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第十三章 現実逃避のバカンス

117.浜辺のヨガ1

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 島民たちが荷物を運んでくれて、水上コテージへ案内された。

 俺は布切れがめくれて股間が見えてしまわないかそればかり気にして小さな布を押さえながら歩いた。
 浜辺や桟橋で他の客とすれ違ったが、みんな慣れてしまったのか、女性も男性も丸裸に股間の前掛け一枚の格好で平然と過ごしているから驚いた。

「こそこそしている方がむしろ恥ずかしいのか……」
「ええ、そのようですね」

 最上級のリゾートというだけあって、水上コテージの室内は広々としていて十分ゆっくりと過ごせそうだった。
 部屋の延長上にあるプライベートプールの向こうに広がる夕焼けの海を眺めながら、俺はソファーへ座った。

「到着してすぐではありますが、これから夕方のヨガが始まりますので海岸へご移動ください」
 島民は座ったばかりの俺を急かした。

「……ヨガだと!?」
 なんでそんなものをしなければならないのか。島民に食って掛かろうとした俺をルークがなだめた。
「さあ、シュライフェ様、参りましょう。郷に入れば郷に従えです」
 そうだ、丸裸ではりつけにすると言ってきた連中だ。言うことを聞かないと何か変なことをされかねない。



 海辺には多くの人が集まっていた。島の住人らしきインストラクターの若い女性がこちらを向いて座っている。彼女もまた前掛け一枚で日焼けして張りのある大きな乳房を平然と丸出しにしている。感覚がおかしくなりそうだ。

 俺は斜め後ろにいるルークを振り返った。もしかしてインストラクターを見て鼻の下を伸ばしているのではないかと思ったのだ。
 しかしルークの視線はインストラクターではなく俺の胸板へ向けられていた。

「……っ、貴様、どこ、見てっ……」
 俺は焦って片手で胸の先を隠してルークを睨みつけた。

 実は自分でも気がついていた。あそこが女性器になってからというもの、クリトリスを弄ったりナカを突いたりするたび、体の奥から胸の先へ甘い電流が流れるような感覚があり、俺の乳首は男だった頃よりも少しだけぷっくりと大きくなってしまっているのだ。もちろん女性のように胸自体が大きく膨らんでいるなんてことはなく、見た目はぺたんこな男の胸板なのだが。

 まさかルークは性器が女性になっただけでなく、胸まで敏感になっていることまで見透かしているのか!? さすがにそれは俺のプライドが許さない。

「……申し訳ありません」
 見ていたことがバレて気まずいという様子で、怒りを露わにしている俺に深々と頭を下げて謝罪した。
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