【R-18】私を乱す彼の指~お隣のイケメンマッサージ師くんに溺愛されています~【完結】

衣草 薫

文字の大きさ
上 下
6 / 69
第二章 まだ明かせない僕の気持ち(蓮side)

5.僕の初恋

しおりを挟む
 僕の部屋から帰って行く朋美さんを見送ると、僕はすぐにテーブルの上のノートパソコンの電源を入れた。
 画面には壁の向こうの朋美さんの部屋が映し出される。
 この前彼女に渡したクマの形のフットライト、あれはお客さんからもらったなんて噓で、僕が彼女の部屋を監視したくて盗撮器と盗聴器を入れて自作したものだ。

 彼女は歯を磨いてベッドへ入り、スマホを見ている。
 昨夜、彼女が泥酔しながらネットサーフィンしているのを僕はこうしてずっと見ていた。
 彼女の荷物がうちへ誤配されたなんていうのも嘘だ。

 昨夜、酔っ払った彼女が、通販で何かを買いながら、
「即日発送かぁ。あ、時間指定できる。じゃあ明日の夕方18時~20時で、と……」
 と言っていたので、僕はベランダから彼女の部屋の明かりを見て、ここ最近いつもそうであるように残業で帰宅が遅れているのを確認し、18時からマンションの朋美さんの部屋の前で待機していた。
 社則なのかエレベーターを使わず、階段を上がってきた配達員が、ほうきとちりとりを手に部屋の前を掃除する僕に向かって、
「301号室、笹原さん宛てにお荷物です」
 と言った。
「うちです。ご苦労さまです」
 笑顔を浮かべると、何の疑いもなく僕に荷物を渡した。
 ほら、最近の宅配って印鑑レスだから楽勝だ。

 すぐに箱の中身を開けた。彼女が買った何かを壊して、お詫びと称して彼女に何かご馳走するとか、デートするとか、今よりもっとお近づきになるのが僕の考えたシナリオだった。
 ……どうしてそこまでして彼女に近づきたいかって?
 だって僕にとって朋美さんはただの隣人なんかじゃないからだ。

***

 僕は今年23歳なんだけど、小学校1年生だった頃に小学校6年生だった彼女に惚れて以来15年、ずっと彼女のことが忘れられずに生きてきた。
 今でこそ長身で引き締まった体つきをしているけど、当時の僕は同居する祖父母に甘やかされてまるまると太っていた。
 どんくさくて泣き虫で、もじもじと小さな声でしゃべることを、いつも同級生からからかわれていた。

 ある日学校から帰ろうとしたら、靴箱に入れてあったはずの靴がなくなっていた。
 誰かに隠されたんだ……。どうしよう、靴がなきゃ帰れない……。
 絶望して泣いていると、偶然朋美さんが通りかかった。

「あら、レンくんじゃない。どうしたの?」
 僕の家の近所に住んでいた朋美さんは、同じ登校班で毎朝一緒に学校へ通っていた。
 事情を聞いた朋美さんはきれいなハンカチを取り出して、涙でぐしょぐしょの僕の顔を拭いて、
「私が一緒に靴を探すから、もう泣かないで」
 と言ってくれた。
 結局、僕の靴は靴箱の上へ置いてあった。
 それはいじめでも何でもなくて、その日の朝、脱いだ靴を僕がうっかり靴箱へしまい忘れて出しっぱなしにしていたから、用務員さんが靴箱の上へ避けておいてくれたのだった。

 僕は親切な彼女のことが好きで好きでたまらなくなった。
 彼女と彼女のお母さんは休日にクッキーやマドレーヌを焼いて、近所の子供たちを家に招いていた。
 僕も何度か呼ばれて彼女の作ったお菓子を食べ、楽しくおしゃべりした。幸せだった。

 しかしその幸せは長くは続かなかった。
 6年生だった彼女は当然だが翌春に小学校を卒業した。
 おまけに中学校へ上がるそのタイミングで、彼女はお父さんの仕事の都合で県外へ引っ越してしまい、もう会うことができなくなってしまったのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...