41 / 69
第八章 寝取られからの逆転(蓮side)
40.地下室からの解放
しおりを挟む
僕たちは部屋の中に段ボールに入ったまま置かれていた朋美さんの荷物を運び出して通りでタクシーを拾った。
「なんだか怖い……。どこへ逃げてもあの人は追ってくる気がする……」
タクシーの中で朋美さんは曇ったままの表情で窓の外を見ていた。
「大丈夫ですよ、あの男は実家の会社を捨てることなんてできませんから。つまり株主である僕の祖父には一生逆らえないんです」
それを聞いて、彼女は少し安堵していた。
僕たちの住んでいたマンションの前でタクシーから降りると、彼女は自分の部屋に見慣れないカーテンがかかっているのを見てショックを受けていた。
「あ、……そうだった。私の部屋はもう解約してしまっていたから、新しい人が入ってしまったのね……」
普通なら部屋のクリーニングなどで次の人に部屋を貸すまで数週間は間が空くだろうけど、このワンルームマンションは不動産会社を介さずに大家さんが自分で管理していることもあり、部屋に空きが出ると即日次の人が入居してくることがこれまでにもよくあった。
「大丈夫です。僕、ちゃんと考えてありますから。ちょっと待っていてください」
タクシーを待たせて、僕は自分の部屋へあるものを取りに行き、再び朋美さんと一緒にタクシーへ乗り込んだ。
***
都市部のタワーマンションの最上階の広々とした部屋のカギを開けて中へ案内すると、朋美さんはただただ驚いていた。
「ここは……?」
大型の家電もついている50帖ほどの広々としたリビングを彼女はきょろきょろ眺めた。ダイニングテーブルやソファーがゆったりと置かれている。
「朋美さん、これから一緒にこの部屋で暮らしてくれませんか?」
「え、……それは」
僕に見つめられて、彼女は頬を染めた。
僕は彼女の前に跪き、彼女の手の甲へキスをした。
「結婚を前提に、僕と同棲してください」
「……うわ、嬉しい。……もちろんよ」
彼女は涙ぐみながら頷いてくれた。
「でもこの部屋どうしたの? こんなすごい部屋、家賃もものすごく高いでしょう?」
ガラス張りの壁の向こうに広がる都会の景色を見ながら彼女は心配そうにそう尋ねた。
「賃貸じゃないです。ここは分譲マンションですから」
「……え、……買ったの!?」
「ふふ、僕がマッサージ師の仕事で稼いだお金で購入したわけじゃないです。買ったのは祖父です。今回のことを説明したら僕にプレゼントしてくれたんです」
投資家の祖父は不動産も多数所有していて、人に貸し出して家賃収入を得ている。今回のことで僕に将来を真剣に考えている彼女がいると知ると、なら彼女と暮らすために一番いい部屋をあげようと、言ってくれたのだ。
3LDKの間取りなら二人で暮らすにも十分すぎる。
僕は朋美さんの部屋にしようと思っていた個室に彼女の段ボールを運んだ。
「なんだか怖い……。どこへ逃げてもあの人は追ってくる気がする……」
タクシーの中で朋美さんは曇ったままの表情で窓の外を見ていた。
「大丈夫ですよ、あの男は実家の会社を捨てることなんてできませんから。つまり株主である僕の祖父には一生逆らえないんです」
それを聞いて、彼女は少し安堵していた。
僕たちの住んでいたマンションの前でタクシーから降りると、彼女は自分の部屋に見慣れないカーテンがかかっているのを見てショックを受けていた。
「あ、……そうだった。私の部屋はもう解約してしまっていたから、新しい人が入ってしまったのね……」
普通なら部屋のクリーニングなどで次の人に部屋を貸すまで数週間は間が空くだろうけど、このワンルームマンションは不動産会社を介さずに大家さんが自分で管理していることもあり、部屋に空きが出ると即日次の人が入居してくることがこれまでにもよくあった。
「大丈夫です。僕、ちゃんと考えてありますから。ちょっと待っていてください」
タクシーを待たせて、僕は自分の部屋へあるものを取りに行き、再び朋美さんと一緒にタクシーへ乗り込んだ。
***
都市部のタワーマンションの最上階の広々とした部屋のカギを開けて中へ案内すると、朋美さんはただただ驚いていた。
「ここは……?」
大型の家電もついている50帖ほどの広々としたリビングを彼女はきょろきょろ眺めた。ダイニングテーブルやソファーがゆったりと置かれている。
「朋美さん、これから一緒にこの部屋で暮らしてくれませんか?」
「え、……それは」
僕に見つめられて、彼女は頬を染めた。
僕は彼女の前に跪き、彼女の手の甲へキスをした。
「結婚を前提に、僕と同棲してください」
「……うわ、嬉しい。……もちろんよ」
彼女は涙ぐみながら頷いてくれた。
「でもこの部屋どうしたの? こんなすごい部屋、家賃もものすごく高いでしょう?」
ガラス張りの壁の向こうに広がる都会の景色を見ながら彼女は心配そうにそう尋ねた。
「賃貸じゃないです。ここは分譲マンションですから」
「……え、……買ったの!?」
「ふふ、僕がマッサージ師の仕事で稼いだお金で購入したわけじゃないです。買ったのは祖父です。今回のことを説明したら僕にプレゼントしてくれたんです」
投資家の祖父は不動産も多数所有していて、人に貸し出して家賃収入を得ている。今回のことで僕に将来を真剣に考えている彼女がいると知ると、なら彼女と暮らすために一番いい部屋をあげようと、言ってくれたのだ。
3LDKの間取りなら二人で暮らすにも十分すぎる。
僕は朋美さんの部屋にしようと思っていた個室に彼女の段ボールを運んだ。
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。
イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。
きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。
そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……?
※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる