7 / 69
第二章 まだ明かせない僕の気持ち(蓮side)
6.僕の変貌
しおりを挟む
僕は寂しさのあまり食事が喉を通らなくなり、春休みの間中ずっと家でワーワー泣いて過ごした。
そんな僕を見かねて、祖父は僕を地元の少年サッカーチームに入れた。
僕は彼女に会えなくなった悲しみをサッカーの練習へぶつけた。
内気だった僕の性格はサッカーが上達していくにつれ、みるみるうちに社交的に変わっていった。
デブでどんくさくて泣き虫だった僕はあっという間に身軽で活発なスポーツ少年へ変貌した。
女の子にもモテるようになったけど、記憶の中の朋美さんと比べてしまうと同級生の女の子はどうも幼稚で興味が湧かなかった。
実は僕がマッサージ師になろうと思ったのも、いつか朋美さんの肩をほぐしてあげたいと思ったからだ。
当時、小学6年生にして彼女の胸はふっくらと膨らんでいた。
他の6年生の女の子よりも彼女は成長が早かったのだ。
いつだったか彼女が、肩が凝ると言っていたのを僕は忘れなかった。
僕はずっと彼女にもう一度会いたくて仕方なかった。
3年前マッサージ師を目指して専門学校へ通っていた頃に、僕は勇気を出してSNSで彼女の本名を検索してみた。残念ながら彼女のアカウントは存在しなかったが、そんな簡単には諦められなかった。
その年、成人式だった僕は式の後に地元の小学校の同窓会へ参加した。
そのときに5歳上つまり彼女と同学年の兄か姉のいる人を探し、卒業アルバムを借りることに成功した。
彼女と仲が良かった同級生の名前をSNSで片っ端から検索していったら、何人かが本名でのアカウントを持っていた。そこから同窓会や結婚式の写真へコメントしている人物のアカウントをしらみつぶしに調べて行って、とうとう朋美さんと思われる人物のアカウントを探し出したのだ。
彼女はクマのぬいぐるみが大好きで、子供の頃に行った彼女の部屋にはテディベアがたくさん飾ってあったのだ。
クマのぬいぐるみのプロフィール画像のそのアカウントは、ずいぶん前に投稿されたテディベアミュージアムに行ったときの写真や会社の近くで食べたランチの写真、住んでいるマンションの前にいた野良猫の写真なんかが数枚あるだけで新規の投稿はほとんどなかった。けれど、会社や住所を特定するにはそれで十分な情報量だった。
そうして僕は彼女の住んでいる場所を突き止め、隣に引っ越してきたのだ。
念願の再会を果たした彼女は、僕の脳内の小学六年生の頃の彼女のまま相変わらずおっとりとした美人だった。濁りのないきれいな黒目で僕を見つめ、小首を傾げたその表情に胸が熱くなった。やっぱり僕は彼女が好きだと痛感した。
僕は高校を卒業したタイミングで両親の離婚によって当時の佐藤という名字から小宮に変わっているし、外見が昔と全然違うから、彼女は僕だと気がつかなくて当然だ。一歩間違えればストーカーだと解釈されてしまう危険性もあるから、僕が佐藤蓮だと打ち明けるタイミングは慎重に見極めなければならない。
***
彼女の元へ届いた箱の中身、これアダルトグッズじゃん……。
乳首とかクリトリスとか吸うやつ……。
どうしよう大変なものを開けちゃった。これで彼女との関係が悪くなったら元も子もない。
でも、これを僕がいかがわしくない普通のマッサージ器だと勘違いしているように装って話を進めれば、お詫びと称して彼女をマッサージする流れにできるのではないか。
これはピンチであると同時にまたとないチャンスじゃないか。
僕は箱の中に入っていた緩衝材をゴミ箱へ捨て、業者がずさんな梱包で送ってきたから落としただけで品物が壊れたように見せかけた。そしてアダルトグッズをタイルへ叩きつけた。パキンと音がしてローズレッド色のプラスチックの持ち手にひびが入った。
彼女に疑われないよう入念に頭の中でセリフをリハーサルして、彼女の部屋のチャイムを押した。
そんな僕を見かねて、祖父は僕を地元の少年サッカーチームに入れた。
僕は彼女に会えなくなった悲しみをサッカーの練習へぶつけた。
内気だった僕の性格はサッカーが上達していくにつれ、みるみるうちに社交的に変わっていった。
デブでどんくさくて泣き虫だった僕はあっという間に身軽で活発なスポーツ少年へ変貌した。
女の子にもモテるようになったけど、記憶の中の朋美さんと比べてしまうと同級生の女の子はどうも幼稚で興味が湧かなかった。
実は僕がマッサージ師になろうと思ったのも、いつか朋美さんの肩をほぐしてあげたいと思ったからだ。
当時、小学6年生にして彼女の胸はふっくらと膨らんでいた。
他の6年生の女の子よりも彼女は成長が早かったのだ。
いつだったか彼女が、肩が凝ると言っていたのを僕は忘れなかった。
僕はずっと彼女にもう一度会いたくて仕方なかった。
3年前マッサージ師を目指して専門学校へ通っていた頃に、僕は勇気を出してSNSで彼女の本名を検索してみた。残念ながら彼女のアカウントは存在しなかったが、そんな簡単には諦められなかった。
その年、成人式だった僕は式の後に地元の小学校の同窓会へ参加した。
そのときに5歳上つまり彼女と同学年の兄か姉のいる人を探し、卒業アルバムを借りることに成功した。
彼女と仲が良かった同級生の名前をSNSで片っ端から検索していったら、何人かが本名でのアカウントを持っていた。そこから同窓会や結婚式の写真へコメントしている人物のアカウントをしらみつぶしに調べて行って、とうとう朋美さんと思われる人物のアカウントを探し出したのだ。
彼女はクマのぬいぐるみが大好きで、子供の頃に行った彼女の部屋にはテディベアがたくさん飾ってあったのだ。
クマのぬいぐるみのプロフィール画像のそのアカウントは、ずいぶん前に投稿されたテディベアミュージアムに行ったときの写真や会社の近くで食べたランチの写真、住んでいるマンションの前にいた野良猫の写真なんかが数枚あるだけで新規の投稿はほとんどなかった。けれど、会社や住所を特定するにはそれで十分な情報量だった。
そうして僕は彼女の住んでいる場所を突き止め、隣に引っ越してきたのだ。
念願の再会を果たした彼女は、僕の脳内の小学六年生の頃の彼女のまま相変わらずおっとりとした美人だった。濁りのないきれいな黒目で僕を見つめ、小首を傾げたその表情に胸が熱くなった。やっぱり僕は彼女が好きだと痛感した。
僕は高校を卒業したタイミングで両親の離婚によって当時の佐藤という名字から小宮に変わっているし、外見が昔と全然違うから、彼女は僕だと気がつかなくて当然だ。一歩間違えればストーカーだと解釈されてしまう危険性もあるから、僕が佐藤蓮だと打ち明けるタイミングは慎重に見極めなければならない。
***
彼女の元へ届いた箱の中身、これアダルトグッズじゃん……。
乳首とかクリトリスとか吸うやつ……。
どうしよう大変なものを開けちゃった。これで彼女との関係が悪くなったら元も子もない。
でも、これを僕がいかがわしくない普通のマッサージ器だと勘違いしているように装って話を進めれば、お詫びと称して彼女をマッサージする流れにできるのではないか。
これはピンチであると同時にまたとないチャンスじゃないか。
僕は箱の中に入っていた緩衝材をゴミ箱へ捨て、業者がずさんな梱包で送ってきたから落としただけで品物が壊れたように見せかけた。そしてアダルトグッズをタイルへ叩きつけた。パキンと音がしてローズレッド色のプラスチックの持ち手にひびが入った。
彼女に疑われないよう入念に頭の中でセリフをリハーサルして、彼女の部屋のチャイムを押した。
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
森でオッサンに拾って貰いました。
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
アパートの火事から逃げ出そうとして気がついたらパジャマで森にいた26歳のOLと、拾ってくれた40近く見える髭面のマッチョなオッサン(実は31歳)がラブラブするお話。ちと長めですが前後編で終わります。
ムーンライト、エブリスタにも掲載しております。
冷徹上司の、甘い秘密。
青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。
「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」
「別に誰も気にしませんよ?」
「いや俺が気にする」
ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。
※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる