どうしようかなー? 上に向かって地上までの穴をぶち開ければ出れると思うけど、リルちゃんのお家もここにあるし、……ん?」
誰?……後ろに誰かいる。
「貴方はこの先、この世界の行く末を選択しなければならない」
名前が知られてる?しかもこの感じ、只者じゃない。けど敵意は無さそうだ。
「魔物を統べる者となり、勇者を討伐。そして魔物達を救済する」
油断は出来ない。後の先を取る?
「それともイレギュラーな存在の貴方は、私達が想像も出来ない様な事を成し遂げてくれるの?」
私の反応速度を超える攻撃を仕掛けられたら?未熟な私が反応できない攻撃を仕掛けてくる敵も中にはいるかも知れない。それに先手必勝の方が私には合ってるよね?
よし。やっちまおう。
密かにトイレでイメトレを2回もして、改良に改良を重ねたあの技を早速試す時が来たね!
「貴方は何を選ぶの? それともって、ちょ、ちょっと! なんで殺意が溢れ出てるの? 私は貴方の——」
「天獄無作為流! 朱里ちゃんオリジナル!爆散ダブル諸手キャノン! 届いて私の愛! イタリアの海を越えて!」
「ちょ、ちょっと! ええー!?」
決まった。我ながら完璧。うっわ、砂埃すごいな。
あれ?……いない。逃げられたの?
私の技から逃れたと言うの?やっぱり只者じゃなかったね。
「あ、ラッキー。衝撃で地上までの道が開けたみたい! 向こうに灯りが見えるよ。外に出られそうだね」
良かった。まさか河童の尊い犠牲によって完成した技によって洞窟から出られるとは。
アイツには感謝しなきゃいけないね!
うーん。あまり思い浮かばないかな?でもね、敵がいないっていうのも悲しいものなんだよ。
一人覇道を歩む少女の心細さ、それったらないよね。
……あ、でも一回だけあった。コンビニに入った時に、覆面の男に背後を取られた事があったよ。
そう、これは私の苦い記憶。
あの日、私はコンビニに入店しながら『恋☆どす』のオープニングテーマ『この涙は悔し涙では御座いません。清めの塩が目に入っただけですから。ユーロビートver』を聴きながら、ヘッドバンキングをして指を高速で鳴らしてたの。
それこそ指から火が出るくらいの勢いでね。
その時、既にコンビニの中に潜んでいた覆面の男に背後を取られた事があったの。
怖かった。武術を嗜んでるとはいえ、急に男の人に後ろから押さえられて刃物まで突きつけられたんだから!流石に身体が硬直したよ。
0.1秒後には振り向き際に肘を顎の先端を掠める様に当てて、前のめりになる男の顔面に跳び膝をかまして気絶させてから、交番の中に山嵐でぶん投げて事なきを得たけどね!
ふふ、警察官の人もびっくりしてたよ。こんなに可愛い女子高生が犯人逮捕しちゃうんだから!
え?急に人がぶっ飛んで来たから、驚いたんじゃないかって?
そうかな?でも私も逮捕されそうになったのは事実だよ!私が被害者なのに失礼しちゃうわ!
でも皆も気を付けてね。いつもなら0.01秒で反応できるのに、ウブなあんちくしょうな私は急に男の人が近づいて来て、不覚にも一瞬時が止まってしまったのだから。
コンビニに入る時は、音楽聴きながらヘッドバンキングして指を鳴らさないように気を付けてね。急に背後をとられると0.09秒反応が遅れてしまうから!
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リルちゃん、なんて可愛いの?でも自分でもびっくりだ。私にもこんな母性本能があったなんて。だけれども、きっとそれは絞りに絞って一滴も出ないほどに絞った雑巾からやっと溢れた一粒の雫のような母性本能。その一滴は確かに濁ってるかも知れない。
でも!だけど!あったのね。私にも人間の本能が——
「まだスイッチ入ってたの?」
「もしかして、いつもこんな感じなの?」
「なんか最近酷いんだよね」
はっ。私は何を?
「ご、ごめん!雑巾絞ってたら時間かかっちゃった」
やば、二人が唖然としてる。最近ゾーンに入っちゃうから気をつけないと。
「最近ゾーンに入っちゃうから気をつけるね」
「あ、うん。程々に、ね」
「朱里ちゃん、あまり溜め込まないでね」
ちゃん!?今、ちゃんって言った!あの可愛いお口がちゃんって言った!ちゃんって言ったら、ちゃんこ鍋!へい!ちゃんこ鍋と言ったら\$#☆♪\%——
「完全にぶっ壊れてるね。リルちゃんの親御さんにも挨拶済んだし、朱里はマリアナ海峡の海底だろうが、チョモランマの頂上だろうが、ほっといても一人で帰って来そうだから先に街に戻って一休みしようか」
「え? 大丈夫なの」
「平気、平気。付き合ってあってたら日が暮れちゃうよ」
そうして私は気が付いたら一人洞窟を彷徨っていた。
最近マジでやばい。シンディさんのチャームが鼻の奥に直撃した辺からかな? 脳と体が分断されてるわ。マジで気をつけないと。
しかし、この洞窟ほんとに不思議だな。振り返ったら今歩いてた通路が無くなってるし、まるで生き物みたい。『気まぐれ穴』の名前は伊達じゃないね。
「どうしようかなー? 上に向かって地上までの穴をぶち開ければ出れると思うけど、リルちゃんのお家もここにあるし、……ん?」
誰?……後ろに誰かいる。
「貴方はこの先、この世界の行く末を選択しなければならない」
名前が知られてる?しかもこの感じ、只者じゃない。けど敵意は無さそうだ。
「魔物を統べる者となり、勇者を討伐。そして魔物達を救済する」
油断は出来ない。後の先を取る?
「それともイレギュラーな存在の貴方は、私達が想像も出来ない様な事を成し遂げてくれるの?」
私の反応速度を超える攻撃を仕掛けられたら?未熟な私が反応できない攻撃を仕掛けてくる敵も中にはいるかも知れない。それに先手必勝の方が私には合ってるよね?
よし。やっちまおう。
密かにトイレでイメトレを2回もして、改良に改良を重ねたあの技を早速試す時が来たね!
「貴方は何を選ぶの? それともって、ちょ、ちょっと! なんで殺意が溢れ出てるの? 私は貴方の——」
「天獄無作為流! 朱里ちゃんオリジナル!爆散ダブル諸手キャノン! 届いて私の愛! イタリアの海を越えて!」
「ちょ、ちょっと! ええー!?」
決まった。我ながら完璧。うっわ、砂埃すごいな。
あれ?……いない。逃げられたの?
私の技から逃れたと言うの?やっぱり只者じゃなかったね。
「あ、ラッキー。衝撃で地上までの道が開けたみたい! 向こうに灯りが見えるよ。外に出られそうだね」
良かった。まさか河童の尊い犠牲によって完成した技によって洞窟から出られるとは。
アイツには感謝しなきゃいけないね!
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