40 / 69
第八章 寝取られからの逆転(蓮side)
39.社長より、会長よりも偉い人
しおりを挟む
ドンドンドンッ……。
慌ただしく扉がノックされ、舎弟たちが転がるように部屋へ入って来た。
「大変です、若社長っ」
「なんだ、騒々しい……」
ペニスに付着した体液をティッシュで拭いていた淳士は、舎弟たちを一瞥し、ズボンを穿いた。
「何やら会長がお怒りで……っ」
「あ? オヤジが……?」
淳士はずいぶん驚いた顔をしていた。ただ事ではないと気付いたのだろう。
二人の舎弟は、
「とにかく早く来てください」
と大慌てで淳士を連れて出て行った。
部屋の中に残された朋美さんはバスタオルを丸裸の体に巻き付けて、すぐに僕の口を塞いでいるガムテープを剥がしてくれた。
「蓮くん、……ごめんなさい、巻き込んでしまって」
悲痛な声でそう呟きながら、僕の背後のロープを解いてくれた。
「僕の方こそ、助けられなくて……」
朋美さんは目に涙を浮かべていた。僕は自由になった両腕で彼女をギュッと力強く抱き締め、唇と唇を重ねた。
体の横に下ろしていた彼女の両腕が僕の背中を包んだ。
長いキスの後、唇を離すと、涙に濡れた瞳で彼女は僕を見つめた。
「蓮くんだけでもどうにか逃げてほしい……」
部屋のドアのサムターンを回すとカギは開く。けれどドアの外にチェーンがかけられていて、外に出られない。
「朋美さんと一緒に逃げたいですが、これじゃ無理ですね。……でも安心してください。きっともう大丈夫ですから」
「……えっ?」
朋美さんはきょとんとして僕の顔を見ていたが、僕が自信たっぷりにゆっくり頷くと、彼女は少し安心して、段ボールから下着とワンピースを取り出して、裸にバスタオルだけだった体に身につけた。
もちろん、大丈夫というのはハッタリなんかじゃない。
僕は朋美さんの前へ跪き、そっと掴んだ白くて細い手の甲へちゅっとキスをし、丹念に頬擦りした。
「会いたかったです……、朋美さん……。僕がどれほどあなたのことを心配していたか……。ずいぶん急いで水面下で手を回したのですが、あなたが引っ越してしまうまでに、あと一歩間に合わなかったこと、後悔するばかりでした……」
「蓮くん……」
彼女の肌の感触、甘い香り、柔らかな声、まとっている雰囲気に、僕はやっぱり彼女の全てが大好きだと痛感した。
カチャッとドアの方で音がした。
部屋へ入って来たのは金髪の太った舎弟一人だった。
「おい、お前ら出て行っていいぞ」
「え……」
朋美さんは驚いて舎弟を見ていた。
「やべえんだよ、どういうわけか株主が淳士さんの女癖の悪さ知っててさ。監禁してる女性を解放しないと淳士さんを役員から解任するって言い出したらしくて」
「株主……?」
きょとんとしている朋美さんの隣で僕はほくそ笑んだ。
僕が水面下で進めていた計画が表へ出たのだ。
株式会社で一番偉いのは社長でも会長でもない。株主なんだ。
幼少期に同居していた金持ちの祖父というのは、実はその道では名の知れた投資家で、様々な企業の株券を所有していて、自宅には大量の株主優待品が届く。
僕が朋美さんの同僚の加奈子さんから淳士の会社「松山産業」の名を聞いたとき、どこかで聞いた名前だなぁと記憶をたどると、祖父の家の山のように積まれた優待品の中で見かけた名前だと思い出した。
さっそく祖父に松山産業の株を買い増して経営に口出しできる権限を得るようお願いしたのだ。
祖父にとって僕は大事な初孫だったからものすごく可愛がられていたし、両親が離婚してしまった今でも僕は度々祖父の家へ遊びに行き、祖父と祖母の体をマッサージしていたから、祖父は快く引き受けてくれたのだ。
慌ただしく扉がノックされ、舎弟たちが転がるように部屋へ入って来た。
「大変です、若社長っ」
「なんだ、騒々しい……」
ペニスに付着した体液をティッシュで拭いていた淳士は、舎弟たちを一瞥し、ズボンを穿いた。
「何やら会長がお怒りで……っ」
「あ? オヤジが……?」
淳士はずいぶん驚いた顔をしていた。ただ事ではないと気付いたのだろう。
二人の舎弟は、
「とにかく早く来てください」
と大慌てで淳士を連れて出て行った。
部屋の中に残された朋美さんはバスタオルを丸裸の体に巻き付けて、すぐに僕の口を塞いでいるガムテープを剥がしてくれた。
「蓮くん、……ごめんなさい、巻き込んでしまって」
悲痛な声でそう呟きながら、僕の背後のロープを解いてくれた。
「僕の方こそ、助けられなくて……」
朋美さんは目に涙を浮かべていた。僕は自由になった両腕で彼女をギュッと力強く抱き締め、唇と唇を重ねた。
体の横に下ろしていた彼女の両腕が僕の背中を包んだ。
長いキスの後、唇を離すと、涙に濡れた瞳で彼女は僕を見つめた。
「蓮くんだけでもどうにか逃げてほしい……」
部屋のドアのサムターンを回すとカギは開く。けれどドアの外にチェーンがかけられていて、外に出られない。
「朋美さんと一緒に逃げたいですが、これじゃ無理ですね。……でも安心してください。きっともう大丈夫ですから」
「……えっ?」
朋美さんはきょとんとして僕の顔を見ていたが、僕が自信たっぷりにゆっくり頷くと、彼女は少し安心して、段ボールから下着とワンピースを取り出して、裸にバスタオルだけだった体に身につけた。
もちろん、大丈夫というのはハッタリなんかじゃない。
僕は朋美さんの前へ跪き、そっと掴んだ白くて細い手の甲へちゅっとキスをし、丹念に頬擦りした。
「会いたかったです……、朋美さん……。僕がどれほどあなたのことを心配していたか……。ずいぶん急いで水面下で手を回したのですが、あなたが引っ越してしまうまでに、あと一歩間に合わなかったこと、後悔するばかりでした……」
「蓮くん……」
彼女の肌の感触、甘い香り、柔らかな声、まとっている雰囲気に、僕はやっぱり彼女の全てが大好きだと痛感した。
カチャッとドアの方で音がした。
部屋へ入って来たのは金髪の太った舎弟一人だった。
「おい、お前ら出て行っていいぞ」
「え……」
朋美さんは驚いて舎弟を見ていた。
「やべえんだよ、どういうわけか株主が淳士さんの女癖の悪さ知っててさ。監禁してる女性を解放しないと淳士さんを役員から解任するって言い出したらしくて」
「株主……?」
きょとんとしている朋美さんの隣で僕はほくそ笑んだ。
僕が水面下で進めていた計画が表へ出たのだ。
株式会社で一番偉いのは社長でも会長でもない。株主なんだ。
幼少期に同居していた金持ちの祖父というのは、実はその道では名の知れた投資家で、様々な企業の株券を所有していて、自宅には大量の株主優待品が届く。
僕が朋美さんの同僚の加奈子さんから淳士の会社「松山産業」の名を聞いたとき、どこかで聞いた名前だなぁと記憶をたどると、祖父の家の山のように積まれた優待品の中で見かけた名前だと思い出した。
さっそく祖父に松山産業の株を買い増して経営に口出しできる権限を得るようお願いしたのだ。
祖父にとって僕は大事な初孫だったからものすごく可愛がられていたし、両親が離婚してしまった今でも僕は度々祖父の家へ遊びに行き、祖父と祖母の体をマッサージしていたから、祖父は快く引き受けてくれたのだ。
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
森でオッサンに拾って貰いました。
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
アパートの火事から逃げ出そうとして気がついたらパジャマで森にいた26歳のOLと、拾ってくれた40近く見える髭面のマッチョなオッサン(実は31歳)がラブラブするお話。ちと長めですが前後編で終わります。
ムーンライト、エブリスタにも掲載しております。
冷徹上司の、甘い秘密。
青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。
「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」
「別に誰も気にしませんよ?」
「いや俺が気にする」
ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。
※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる