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第七章 見知らぬ美青年(麗夜side)

36.紹介したい、いい子がいるんです

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「藤崎社長に紹介したい、いい子がいるんです」
 道を歩きながら男はそう言った。
 以前の俺の豪遊っぷりのせいで、俺は今でもとんだ遊び人だと思われているのだろう。EDになって誰にも反応しなくなり、今では蒼にしか興味がない状態だというのに。

「いや、ヤナイさん、実は私、そういうのは卒業したって言いますか、このところ全然で……、せっかくのお誘いですが……」
「何を。まだお若いのに」

 男は酔っているのか、こちらの話を聞かずにジャケットの内ポケットから取り出したスマホでどこかへ電話した。
「今から行くから。うん、社長も一緒」

 厄介なことになったな、と俺はそっとため息をついた。
 すると突然、俺は立ちくらみのようなものを感じて近くの壁に手をついた。
「……あ、あれ……?」
 頭がクラクラしている。ここしばらく忙しい上に休息に充てるべき空き時間の全てを、蒼に会いに行ったりこうして蒼のために客を用意することに当てたりしていてひどい寝不足だったせいか。

 バーで酒なんて飲んでいなかったから酔ったわけではない。足元もふらふらして壁に掴まらないとまともに歩けない。もちろんこんな状況は普通ではない。
「社長、飲み過ぎましたね……」
 ヤナイという男がわざとらしくそう言い、肩を掴んで俺を強引に歩かせる。

「いや、違……」
 酒なんて飲んでいない、と言いたいのにまぶたが重い。
「もうすぐ着きますから、しっかりしてください」

 当然だが、夜の街には千鳥足の酔っぱらいなんて珍しくもなんともないから周囲の人間も誰も俺の異変に気付いてくれなかった。

***

 目が覚めたら、ベッドの上だった。キシ……とベッドがしなり、自分以外の誰かが近くで動く気配がした。
 頭がズキズキするが、薄目を開けて周囲を見回した。
 見慣れた自宅じゃない、ということは蒼とホテルに泊まったのだろうか……?

「蒼……」
 俺の腰元に誰かがしがみついている感覚がしたので、俺はどうしてそんな場所にいるんだろうと思いながらも、彼の頬に触れようと手を伸ばしながら彼の名前を呼んだ。

 どうにか彼の顔を見ようとだるい頭を持ち上げると、目が合った人物は蒼ではない青年だった。
「ふふ、藤崎社長、お目覚めですね」
 スケスケの白いキャミソールを着ている彼は俺のベルトやズボンの合わせを勝手に解いていて、引っ張り出した俺の柔らかなイチモツをムニムニといじっている。

「君、誰……?」
 俺のモノを刺激する手を止めずに彼は上目遣いで俺を見つめ、小首を傾げた。
「ちはるって呼んでください、藤崎さん」
 人差し指を口元へ当ててきゅるんって可愛い決め顔をしてみせたけど、俺の心には全く刺さらない。
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