上 下
35 / 69
第七章 こうするしかなかった(朋美side)

34.地下室

しおりを挟む
 淳士は蓮くんのスケジュールを探偵に調べさせていた。
 蓮くんが仕事に出かけたあと、淳士の舎弟たちがレンタカーのトラックで私を迎えにやって来た。荷物はほとんど処分していたから、引っ越し作業はとても簡単だった。

 がらんとした部屋の中、蓮くんがくれたクマの形のフットライトだけがコンセントに刺さったままだった。
 持っていくとこれを見るたびきっと涙が出てしまうだろう。でも捨てるなんてできなくて、私は彼の部屋のポストへそれを入れ、舎弟たちとトラックに乗り込んだ。

 やり直したい。俺の部屋で一緒に暮らしてくれ。
 淳士はそう言っていたのに、舎弟たちに案内されたのは歓楽街の雑居ビルだった。それも地下に向かう階段を降りていく。
「淳士の家は、本当にここなの?」
 不安になって私は舎弟たちに尋ねた。

「家ではないね、ここはまあ若社長の休憩室みたいな場所? 元は音楽スタジオだったからさ、ここ防音だけはすごいのよ」
「うん、若社長はここによく風俗嬢呼んだりしてるね」
 金髪の太った方がそう言うと、
「お前、余計なこと言うなって言われてただろ」
 と痩せた舎弟が舌打ちした。

 部屋の中は8畳ぐらいの1Kだった。トイレと風呂もあるから、私が前に住んでいたワンルームマンションと大して変わらない。
 けれど壁は打ちっぱなしのコンクリートで、地下ってだけあって窓がなく、独特の湿気と圧迫感があって牢獄みたいだった。

「ベッドも冷蔵庫もこの部屋全部、自由に使って。俺ら、これからあんたの世話するよう言われているから、何か買って来てほしいものがあれば遠慮なく言って」
 私は舎弟の言葉に違和感を覚えた。
「買い物ぐらい自分で行けるわ……」
「それは無理。この界隈、特に夜になると外は危ないから出ちゃダメって、若社長が……」

 部屋のドアがガチャっと開いた。入って来たのは黒いワイシャツに金のネックレスをつけた淳士だった。
「お前らはもう下がれ」
「はいっ」
 舎弟たちはいそいそと部屋を出て行った。

 淳士と部屋に二人きりになり、私の背筋に嫌な汗が伝った。鋭い目つきで睨みつけている淳士は、私を黒いシーツの敷かれたベッドへ突き飛ばした。

 頭がぼすっと布団へ沈み、むわっと強烈な香水のにおいがしてむせそうになった。
 けれど、自分のスカートが心配で、私はスカートのすそを押さえながら起き上がった。下着、見られたかも……。

 淳士は自分のズボンのファスナーを下ろし、ボロンと反り返った男性器を取り出した。蓮くんのと違って淳士のそこはどす黒い色をしている。
「くく、お前の俺への忠誠心を見せてみろ。ほら、……しゃぶれ」
 私の唇に血管の浮き出たそれをぷにっと押しつけた。
「……っ!」
 何とも言えない雄の匂いが鼻につく。嫌悪感しかない。
 私は顔を背けた。

「……や、やり直したいって言っておきながら、こんなことっ……」
 私の訴えに彼はにやっと笑った。
「おいおい、勘違いするなよ。俺がやり直したいのは、お前を犯す計画だ。高校時代のリベンジだよ」
 これ以上ないほど冷酷な表情に、私はゾクッと全身を震わせた。

「フン、まあいい。お前にその気がないのなら、これからじっくりと調教していく楽しみがあるってもんだ……」
 淳士は私を睨みつけたまま、私の片方の胸をムニュッと乱暴に鷲掴みした。
「俺から逃げようなんて思うなよ。……あの小僧のことが大事ならな」
 私をベッドへ突き飛ばし、ヘビ柄の靴を鳴らして、彼は部屋を出て行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

完結【R―18】様々な情事 短編集

秋刀魚妹子
恋愛
 本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。  タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。  好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。  基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。  同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。  ※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。  ※ 更新は不定期です。  それでは、楽しんで頂けたら幸いです。

若妻シリーズ

笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。 気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。 乳首責め/クリ責め/潮吹き ※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様 ※使用画像/SplitShire様

【R18】ドS上司とヤンデレイケメンに毎晩種付けされた結果、泥沼三角関係に堕ちました。

雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向けランキング31位、人気ランキング132位の記録達成※雪村里帆、性欲旺盛なアラサーOL。ブラック企業から転職した先の会社でドS歳下上司の宮野孝司と出会い、彼の事を考えながら毎晩自慰に耽る。ある日、中学時代に里帆に告白してきた同級生のイケメン・桜庭亮が里帆の部署に異動してきて…⁉︎ドキドキハラハラ淫猥不埒な雪村里帆のめまぐるしい二重恋愛生活が始まる…!優柔不断でドMな里帆は、ドS上司とヤンデレイケメンのどちらを選ぶのか…⁉︎ ——もしも恋愛ドラマの濡れ場シーンがカット無しで放映されたら?という妄想も込めて執筆しました。長編です。 ※連載当時のものです。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

処理中です...