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8.初めてのオメガ外来※

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 オメガ外来はアルファ外来と打って変わって子連れや妊婦が多く、泣いている赤ん坊もいて騒がしかった。
 待合室の一角には柔らかなタイルシートが敷かれ、そこで子供らがままごと道具やぬいぐるみなんかで遊んで親の診察が終わるのを待っている。

 我にはあまりに場違いな場所だった。看護師は待合室の前を通ってそのまま診察室へ入り、中にいた看護師に我のことをなにから手短に引き継いだ。

「ドアのカギをかけてかごにお荷物を入れたら、ズボンと下着を脱いで椅子に座ってください」

 と診察室の中にいた大柄な若い看護師に言われた。

「いきなりズボンと下着を脱げと言うのか?」

 アルファ外来ではそんなことをするよう言われたことは一度もない。
 看護師は我が睨んだのにも動じず、

「はい、間もなく先生がみえますから」

 と急かした。
 仕方なく我は言われた通りに部屋のカギをかけ下半身を露出し、シャツのすそと手で性器を隠しながら椅子に座った。

 後ろを向いて準備していた看護師が振り向いて、ヒザにブランケットをかけてくれた。

「緊張しなくて大丈夫ですよ」

 と口角を上げながら、我の手をひじ掛けに置かせた。
 フン、緊張などするかっ! 誰に向かって口をきいているのかと内心イラっとした。

 足音が聞こえてカーテンが開いた。白衣を着た年配の魔族の医者が薄いゴム手袋をはめながら入ってきた。

「はい、こんにちは。シルヴァ先生からバースが変異した急患の方だと聞いています」

 我が座っている椅子の横にあるボタンを、彼がカチッと押すと椅子から拘束具が飛び出して手首と足首が固定された。

「な、なんだこれはっ!」

 手足を動かそうとしても拘束具の魔法陣が光るだけで全く動かない。

「ごめんなさい、オメガ男性はどうしても嫌がって暴れることが多いから、患者さんを守るためにもちょっとの間我慢してね」

 と医者はおっとりとした口調で言い、さらに別のボタンを押した。

「魔族はプライドが高いからね。だけどオメガはみんなやっている検査だから恥ずかしがらなくて大丈夫だからね」

 椅子の背もたれが倒れ、片足ずつ拘束されていたフットレストがゆっくりと左右に開いた。何も身につけていない状態で大きく足を開かれ固定されたのだ。萎えたペニスもしっとりとしている後孔も空気に触れてヒヤッとした。
 ヒザの上にあったブランケットも腹の上でくしゃっとなり、もはや何の役にも立っていない。

 無礼者めがっ! 我は魔王だ、こんな仕打ち許さん! と大声で叫びたかったが、ここで自分の身分を晒しても恥を重ねるだけだ。ぐっとこらえて早く解放されることを祈った。

「ああ、なるほど。確かに発情中のオメガだね」

 大柄な看護師も医者の隣で我の丸出しの秘部を覗き込んでいる。
 あろうことか、医者は背後のカーテンの向こうに、

「ちょっと来て。珍しいから勉強に見ておきな」

 と話しかけた。

 研修医らしき若い男3人が診察室に入って来て、頬を赤らめながらじーっと我の股を眺めた。

「アルファからオメガへ変異した男性だよ。元はアルファなだけあってここも立派だ」

 年配の医者の手袋の指先が我の男根の先を摘まみぷにぷにと刺激した。
 だらりと萎えていたペニスが芯を持ち後孔からじわっと蜜が溢れてしまった。

「……んっ」

 声なんか出すまいと思うのに、体が異様なほど感じやすくつい漏れてしまう。

「オメガ男性の発情中の性器を見られるのも珍しいからね。見て、女性器みたいに粘液が分泌するでしょう。ほら、こんなに……」

「うわ、すごいです……男なのに」

 貴様らっ、我のことをバカにしておるのかっ! と怒鳴りたいのをこらえ奥歯を噛みしめた。医者に入口のひだを触診されながら怒るなんてあまりに滑稽だからだ。

「器具を入れるから、力を抜いて楽にしててね」

 冷たい金属が蕾へ触れた。途端に体の奥に空気が入り込み、晒されていると感じた。

「ほら、子宮があるでしょう」

「あ、本当ですね」

 し、子宮っ!? 男の我にそんなものがっ!? み、見ないでくれっ!
 後孔を閉じようと尻に力を込めるがそんなことをしても無駄だった。

「力を抜いて。お水を入れてナカに残っている精液を洗うからね」

 何人もの視線がその一点へ集まる中、生暖かい液体がコプコプと体内へ注がれると肉癖が疼き、ぐちゅうぅと恥ずかしい音を立ててこぼれ出た。これではまるで見世物のようではないか。
 これ以上ないほど屈辱なはずなのに、我の肉棒は熱くなりムクムクと大きくそそり立ち始めた。
 うう、鎮まってくれ。これでは痴態を晒して興奮する変態のようだ。

 不意に、ひと際熱い視線を我に向けていた研修医のうちの一人が、白衣のズボンの前を大きく膨らませていることに気が付いた。

「す、すみません、ちょっと……」

 と研修医ははち切れそうなほど膨らませた前に手を添え、猫背になって診察室から出て行った。
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