【R-18】私を乱す彼の指~お隣のイケメンマッサージ師くんに溺愛されています~【完結】

衣草 薫

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第七章 こうするしかなかった(朋美side)

35.監禁生活

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……ああ、怖かった。
 ううっ、やっぱり私の選択は間違っていたかもしれない。
 あの男、私を調教するって言っていた。これから一体何をされるのだろう……。

 淳士の言う通りにするよりも、蓮くんと二人でどこか遠くへ逃げてしまう方が賢明だったと、私は今更ながらひどく後悔した。

 外に出ちゃダメ、なんて言っていたけど、この部屋の扉には普通に内側にサムターンがある。逃げることは案外簡単かもしれない。
 指をかけるとサムターンはカチャッと回った。
 やった、外へ出られるっ! そう思って勢いよくドアを押すと、すぐにガチャン! とドアが止まった。

 よく見て見るとドアの外に本来はドアの内側に取り付けるものであるはずのチェーンがついていて、10センチほどしかドアは開かない。これでは外へ出られない。

「誰かっ! 誰かぁっ!」
 力いっぱい叫んでみるが、こんな歓楽街の暗い階段の先にある地下室なんて、誰にも気づかれるはずもなく、私は途方に暮れた。

 スマホから警察へ通報しようかとも思った。でもいつの間にか、私のカバンからスマホがなくなっていた。ワンルームマンションを出る前に、絶対にカバンの内ポケットへ入れたはずなのに。持ってきた3つの段ボールをくまなく探しても見つからない。私が外部へ連絡して逃げないよう、舎弟たちが持ち去ったとしか考えられない。

 私は絶望して、香水臭いベッドの上でめそめそと泣いた。

 泣き疲れていつの間にか眠っていたようだった。
 壁のデジタル時計を見ると午前8時だった。

 昨日から何も食べていない私は空腹のあまり冷蔵庫を開けた。中に入っていたミネラルウォーターを飲み、コンビニのおにぎりを食べた。一日中やることがなくて、ベッドの上に寝て考え事ばかりしていた。もちろん頭に浮かぶのは蓮くんのことばかりだ。

 ドアのカギがガチャっと開いて、チェーンをかけたまま太った舎弟がミネラルウォーターとお菓子とサンドイッチ、缶コーヒーを差し入れてくれた。
「冷蔵庫の中、まだ空じゃない? コーヒーの好みわからなかったから微糖にしたけど飲める?」
「ええ、飲めるけど……」
 私がうつむくと、舎弟もはあ……とため息をついた。

「こんなとこに閉じ込められて気が滅入るよね? だったら若社長の言うこと素直に従った方がいいと思うよ」
 わかってる。私がちゃんと淳士の言うこと聞かないと蓮くんの身にも危険が及ぶかもしれないし。
 舎弟は気の毒そうな目で私を見つめ、
「次、何か買って来てほしいものある?」
 と尋ねた。
 左右に首を振ると、彼は静かにドアを閉めて去っていった。
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